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河合副社長が読み解く『トヨタ物語』(後編)

“鍛造職人”が語る「カイゼンできる人の育て方」

2018年5月29日(火)

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 トヨタ自動車副社長の河合満氏は新刊『トヨタ物語』を読んで、「『心』が入っている」と感じた。河合氏が考える「カイゼンできる人の育て方」について『トヨタ物語』著者の野地秩嘉氏が聞く。その後編。

■重版出来!『トヨタ物語
 トヨタはなぜ強いのか――その本質に迫る巨編ノンフィクション。日経ビジネス連載「トヨタ生産方式を作った男たち」に書下ろしの新章などを加えた圧巻の408ページ、ついに刊行。早くも4刷。日経BP社刊

前編から読む)

最初のカイゼン

野地:河合さんがトヨタに入って一番最初にやったカイゼンってどういうものでしたか。

河合満(かわい・みつる)
トヨタ自動車副社長

1948年、愛知県生まれ。66年、トヨタ技能者養成所卒業後、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)入社。鍛造部で腕を磨き、2005年、本社工場鍛造部部長。08年、本社工場副工場長。13年に技監就任の後、専務役員などを歴任し、17年より現職(写真:おおさきこーへい、以下同)

河合:それこそ単純だった。迂回して歩かないようにする。物があるから、ちょっと、どかしてまっすぐ歩くようにする。もうそんなカイゼンですよ。それから遠くにあった工具を近くに持ってきて、手元の棚に掛けておくようにした。10歩、歩いていた作業が2歩でいいとなった。それでも500円とか1000円をもらえたんです。

野地:それは大きいですね。

河合:なかには1カ月にカイゼンを50件とか100件も書くやつがおったもん。僕はそれほどは書かなかった。

野地:でも、いくら数を増やしても、全部は採用されないんですよね。

河合:いやいや、大半は採用されるんですよ。でも、あまりにもたくさん提案が出てくるようになったから、会社も厳しくなってね、10枚出したら7対3になった。7割は500円で、3割が1000円。そういう比率になった。そうなると、僕らはしたたかだからね、わざと500円用のやつを7枚書く。その後、絶対にいいやつを3枚書く。賞金を全部もらえるようにする。

野地:面白いですね。

河合:お金はありがたかったけれど、でも、タダでもいいんですよ。自分のアイデアが採用され、目の前で効果を肌で感じた喜びは最高。だから、金額じゃないんです。

 それより、いいアイデアを持っているのに、提案しないやつがいて、そいつに「お前、提案して金にしろ。それで俺たちにおごれ」と。

 僕は今でも現場の人間に「提案しなきゃダメだ」って言うんだよ。「それで、これいくらもらった?」「1万円です」って。「部長呼んでこい」って。なんでこんないいアイデアが1万円なんだと。もう1回再提案して3万円ぐらいつけろ。俺が許可してやる。

 本人は喜ぶんですよ。いいカイゼンがあるでしょう。それを横に展開をすれば、影響は大きい。全世界にヨコテン(横に展開する 他の工場でも採用すること)で稼ぐ。この工場で1台あたり1円しか儲かってないとしても、全世界だったら100円になる。それがトヨタのカイゼンですよ。

野地:そうか、ここでやったことを全世界でいいものは全部。

河合:今はネットですぐに送るんです。たとえば、組み立て工場なら、田原がある、元町がある、堤がある、高岡がある。その工場で技術員と部長がリーダーになっていろいろカイゼンをやったり、新技術を開発する。開発したら、それをすぐに海外の拠点に送る。同じ設備が海外に10台あるとする。ひとつのアイデアを海外の10台全部に落とすんです。

野地:ということは、例えばロシアで開発されたアイデアも…。

河合:来ます、来ます。だからこっちからやったやつは全部出すし、向こうからいい提案がくれば我々も取り入れて勉強する。

野地:海外から来て、河合さんが「えっ」と思うようなのもありますか?

河合:あります、あります。どのショップも、だから鋳造も鍛造も、機械も組み立ても成形も塗装も、それぞれのショップがアイデアを出し合う。各ジャンルの工場でもやるし、世界でもやる。

コメント1件コメント/レビュー

 私は現役時代(昭和42年から47年)製鉄所で働いたことがありますが、トヨタの工場の生産管理方式は大変参考になり、刺激になりました。今回の「トヨタ物語」外伝を拝読し、日本における「ものづくりの伝統と力」を感じることが出来ました。取材を続けられた野地秩嘉氏のエネルギーにも感激しました。ありがとうございました。(2018/07/13 07:06)

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「河合副社長が読み解く『トヨタ物語』(後編)」の著者

野地 秩嘉

野地 秩嘉(のじ・つねよし)

ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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 私は現役時代(昭和42年から47年)製鉄所で働いたことがありますが、トヨタの工場の生産管理方式は大変参考になり、刺激になりました。今回の「トヨタ物語」外伝を拝読し、日本における「ものづくりの伝統と力」を感じることが出来ました。取材を続けられた野地秩嘉氏のエネルギーにも感激しました。ありがとうございました。(2018/07/13 07:06)

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