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倒産のフチまで行かないと、企業は変われない

第70回 斎藤英明 アクサダイレクト生命保険 代表取締役社長(3)

  • 慶応ビジネス・スクール

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2017年11月7日(火)

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 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)が次世代の経営の担い手を育成すべく、エグゼクティブ向けに開設する「Executive MBA」。9月の経営者討論科目に登壇した斎藤英明アクサダイレクト生命保険代表取締役社長は「企業変革とリーダーシップ」と題した講義を行った。

 講義の後半では受講者との間で質疑応答を行い、会社を大胆に変革していく際の方法論や視点、“サラリーマン社長”の是非などについて活発に意見が交わされた。また、欧米では「お客様は神様」とはとらえず「プロダクト・アウト」を貫いてイノベーションを起こすという企業が少なくないが、日本でそうした手法を実現することについての助言もあった。

(取材・構成:小林佳代)

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斎藤英明(さいとう・ひであき)氏
アクサダイレクト生命保険 代表取締役社長

1963年東京都生まれ。1986年東京大学法学部を卒業後、農林中央金庫に入庫。本店で融資を担当していた1994年に米スタンフォード大学ビジネススクールへ留学、1996年MBAを取得。1998年ボストン・コンサルティング・グループに入社し、後にパートナー&マネージング・ディレクターも務めた。2010年シスコシステムズに移り、常務執行役員、専務執行役員を歴任した。2013年2月アクサダイレクト生命保険(旧ネクスティア生命保険、2013年5月社名変更)の社長に就任。落ち込みが続いていた新契約件数を約2年でV字回復させた。(写真:陶山勉)

会社を根本的に変えるなら、移ってすぐに“外科手術”が必要

受講者:自分の話で恐縮ですが、以前、私は勤めていた外資系金融機関が国内の生命保険会社を買収した関係で生保業界に身を置いたことがあります。その際、非常に硬直した組織風土に直面してとても驚きました。
 当時の私の経験と同じとは思いませんが、全く違う業界からそういう生保業界に入られて、組織風土をどのように改革していこうと考えたのか。どういう視点で考えていたかについて教えていただけたらと思います。

斎藤:例えば、医療の世界では難しい病気を、外科手術で治すか、内科的な治療で治すかという議論がよく出ますね。異なる業界に移って企業の変革に取り組む場合も、外科手術的な改革もあれば、内科の治療的な改革もあります。ただし、その会社を根本的に変えたいと思ったら、その企業に移ってからすぐに外科手術に取り組まねばなりません。

 そういう覚悟をもって、私自身、会社を移ってすぐに外科手術的な思い切った変革に取り組んだこともあります。その際、私が社長になった時には9人いた部長のうち、1年後に残っていたのは2人でした。皆さん自分の行くべき道を自分で選んだということではありますが、皆さんがそうした選択をするうえで、私がお尻を押したという側面はあったと思います。

 今の会社に来てからは、4年半にわたり、定期的に社員向けにメールマガジンを出しています。最初の頃の内容を今ふり返ると、我ながら勢いがあるなと感じますね。この講義の最初の方でお話した「よそ者、若者、ばか者」の話でいうと、やはり4年半いる間に、今となっては自分には「よそ者感」が薄れてきたというところがあるのだと思います。

 経営悪化した大手企業の例などを見ると、組織も人間も本当に痛い目に遭わないと変わるのは難しいとも感じます。組織風土を変えるのが簡単ではないなら、人を全部入れ替えてしまうというのもアリなのかもしれないとは思います。

 最終的には、私は自動的に回るようなビジネスの仕組みをつくるのが理想ですね。ご質問の趣旨とは変わってしまいますが。みんなが仕事を頑張らないと儲からない仕組みではなく、そんなにめいっぱい頑張らなくても儲かる仕組みをつくることにも、目を向けることが必要ではないかということを考えながら経営をしています。

コメント1件コメント/レビュー

「倒産のフチまで行かないと、企業は変われない」は多くの日本企業の性格を的確に表現していると思う。日本企業が得意とするのは「カイゼン」で「少しずつ良くする」手法であり、劇的な変化を伴う「改革」はリスクが高く、多くの経営者たちの『手に負えない』のだ。自分は米系の会社で経営改革の実際を目の当たりにしたので、どういうものかある程度理解している。社長またはその代理人である経営者が、責任者を一堂に集め、「今から説明する経営委方針に同意しない者は、そうと分かった時点で即刻この部屋から出て退職の手続きをとって下さい。」という話から始める。重要な部門長は経営トップの思うままに動ける人に即刻入れ替え、スピード感を持って改革を推進する。有無を言わせない、厳しいものだ。そういう厳しさを自分の部下に対して行使できる経営者の少なさに於いて、日本は世界有数の国だ。大方は『そんな冷酷な事は出来ない』のだ。自分の会社でも、日本における改革推進者の何人かは改革完了後に辞職した。『冷酷な人』と見られるのが嫌だったのか、それとも自分なりに責任を取ったのか。如何にも日本的な出来事だった。(2017/11/07 16:33)

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「倒産のフチまで行かないと、企業は変われない」は多くの日本企業の性格を的確に表現していると思う。日本企業が得意とするのは「カイゼン」で「少しずつ良くする」手法であり、劇的な変化を伴う「改革」はリスクが高く、多くの経営者たちの『手に負えない』のだ。自分は米系の会社で経営改革の実際を目の当たりにしたので、どういうものかある程度理解している。社長またはその代理人である経営者が、責任者を一堂に集め、「今から説明する経営委方針に同意しない者は、そうと分かった時点で即刻この部屋から出て退職の手続きをとって下さい。」という話から始める。重要な部門長は経営トップの思うままに動ける人に即刻入れ替え、スピード感を持って改革を推進する。有無を言わせない、厳しいものだ。そういう厳しさを自分の部下に対して行使できる経営者の少なさに於いて、日本は世界有数の国だ。大方は『そんな冷酷な事は出来ない』のだ。自分の会社でも、日本における改革推進者の何人かは改革完了後に辞職した。『冷酷な人』と見られるのが嫌だったのか、それとも自分なりに責任を取ったのか。如何にも日本的な出来事だった。(2017/11/07 16:33)

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