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能作の「錫の食器」はなぜ営業不在でも売れるか

“よそ者”社長が伝統産業の常識を「曲げて」成長

2017年12月11日(月)

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金属でありながら、手で好きなように曲げて形を変えられる食器が売れている。もともとは仏具や花器などを手掛けていた鋳物メーカーが、伝統産業の殻を破り挑戦を続けている。

(日経ビジネス2017年9月25日号より転載)
錫(すず)製のぐい飲みやグラス
錫は抗菌性が高い。また錫の器は、酒の味をまろやかにするといわれる。奥の「KAGO」は手で曲げて、好きな形状にすることができる。(写真=江田 健一)

 今、富山県高岡市に大勢の人が訪れる新観光スポットがある。鋳物メーカー能作が4月に開いた新社屋だ。商品の展示・販売スペースのほか、工場見学や製造体験コーナーまで併設され、産業観光施設となっている。オープンからわずか4カ月弱で、4万2000人以上が訪れた。能作克治社長は「想像以上の来場者数でうれしい悲鳴」と笑う。鋳物メーカーといっても、昔ながらのイメージはない。展示しているのは、自社で商品化したぐい飲みなどの食器やインテリア雑貨だ。

 素材は錫で、抗菌性が高く、曲げやすい特徴を持つ。一流ホテルのレストランで採用されたり、インテリアショップで取り扱われたりして、人気に火がついた。能作はもともと仏具や茶道具などを手掛けていた。伝統産業は作業工程ごとに分業体制をとっているところが多く、能作は色づけ前の真鍮製品を作り、次の工程先に卸していた。表には名前が出ない、下請け会社だった。しかし、能作社長には胸に抱いていた思いがあった。「職人の地位を高めるためにも、能作の名前を知ってもらうためにも、自社製品が必要だ」

売り場の声から商品作る

 能作が自社ブランドで食器やインテリア雑貨を手掛けるようになったのは2003年からだが、きっかけは、01年に東京・原宿のギャラリーで自社の技術を見てもらおうと展覧会を開いたことだった。インテリア雑貨店の担当者が展示作品の中にあった真鍮製のベルに着目し、取り扱いが決まった。しかし、売れない日々が続いた。

もともとは真鍮(しんちゅう)を使い、仏具や花器を製造していた

 なぜ売れないのか。悩んでいたとき、1人の店員が口にした言葉が能作の運命を変えた。「能作のベルはきれいでスタイリッシュ。だから、風鈴にしたらどうですか」。そのアイデアを商品化したところ、大ヒット。そこから、店員の声を生かした商品作りを始めた。今の能作を代表する錫の食器が生まれたきっかけも店員からの一言だった。「金属の食器が欲しい」

 能作社長が調べてみると、真鍮製の食器は衛生面から商品化が難しかった。そこで能作が取り扱う素材の中で、食器に適したものを探したところ、候補に挙がったのが錫だった。しかし、錫の食器は、大阪錫器や薩摩錫器など既に地域の伝統産業として存在している。よその地域の伝統産業を壊さずに、能作の強みを育てるには──。考えた末に行き着いたのは、錫100%の食器を作ることだった。

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「能作の「錫の食器」はなぜ営業不在でも売れるか」の著者

長江 優子

長江 優子(ながえ・ゆうこ)

日経ビジネス記者

2012年中日新聞に入社し、事件取材などを担当。14年秋に日本経済新聞社に入社し、機械業界などを担当。17年4月から日経ビジネス編集部に出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官