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極美な仮名と和様の書の世界

2018年1月24日(水)

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(前回から読む)

当代⼀流の能書たちが揮毫した、贈答⽤の豪華な調度⼿本の最⾼傑作
藤原定信 筆/本願寺本 三十六人家集 順集(西本願寺)

 藤原道長の「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」という一首にも象徴されているように、平安時代の中期になると、貴族による国風文化が開花しました。

 特に書は、和歌とともに、文化の中心にありました。

 この回は、漢字の日本風スタイルである「和様漢字」、女手(おんなで)と呼ばれていた日本独自の「平仮名」、さらに自然の景色になぞらえた「散らし書き」、雅やかで贅が尽くされた「料紙」などをクローズアップしてみました。これらは日本が世界に誇ることの出来る美であり、日本人の特性が端的に表われています。

 今回も古筆学がご専門である、九州国立博物館の島谷弘幸館長とお話させて頂きました。

書家 木下真理子

女性は漢字を使わなかった?

木下:この時代は、女性が漢学などの素養は身に付けなくていいというか、格式のある「真仮名(男手)」に、女性が触れられないということはあったのでしょうか。

島谷:女性の教養人も、真仮名(男手)や草仮名は使っていましたし、読めたと思います。

 ただ、今の時代にこういうことを言うのは変なんですけど、当時は女性が漢文を使うと生意気だみたいなことはあったわけです。清少納言が、唐代の詩人白居易(はくきょい)の漢詩の中の言葉をぽんと返したりすることは、今の感覚で言えば、漢学の教養があってとてもいいとなるんですが、当時は何か生意気で嫌みだという感じで。

木下:知ったかぶっていて、鼻持ちならないと。

島谷:当時の宮廷の女性たちは、分かっていても分からないふりをしているのが通常ではなかったかと考えられます。『源氏物語』(1008年)が出来るあたりまではそうだったと思います。

宮廷での御簾(みす)に囲まれた女性たちの暮らしぶり
源氏物語絵巻/隆能源氏 絵(国立国会図書館)

木下:『源氏物語』には、「あえか」という言葉が何回か出てきますが、繊細で雅やかな感じが良いとされていた時代なんですよね。

 そもそも「女手(平仮名)」は、字の通り、女性の手によって編み出されたものなのでしょうか。女性も日記や手紙を書いたりしたくて作られたものというイメージもあるのですが。

島谷:いや、それは男性が作ったんだと思いますけどね。

木下:では女性も一緒に作ったという感じでしょうか。

島谷:“女性が好みとした”と言う方が、正しいのではないかと思います。

 宮廷では、漢詩の会が催されて、男性は漢詩を勉強するんです。一方、女性は和歌を勉強するということがまずあります。

 ただ、男女のやり取りにおいて、男性は漢詩だけを書いていても、女性から漢詩は返ってきませんから、男性も和歌を書く為に、仮名を使ったわけです。

木下:身分の高い人たちの間では、直接女性の顔を見ることがなかなか叶わず、美しい女性がいるという噂を聞くと、まず和歌を贈るしきたりで。

島谷:最初は男手(真仮名)だったのかも分からないですけど、だんだん、草の手(草仮名)になって、さらに女手(平仮名)になって。

木下:漢文、漢字は“公式の場”で使われて、和文、仮名は“私的な場”で、和歌や日記、恋文などに使われるものだったんですよね。

 仮名が発達していった経緯としては、自分をどう魅せようかと、工夫していた部分と重なっているところがあるのではないでしょうか。消息(しょうそく:手紙)などでは、早書きもされていって。その結果、崩されるとともに、“続け字(連綿体)”にもなっていきますよね。

 やや専⾨的なお話になりますけれども、⼥⼿(平仮名)が出来ていくのは、「連綿」になっていくこととシンクロしているのでしょうか。

 仮名は最初、崩されてはいても、比較的一文字、一文字が離されて書かれていますよね。(参照「草仮名、放ち書きで書かれた秋萩帖 文化遺産データベース」)

島谷:二文字が続くこと、それくらいのものも含めて、「放ち書き(独草体)」と言いますが、それが女手(平仮名)へ向かうにつれて、流麗に連綿で、続けて書かれるようになっていきます。

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「極美な仮名と和様の書の世界」の著者

木下 真理子

木下 真理子(きのした・まりこ)

書家/書道文化研究会 主宰

雅号は秀翠(しゅうすい)。中国及び日本古来の伝統芸術としての漢字、漢字仮名交じり書を探求。自身の創作活動の他に、映画、出版物、展覧会、広告等、様々な分野の題字を手掛ける。書道研究会「翠風会」を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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