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年下上司のなつかせ方

全国3000万ミドルの新・処世術

2017年9月6日(水)

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成果主義の定着や役割定年制の導入に伴い、年下の上司を持つミドルが増えている。かつては「会社員として年貢の納め時」との印象が強かった上司との年次の逆転。だが最近は、諸事情から「年下上司の下で働くこと」を自ら選択する中高年社員も少なくない。年下上司を持つ最大の利点は、年を重ねても現場で自己実現を追求し続けられることだ。無駄な会議が苦手、出世より成果をたたき出したい、まだまだ最前線で戦う自信がある──。そんなミドルのための新しい処世術を提案する。

(日経ビジネス2017年7月3日号より転載)

システム開発会社フェンリルの年下上司、橋本進一郎氏(右)。山下氏とは共通の趣味である漫画の話題でも関係を深める(写真=菅野 勝男)

 「そりゃあ自分にもメンツというものがあるから、3つも年下の人間が直属の上司になると聞いた時にはさすがに複雑な気持ちになった。でもよく考えると、これは僕にとってもメリットがあるなと思い直した」。大阪市に本社を置くシステム開発会社、フェンリル(柏木泰幸社長)で次長を務める山下一志氏(仮名)はこう話す。

「しょうがないか」ですぐ納得

 山下氏は1968年生まれの48歳で、正式な肩書は、管理本部管理部次長。一方、直属の上司である同部の部長、橋本進一郎氏は72年生まれで、今年45歳になる。

 2人の間で逆転人事が起きたのは5年前。当時、山下氏は課長で、橋本氏は課長と同等の役職である室長だった。次長に昇格した山下氏をさらに追い抜かす形で、部長に昇進した橋本氏。最初は困惑した山下氏だったが、「しょうがないか」とも思ったという。

 「人並みに出世意欲はある」と自らも思っていた山下氏が、「自分はマネジメントに向いていない」と思うようになったのは約10年前、課長になった頃からだ。

 まず、中間管理職には付き物の“上意下達の会議”が、組織を維持する上で必要と分かっていても無駄に思えて仕方がない。そんな時間があるなら、本業のシステム開発に集中したいと思う。

 また、部長以上に昇格した場合、どうやって仕事で達成感や満足感を得るか、不安だった。「より上の肩書になれば多少はちやほやされ給料も増えるかもしれないが、仕事は部下のマネジメントや人事評価、予算管理になる。そんなものが本当に面白いのか疑問だった」(山下氏)

 さらに、責任ある立場となれば、ゴルフや飲み会も増える。「でも山下さんはそんな時間があるなら趣味のギターと漫画に没頭したいタイプ」と橋本氏。山下氏を評し「恐れながら管理職には向いていない人」と苦笑するが、仕事仲間としては全幅の信頼を置く。能力自体は抜群だからだ。

 「若いエンジニアとコミュニケーションを取りシステムを効率的に開発していく手腕は自分にはないもの。実を言えば、僕が管理をやり、山下さんはずっと最前線にいた方が会社にとってもメリットがあるのではと以前から思っていた」と橋本氏は振り返る。

 橋本氏は山下氏と違って、マネジメントがつまらないとは思わない。会社の事業全体を把握し予算を確保しながら他の企業との提携を画策し、既に中国に展開している海外事業のさらなる拡張も図る。そうした仕事にやりがいを感じるし、そのためには飲み会もゴルフも会議も苦にはならない。

年下上司への3つの心掛け

 年次が逆転した上司と部下の関係を良好に維持していく上で、年上部下である山下氏が心掛けているのが「最終的な指示には素直に従うこと」「原則として敬語を使うこと」「言いたいことがあれば、2人きりで互いに本音を言い合うこと」だ。「それさえ心掛けていれば、上司が年下でもどうということはない」と山下氏。橋本氏も「互いに適性のあるポジションにいるだけで、違和感はない」と同意する。

 上司は年上、部下は年下──。日本人にとって当たり前だったそんな常識が覆るといわれ始めたのは90年代後半、成果主義の導入が始まってからだ。戦後、定着した年功序列文化は日本企業に深く浸透しており、当初の十数年は、上司と部下の年次逆転は一部の企業に限られていた。が、2010年ごろから「65歳までの定年延長」と「役職定年制」を打ち出す企業が増加。多くの会社で、定年延長者を部下に抱える年下上司が出現した。

 こうして年次が下の者が上の者を指揮する光景があちこちで見られるようになると、せきを切ったように状況は変化。ここ数年は、若返りを図りたい企業の意向もあって、定年延長者のみならず40~50代の社員を部下に持つ年下上司も珍しくなくなった。人材採用会社、エン・ジャパンが16年に35~59歳までのビジネスパーソン約300人を対象に実施した調査では、66%、3人に2人が年下上司の下で働いた経験があると回答している。

 これに伴い、フェンリルの山下氏のように、「会社員として年貢の納め時」という印象が強かった“上司との年次逆転”に対し、新たな捉え方をするミドルも増えている。駐車場シェアサービスを手掛けるakippa(以下アキッパ、大阪市、金谷元気社長)のマーケティングチームで働く横田学氏もその一人だ。横田氏は現在、40歳。直属の上司となるチームリーダーの広田康博取締役は35歳だ。

コメント5件コメント/レビュー

無駄な会議が苦手× 嫌い○
出世より成果を出したい× 成果を出しても出世できない○
最前線で活躍× 出世する人は最初から最前線にはいない○
市場価値が高い× 社内価値だけが重要○
社内のゴルフ・飲み会が面白くない× 社内接待が嫌い○
残業の振り○
誰にも負けないスキル× 出世にスキル不要○

日本の大企業のスペシャリスト軽視は異常です(2017/09/28 14:14)

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「年下上司のなつかせ方」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

無駄な会議が苦手× 嫌い○
出世より成果を出したい× 成果を出しても出世できない○
最前線で活躍× 出世する人は最初から最前線にはいない○
市場価値が高い× 社内価値だけが重要○
社内のゴルフ・飲み会が面白くない× 社内接待が嫌い○
残業の振り○
誰にも負けないスキル× 出世にスキル不要○

日本の大企業のスペシャリスト軽視は異常です(2017/09/28 14:14)

『年下上司のなつかせ方』とはずいぶんな見出しを選んだものだと思いました。
会社を機能させるために必要なポジションがあり、そのポジションに期待されている職務を遂行する意志と能力がある人をそこにはめ込むだけです。年齢も性別も全く関係がないです。
"年下上司だから"などと特別に考えるのは、労働のあり方について何かとんでもない勘違いしているということにすぎないのではないでしょうか。(2017/09/09 01:40)

>「最終的な指示には素直に従うこと」「原則として敬語を使うこと」
これって年下年上関係なく当たり前過ぎることだと思うのですが、これがコツとしてわざわざ出てくるということは、これを当たり前だと思っていない年下上司を持つ人がたくさんいるということなんですかね。

年上部下(特に男性)の懐かせ方も記事にしてほしいです。(2017/09/06 14:06)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官