• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

博士が必要とされる社会に、ノーベル賞根岸氏

クロスカップリングでノーベル化学賞の根岸英一氏に聞く(第2回)

  • 山口 栄一=京都大学大学院 総合生存学館(思修館) 教授

バックナンバー

[1/4ページ]

2017年5月29日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 イノベーション理論と物性物理学を専門とする京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授の山口栄一氏が、新著『物理学者の墓を訪ねる ひらめきの秘密を求めて』(日経BP社)で偉大な物理学者たちの足跡をたどったことをきっかけに、現代の“賢人”たちと日本の科学やイノベーションの行く末を考える本企画。前回に続き、米パデュー大学H.C.ブラウン特別教授の根岸英一氏と、山口氏による対談の模様を伝える。

 話題は、日本とアメリカにおける研究者のあり方の違いへと進んだ。

(構成は片岡義博=フリー編集者)

台頭しつつある中国の頭脳

山口:日本では、化学産業は何とか持ちこたえているものの、エレクトロニクスや物理系の産業は総じて落ち込んでいます。シャープは自力再生が難しくなって、ついに台湾の鴻海精密工業に買収されました。東芝も今年に入って子会社の原子力企業(ウェスチングハウス・エレクトリック)が倒産し、何と最も大切な半導体メモリー事業を売却して持ちこたえようと画策しています。

 この凋落の原因は何なのか。かつてイノベーションを支えていた大企業の中央研究所がこの20年間に次々に閉鎖、縮小され、それに代わるイノベーションモデルを日本はアメリカのように見いだせていない、というのが私の仮説です。そこでアメリカの大学で長く研究されてきた根岸さんから、日本の科学を担う企業や大学がどのように見えるかをお聞きしたいのです。

根岸英一氏
根岸英一(ねぎし・えいいち)
1935年満州生まれ。米パデュー大学H.C.ブラウン特別教授。1958年東京大学工学部卒業、帝人入社。1960年フルブライト奨学生として渡米。ペンシルバ二ア大学で博士号取得。パデュー大学、シラキュース大学准教授などを経て1979年パデュー大学教授。有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリングによって2010年にノーベル化学賞受賞。(写真:栗原克己)
[画像のクリックで拡大表示]

根岸:日本のどこに視点を置くかですね。10年前、20年前に視点を置くと、大きく伸びています。でもこれから大変なときが来るかもしれませんね。中国をはじめ、いろいろな国が追い付いてきていますから。私のいるパデュー大学では、初期の頃は日本人が圧倒的に多かった。けれども最近は中国から来る方が割合からすると多い。それも多くが素晴らしい頭脳を持っています。中国の持っている潜在力は今、ものすごく上がってきていることを感じますね。

山口:日本人はいかがですか。

根岸:日本からは、優秀な方が来られていることに加えて、日本の科学の水準がかなり先行していたという伝統があります。その2つの上に日本人の優位性が保たれているという印象を受けます。

山口:今や日本で理系の学生たちの多くは、大学院博士課程に行くともう将来がないと思っています。アメリカだと、大学院に行く若者たちは研究者になろうと考えて、そういう研究者のキャリアパスもきちんとありますよね。

根岸:それに加えて、スタンダードがまるっきり違いますね。大学はもちろん、著名な企業では研究職を得ようと思ったら博士号を持っていないと相手にしてくれません。ですからアメリカの場合、いや応なく博士課程に行くしかない。一流の化学会社、特に製薬会社は博士号を持っていなければ面接もしてもらえません。

コメント4件コメント/レビュー

企業側の現実を言うと、年功序列、同一賃金制が残っているので、30歳を新卒で雇うことに抵抗があるという問題もある。まぁ、こんなの問題でも何でもないんだけど。(2017/05/31 07:56)

オススメ情報

「from 日経テクノロジーオンライン」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

企業側の現実を言うと、年功序列、同一賃金制が残っているので、30歳を新卒で雇うことに抵抗があるという問題もある。まぁ、こんなの問題でも何でもないんだけど。(2017/05/31 07:56)

博士が必要とされる社会にする必要はあるのでしょうか?GDPを高めるため?愛国心を高めるため?

日本が経済的に頂点を迎えていた時代に残された傷が、どれだけ今の社会を厳しいものとしていることでしょうか。

博士が必要とされる社会は外にたくさんあるわけです。能力がある人は外に出て挑戦すればいいし、起業するにしても、その博士が必要とされている国で起業すればいいと思います。世界が博士の供給源であることを考えると、英語の使えない日本で起業する理由もないでしょうし。科学を国に結びつけて語るのは何か間違っている気がします。

例えば米国は日本よりはるかに豊かな国ですよね。その国で多くの人が博士になり仕事したいと思っているなら、日本人が米国で博士として仕事することはもっと魅力的なはずです。それなのに日本人が少ないなら、筆者の言う問題の解決策を見つけるのは簡単なのではないでしょうか?(2017/05/30 23:03)

日本企業で博士を採用したがらない理由は2つあると思っています。一つは、博士号を持つような人は変人で扱いづらいという偏見と先入観をもった企業人が多いことです。まあ、私に言わせれば劣等感や妬みと似たようなものですね。
△もう一つが日本の修士の専門性が高いことです。アメリカは、リベラルアーツ教育で大学を過ごして、修士や博士課程に行ってから専門を勉強します。対して日本は大学時代から専門を勉強します。だから修士の人でも3、4年の専門教育を受けています。博士の5年には足りませんが、アメリカの2年よりかなり有利です。なので、修士で十分と考えられるようになったのだと思います。その分一般教養がアメリカより不足している傾向があるように思います。なので、学際的な成果を出す人が少ないようには思います。(2017/05/29 21:29)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本という国は、もっと資本主義的になってほしいのです。

ゴー・ハップジン 日本ペイントホールディングス会長