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トランプ政権はメキシコをどういじめるか

関税措置、非関税措置、NAFTA再交渉の中身を考える

  • 篠原 筺

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2017年1月30日(月)

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 トランプ大統領は雇用を米国に取り戻すために、また貿易赤字を解消するために何をしようとしているのか。現時点でトランプ政権の具体策は見えないが、いくつかの可能性が考えられる(次ページの表を参照)。関税措置、非関税措置、そしてNAFTAの再交渉の3つに分けて見てみよう(メキシコの現地リポートはこちら)。

“Very Major”な国境税とは何か?

 まず関税を伴う措置としては、メキシコからの輸入品に関税を課すという単純なものから、メキシコの特定製品(自動車など)に対するアンチダンピング関税、セーフガード(緊急輸入制限)が考えられる。

 トランプ大統領はメキシコからの製品に35%の関税を課すとたびたび主張している。26日には、メキシコなど米国が貿易赤字を抱える国からの輸出品に20%課税して、国境の壁建設にあてたいと大統領報道官が発言した。ただ、いずれにしてもWTO(世界貿易機関)の最恵国待遇原則に反するため、メキシコを狙い撃ちにした35%の関税はWTOの枠組みで考えれば恐らく不可能だろう。アンチダンピング関税は、中国製の鉄鋼製品などで設定されているが、「メキシコからの輸入では不当廉売の事実がそもそも満たされない可能性が高い」(デロイト トーマツ コンサルティングの羽生田慶介執行役員)。セーフガードに至っては、特定の国を狙い撃ちにすることはできない。

 次に非関税措置としては国境税調整が挙げられる。これは共和党が検討している法人税改革の一部で、輸出売上高は収入から控除できる一方、輸入仕入れ高を経費として認めないというものだ。そのまま導入すれば、仮に法人税率が20%になった場合、輸出高の20%を補助金として受け取り、輸入高の20%を関税として支払うのと同様の効果が得られるため、米国内に生産拠点を戻すインセンティブが強く働く(トランプ大統領のいう“Very Major”な国境税とはこのことを指すと思われるが、別のアイデアがあるのかもしれない)。

 もっとも、国境税調整は輸出企業に対する輸出補助金と同義でWTO違反とみなされる可能性が高い。それ以外に税制上の優遇を与えることで国内調達を要求することも打ち手としては考えられるが、こちらもWTO違反の可能性が高い。トランプ政権がWTOルールを無視するということもあり得るが、そうなれば米国がWTOに提訴されることになる(そんなことは気にしないのかもしれないが…)。

コメント1件コメント/レビュー

WTOの規範は自身がWTOに残りたい国に対して強制力を持ち得るが、WTOからの脱退を覚悟した国に対しては強制力を持たない。トランプの見方は、「米国がWTOを必要とする以上に、WTOが米国を必要としており、米国がWTO脱退をチラつかせれば、墨も中国もおとなしくなる。」というものだと思う。しかし、米国を抑えられないWTOは、中国にとっても意味が無い。かつて、中国が大きな政治的リスクを払ってもWTOに入ったのは、米国との二国間協定で両国間通商関係をノーマライズすることの安全保障上のリスクを痛感し、それをWTOによって担保したかったから。それが出来ず、米国との関係が二国間通商協定で規定される状況に戻るなら、中国も米国同様WTOを無視する行動に出るだろう。
現在、WTOは破壊的な挑戦を受けているのであり、米国を翻意させる対策を世界全体で対応を考える必要がある。さもなければ、世界の貿易秩序はWTO以前に逆戻りしてしまうだろう。(2017/02/01 18:08)

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WTOの規範は自身がWTOに残りたい国に対して強制力を持ち得るが、WTOからの脱退を覚悟した国に対しては強制力を持たない。トランプの見方は、「米国がWTOを必要とする以上に、WTOが米国を必要としており、米国がWTO脱退をチラつかせれば、墨も中国もおとなしくなる。」というものだと思う。しかし、米国を抑えられないWTOは、中国にとっても意味が無い。かつて、中国が大きな政治的リスクを払ってもWTOに入ったのは、米国との二国間協定で両国間通商関係をノーマライズすることの安全保障上のリスクを痛感し、それをWTOによって担保したかったから。それが出来ず、米国との関係が二国間通商協定で規定される状況に戻るなら、中国も米国同様WTOを無視する行動に出るだろう。
現在、WTOは破壊的な挑戦を受けているのであり、米国を翻意させる対策を世界全体で対応を考える必要がある。さもなければ、世界の貿易秩序はWTO以前に逆戻りしてしまうだろう。(2017/02/01 18:08)

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