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川淵三郎氏が読み解く『トヨタ物語』(後編)

「ベンチャーの意識を、危機感を、持ち続けよ」

2018年3月6日(火)

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 「カイゼンに終わりなし。我が意を得たりだ」。新刊『トヨタ物語』を読んだ川淵三郎氏はそう語り、小声で言った。「読みながら泣いてしまったよ」。『トヨタ物語』著者の野地秩嘉氏が“川淵流”の読み方を聞く。その後編。

■重版出来!『トヨタ物語
 トヨタはなぜ強いのか――その本質に迫る巨編ノンフィクション。日経ビジネス連載「トヨタ生産方式を作った男たち」に書下ろしの新章などを加えた圧巻の408ページ、ついに刊行。早くも4刷。日経BP社刊

前編から読む)

現状維持は退歩

川淵さんはトヨタの人たちとは親しかったのですか。

 「デンソーの社長さんとか役員の方たちには、ずいぶんとお世話になった。一緒に仕事をするだけではなくて、ゴルフもやった。僕は名古屋(ゴルフ倶楽部)の和合コースでシングルプレーヤーになったんです。あの頃はもうサッカーを見限っていたところがあるからね。

 日本のサッカーはダメだ、絶対によくならないと思っていた。それより以前に強化担当委員長をやって、当時の幹部に建白書を出していたりしたけれど、なかなか組織は能動的に動こうとしなかった。自分たちの組織を変えていこうという気持ちがなかった。

 それならもういい、オレは仕事とゴルフをやる。そんな気持ちになっていたのが名古屋で働いていたときだった」

川淵三郎(かわぶち・さぶろう)
1936年、大阪府生まれ。61年、早稲田大学商学部を卒業後、古河電工に入社。サッカー日本代表として64年東京五輪などで活躍。日本代表監督も務めた。91年のJリーグ立ち上げに奔走し、初代チェアマンに就任。日本サッカー協会会長を務めた後、首都大学東京理事長、Bリーグチェアマン、日本バスケット協会会長などを歴任。現在、日本サッカー協会キャプテン(最高顧問)、日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザーを務めながら、年間50回以上のゴルフを楽しむ。

うかがっていると、仕事よりも、むしろゴルフの研鑽に励んでいたように思われるのですが。

 「まあ、言われてみればそうかな。でも、仕事もしたんだよ。仕事の改善も自分なりにやっていた。この本には『改善には終わりなし』と書いてあるけれど、僕も現状維持は退歩と考える方だから。改善して労働環境をよくしていかないと、生産性は上がりません。僕自身、実感しています。

 たとえば、働き方改革だけれど、それは自分の仕事が楽になる方向で考えなきゃならない。電子化、IT化が進んで、仕事は以前よりも楽になっているはずなんです。

 しかし、実際はやることばかり増えて、残業が多くなっている。生産性は向上していない。職場をIT化したのであれば、次は自分の仕事からムダを省いていかなくてはいけない。日本の企業の生産性が欧米企業に比べて低いのはまだまだムダが多いのでしょう」

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「川淵三郎氏が読み解く『トヨタ物語』(後編)」の著者

野地 秩嘉

野地 秩嘉(のじ・つねよし)

ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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