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大和ハウス、売上10兆円に団地再生が必要な理由

高齢化率40%ニュータウンでの挑戦

2017年1月31日(火)

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日経ビジネス1月30日号特集「スッポン経営 大和ハウス」では、少子高齢化の進む国内市場でも成長を続ける大和ハウス工業の経営戦略を特集した。同社の強みは、一度関係を築いた顧客には徹底して次なる案件提案を続けるスッポンのごとく粘り強さ。その姿勢は、高齢化の進むかつてのニュータウンでも同じだ。活気を失った街に新たな建築需要を見いだし、地域の活気を取り戻そうとしている。

夢のマイホームタウンの40年後

1971年の開発当初の緑が丘ネオポリス。最先端のニュータウンとして神戸市内で働く若手会社員が入居し、地域は活気に満ちあふれた。
現在の緑が丘ネオポリス。高齢化が進み地域に空き家が目立つようになってきた。

 まずは右側の二つの写真を見比べて頂きたい。上の写真は1971年、大和ハウス工業が兵庫県三木市に大規模団地「緑が丘ネオポリス」を開発した当時の様子だ。

 高度経済成長期、神戸市のベッドタウンとして神戸製鋼所や川崎重工業などの若手社員がこぞって夢のマイホームをこの地に買い求めた。

 プレハブ工法を中心とした住宅。各家にはマイカーが置かれ、庭には色とりどりの花が植えられていた。同世代の子育て世代が集まり、経済成長を遂げた豊かな生活を享受する場となった。

 それから約40年以上が過ぎ、現在の緑が丘ネオポリスの様子が下の写真だ。30歳代が中心だった当時の入居者は70代を迎え、地域3400区画の高齢化率は39.5%。今では三木市全体が消滅可能性都市の一つとされている。

 緑が丘ネオポリスの最寄り駅、神戸電鉄・緑が丘駅を降りると、駅前のロータリーには乗用車は殆ど見当たらない。近隣の私立大学に通う学生向けシャトルバスが寂しくたたずむばかりだ。1970年代後半から神戸市で地下鉄網が広がり、神戸電鉄沿線への新規流入数は減っている。

それでも8割の住民は住み続けたい

 緑か丘地域は、その名の通り緑の山を切り開いて造成された地域。駅を出ると、急な下り坂が続く。「高齢化する住民が買い物などに出かけるには不便」と大和ハウスで都市開発を担当する森田博昭氏は説明する。

 典型的な高齢化ニュータウンの姿がそこにもあった。商店街にはシャッターを閉じる店舗が増えた。住宅街の空き家も目立ち始めている。一方で、調査によると住人の8割が今後も同地域に住み続けることを望んでいる。

 老朽化団地の再開発という言葉を耳にする機会が増えたが、「正直儲けが少なく、手がけにくい」と別のハウスメーカー幹部は漏らす。

 新しい住宅地の開発は比較的話が早い。地域に家を持とうとする人々は、経済状況や望む家の間取りが似通っている場合が多く、建設も一度に手がけることができる。一方、高齢化が進んだ地域では、個々の生活、健康、経済の状況は様々で、建て替えやリフォームなどを地域でひとまとめには出来ない。手間が掛かるため利幅が薄いのが通常だ。そんな「老いる街」でも十分利益が見込めると、大和ハウスが街ぐるみの再開発に動き出している。

 「この空き地を見て下さい」。大和ハウスの森田氏が紹介したのは駅から車で10分ほど離れた地域。フェンスで囲まれ空き地となっていた。ここに、サービス付き高齢者住宅の建設を大和ハウスは予定しているという。

 大和ハウスの強みは、通常のハウスメーカーが手掛ける戸建てや集合住宅のみならず、介護や物流施設、小売店舗など街を構成するありとあらゆる施設を建設出来るノウハウを持つこと。ニュータウン再生は、住宅地を再開発するだけでは利益は少ないが、高齢者向け施設を建設し、その後の運営に関わることで収益は格段に向上する。

 さらに、同社が出資するサイバーダインが製造している医療・介護向け補助装置「ロボットスーツ」などの商品を納入する事も出来る。シーツなどの頻繁な洗濯が必要な施設だけに、パナソニックなどと共同出資したセブンドリーマーズの洗濯折りたたみロボットの活躍の機会もあり得るだろう。

 大和ハウスの樋口武男会長は、「建築物だけで無く、その中で使われる商品を売らないと売上高10兆円には到達できない」と日頃話す。緑が丘ネオポリスは同社が創立100周年を迎える2055年に向けて目標としている10兆円到達に向けた格好の試験場と呼べるかも知れない。

コメント1件コメント/レビュー

先日、親が亡くなって空き家になった土地建物を処分しました。
小田急線沿線で都心から1時間強の大手不動産開発の住宅地ですが、できたのが何と東京オリンピックの年。その頃はマイカー所有も珍しく平屋中心の建て売り地、今となっては2階建て用途に区画も狭く道路幅も乗用車がすれ違うので精一杯。これでは建て替えて住む気にはなれませんでした。
老朽マンションも建て替えで苦労すると聞きますが、戸建て住宅地もそれ以上の困難がつきまとうのではないでしょうか。こういったところにも空き家が増える原因があると思います。(2017/01/31 11:36)

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「大和ハウス、売上10兆円に団地再生が必要な理由」の著者

武田 健太郎

武田 健太郎(たけだ・けんたろう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学教育学部卒業、日本経済新聞社に入社。「NIKKEIプラス1」を担当後、証券部で金融マーケットや企業財務を取材。CFA協会認定証券アナリスト、AFP(日本FP協会認定)。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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先日、親が亡くなって空き家になった土地建物を処分しました。
小田急線沿線で都心から1時間強の大手不動産開発の住宅地ですが、できたのが何と東京オリンピックの年。その頃はマイカー所有も珍しく平屋中心の建て売り地、今となっては2階建て用途に区画も狭く道路幅も乗用車がすれ違うので精一杯。これでは建て替えて住む気にはなれませんでした。
老朽マンションも建て替えで苦労すると聞きますが、戸建て住宅地もそれ以上の困難がつきまとうのではないでしょうか。こういったところにも空き家が増える原因があると思います。(2017/01/31 11:36)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官