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眠れる「ライオン」、数字NG会議で覚醒

停滞している組織の潜在力を呼び覚ますには

2017年6月2日(金)

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業績が低迷していた企業の復活物語では、往々にして、痛みを伴う大胆な組織改革が焦点となる。 だが、長らく「眠れる獅子」ともいわれてきたライオンは、停滞からの脱却に、そうした手法を選ばなかった。 ポイントは3つ。ブランドの絞り込み、営業の意識改革、一蓮托生の組織風土の醸成だ。

(写真=稲垣 純也)

 「これまでの成果が出ている」──。2月10日、2016年度(12月期)の決算説明会の席上、日用品大手ライオンの濱逸夫社長の表情には自信が透けていた。それもそのはず。連結売上高は3956億円で前年度比4.5%増と順調に拡大。営業利益は同49.6%増の245億円へと急伸した。計画通りにいけば、17 年度は4期連続の営業最高益となる。

 上げ潮に乗っているライオンだが、最高益記録が始まる14年度より前は、低迷していた。連結売上高は30年ほど前から3000億円強で推移し、完全に横ばい状態。その間、営業利益率は2%程度で、同1ケタ後半だった最大手の花王と比べると、雲泥の差があった。

 もちろん、今でも花王との差は大きい。5年ほど前まで400円前後で推移していた株価は足元で2000円程度に上昇、時価総額は6000億円を超えたものの、まだ花王の約5分の1。営業利益率は6.2%だが、花王の12.7%(いずれも16年度)に遠く及ばない。

 それでも、ライオンにとって停滞から抜け出したという事実は、業績数字以上に大きな意味を持つ。組織が自信を取り戻し、眠っていた潜在力を呼び覚ましたからだ。

 きっかけを作ったのが濱社長である。11年10月、ライオンは20年までの長期ビジョン「Vision2020」を掲げた。前任の藤重貞慶相談役とともに、当時常務だった濱氏が中心となって策定した。ライオンとして10年先を見据えたビジョンを掲げたのは、初めてのことだった。その中身は、20年度に売上高5000億円、営業利益率10%を目指すというものだ。翌12年1月に社長に就任した濱氏が、その計画を自ら実行することになった。

 濱社長は、ライオンをどのようにして変えたのか。ポイントは3つ。①重点ブランドへの集中②「なぜ」を問う営業への脱皮③一体感の醸成だ。

(写真=バファリン:稲垣 純也)

重点ブランドを決め 高付加価値路線へ転換

 今でこそ中期経営計画の数値目標を1年前倒しするペースで達成している濱氏だが、社長としての出足はつまずいた。当初、12年度の営業利益は前年度比7.4%増を計画したが、35.4%減という大幅な減益になったのである。「売りやすいものばかりを売ってしまった」(濱社長)ことが最大の敗因だった。

 これこそがライオンの悪癖だった。競争が激しくなり、計画達成の雲行きが怪しくなると、安売りで量を稼ぎ、売り上げを確保する。実際、12年度上期は大幅減益になる一方で、売上高は前年度比5.5%増となった。

 社長就任早々、組織に染みついた「安売り」体質に足をすくわれた濱社長は、抜本的な改革を決意する。といっても、組織を大幅に再編したり、不採算事業を売却したりしたわけではない。社員の意識を変えることで、低収益体質から脱却することを目指した。

 最初に取り組んだのが、高付加価値化の可能性があるブランドに社内のリソースを集中することだ。約60あるブランドの中で、重点ブランドと位置づけたのは歯磨きなどオーラルケアの「クリニカ」や衣料用液体洗剤「トップ NANOX(現スーパーNANOX=ナノックス)」など1ケタのブランドのみ。その結果、重点ブランドのマーケティング予算は約1.5倍に拡大した。

コメント3件コメント/レビュー

キャッシュフローが悪化して自転車操業になる前に、こうした意識改革が成果に繋がったのだろう。
弊社は機を逸しました。(2017/06/10 00:03)

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「眠れる「ライオン」、数字NG会議で覚醒」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

キャッシュフローが悪化して自転車操業になる前に、こうした意識改革が成果に繋がったのだろう。
弊社は機を逸しました。(2017/06/10 00:03)

「数字NG」は面白い。確かに「数字を読みあげる」は単なる結果報告で頭は使ってない。(2017/06/05 18:30)

改革前のライオンの内情は、そのまま自社の現状に当てはまります。
これを自社の執行部に読ませたいです。(2017/06/02 08:48)

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