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拡大は求めない、顧客や社員の幸福こそ重要

第50回 黒川光博 虎屋社長(3)

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2017年1月31日(火)

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 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)が次世代の経営の担い手を育成すべく、エグゼクティブ向けに開設する「Executive MBA」。12月の授業では虎屋の黒川光博社長が登壇。500年続く長寿企業の経営の極意を語った。

 黒川社長のプレゼンテーションの後にはビジネス・スクールの受講生と黒川社長との質疑応答が行われた。500年という極めて長い伝統を背負いつつ、革新に挑んできた黒川社長。様々な局面でどのように考え、決断を下してきたのか。世界でもまれに見る「超長寿企業」の舵取りに受講者の興味が集中した。

(取材・構成:小林佳代)

黒川光博(くろかわ・みつひろ)氏
虎屋社長/17代当主

1943年生まれ。学習院大学法学部卒業。富士銀行(現みずほ銀行)勤務を経て1969年虎屋入社。1991年代表取締役社長に就任。現在に至る。全国和菓子協会名誉会長、日本専門店協会顧問などを務める。著書に『老舗の流儀 虎屋とエルメス』(新潮社、共著)、『虎屋──和菓子と歩んだ五百年』(新潮新書)などがある。(写真=陶山勉)

「御用伺い」から「デパートでの販売」へ

受講者: 端的にお聞きします。虎屋が500年もの長きにわたり続いたのは何が理由だと思いますか。長い歴史の間には危機があったり、ときには大きな災害があったりしたことと思います。それらをどう乗り越えて今にいたっているのでしょうか。

黒川:おっしゃる通り、500年の間には様々な歴史的事件や災害などに遭遇しました。虎屋はその機をとらえて変革してきたからこそ、今があるのだと考えています。

 例えば1923年(大正12年)に起きた関東大震災。それまで私どもは、お客様のご注文をお伺いし、それから菓子をおつくりする、「御用伺い」のスタイルで商売をしていました。対象となるお客様は皇室など、ある程度限られた方たちでした。関東大震災後、社会情勢が変化したこともあり、私の祖父の15代・武雄がこの従来の販売スタイルを見直しました。御用伺いに加えて、店頭販売を開始したのです。今でいう「ダイレクトメール」をお送りしたり新聞広告を積極的に出したりと顧客拡大に努め、波乱の時代を乗り切りました。

 第二次大戦後の「高度成長期」も変革のきっかけとなりました。私の父である16代・光朝がデパートでの販売に乗り出したのです。これには相当議論があったようで、祖父は大反対したそうです。けれど、父はぜひやるべきだと出店し、虎屋として新たな展開を迎えました。

「事業の拡大」は目指さない

受講者: 時代の変化を敏感にとらえて対応したからこそ生き残って来られたということですね。その際、変革の方向性としては「事業の拡大」を目標としてきたのでしょうか。それとも「別の価値観」があったのでしょうか。今、様々な弊害を生んでいる「資本主義」そのものに疑問が投げかけられることも増えていますが、500年という長い時間を生き続けてきた虎屋には資本主義とは異なる思想、哲学もあったのではと思いますが、いかがでしょうか。

黒川:私は事業の拡大には否定的です。今、虎屋の店舗は全国に81ありますが、この20年間で数店舗増えた程度です。企業規模を大きくしようとか、売上だけを伸ばそうとはそもそも考えていません。拡大を否定したら企業が衰退するなどとは思っていません。

 お客様が、虎屋の菓子を召し上がって「幸せな気持ちになった」と思ってくださること、また虎屋で働いている人たちが「この会社に勤めて良かった」と思ってくれることこそ、大きな価値がある。売上高の規模は問題ではないと思っています。

 我々が作っているものは1つ約500円という商品。大きな羊羹(ようかん)でも数千円です。大事なのは我々が作った和菓子と、召し上がってくださる方々や興味を持ってくださる方々とをフィットさせることです。商品をお届けするお客様のご要望をしっかりとつかむことができれば、わずか900人ほどの社員が満足しながら仕事をすることは難しくないと思っています。

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