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カゴメがスムージーで味わった挫折と復活

商品開発は「ヤマっ気もっていこう」

2018年1月29日(月)

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「トマトの会社から、野菜の会社に」──。そんなスローガンを掲げたカゴメの業績が好調だ。トマト関連商品と野菜飲料に次ぐ第3の柱として、商品特性が異なる2つのスムージーをヒットさせた。度重なる失敗にもめげずヒット商品に育て上げた背景には、「待ち」から「先取り」への経営改革があった。

(日経ビジネス2017年10月30日号より転載)

「GREENS」と「野菜生活100 Smoothie」などスムージーの売り場提案を始めた(横浜市金沢区のアピタ金沢文庫店) (写真=陶山 勉)

 「やっと東海エリアでも通常販売されるようになった!」「まもなく関西でも販売される。毎日でも飲みたい」──。

 2017年9月下旬、SNS(交流サイト)にはカゴメのスムージー「GREENS(グリーンズ)」についての書き込みが急増した。これまで販売地域は関東を中心とする1都9県だけだったが、関西と東海、北陸へと広がったからだ。原料は野菜と果実だけという無添加で、賞味期間は22日と短く新鮮さにこだわった。価格は198円前後(税抜き)と安くはない。それでも、消費者ニーズを的確に捉えることに成功した。

 だが、グリーンズをヒットさせるまでには、約3年の歳月が必要だった。開発が始まったのは2014年春。「フレッシュなジュースをつくる」という号令の下に、カゴメでは珍しい社内公募で開発メンバーが集められた。

 当時、野菜や果物を手軽に摂取できるスムージーや野菜ジュースの専門店が人気で、自宅でもスムージーを楽しめるジューサーが売れていた。そこでカゴメは、生野菜を加工した飲料の開発を目指した。

 マーケティング本部長を務める小林寛久常務執行役員は「とんがった商品を作ろうと、あえて飲みやすい商品はNGと言った」と振り返る。「とんがった」商品にこだわった理由は後述するが、そのイメージが裏目に出た。グリーンズの販売は大失敗から始まった。

7割が国内加工食品
●2016年度の連結売上高の内訳
注:2017年度は予想、農事業を除く国内事業の売上高を使用、14年度は決算期変更のため9カ月間の決算
国内加工食品事業は回復を始めた
●カゴメの国内加工食品事業の売上高の推移
注:2017年度は予想、農事業を除く国内事業の売上高を使用、14年度は決算期変更のため9カ月間の決算

 15年9月に1都3県のコンビニエンスストアで発売した最初の商品は、賞味期間はわずか約2週間。新鮮さにこだわったからこその短さだった。だが、当初は注目を集めたものの、生野菜特有の青臭さが強く、「おいしくない」という評判が瞬く間に広がっていった。

 3カ月後、売り上げはピーク時の10分の1に落ち込み、売り場では「20%オフ」という値引きシールが貼られた在庫が数多く並んだ。賞味期間が短いために、売れないとすぐに見切り品にされた。あまりの落ち込みに、確保していた原料でロスが出るほどだった。

 だが、カゴメは諦めなかった。消費者がスムージーや野菜ジュースに求める飲み応えや、どういった点に鮮度を感じるかを改めて分析。シャキシャキとした歯応えが楽しめるように、製造方法を見直して大きさが異なる野菜の粒が残るようにした。原料のほうれん草は、臭いが少ない品種に切り替えた。賞味期間も約1週間長くした。従来、リニューアルの頻度は1年に1度程度だったが、グリーンズは2年で7度も実施。「格段に消費者の嗜好に対応するスピードが上がった」と寺田直行社長は振り返る。

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「カゴメがスムージーで味わった挫折と復活」の著者

長江 優子

長江 優子(ながえ・ゆうこ)

日経ビジネス記者

2012年中日新聞に入社し、事件取材などを担当。14年秋に日本経済新聞社に入社し、機械業界などを担当。17年4月から日経ビジネス編集部に出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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