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販売のプロが読み解く『トヨタ物語』(後編)

大久保政彦氏「できる店長を育てるには…」

2018年7月3日(火)

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 自動車販売のコーチングをしている大久保政彦氏は新刊『トヨタ物語』を読んで驚いた。「2000年頃に日本で広まったコーチングの手法が、トヨタでは遥か昔から実践されていた」からだ。そして、人材育成の難しさと手応えを語る。販売のプロの読み解き方を『トヨタ物語』の担当編集Sが聞く。その後編。

■重版出来!『トヨタ物語
 トヨタはなぜ強いのか――その本質に迫る巨編ノンフィクション。日経ビジネス連載「トヨタ生産方式を作った男たち」に書下ろしの新章などを加えた圧巻の408ページ、ついに刊行。早くも4刷。日経BP社刊

前編から読む)

現場に入ってコーチングをして、考える営業スタッフを育てる。それが一定の効果を上げたとして、大久保さんが現場を離れた後、また元に戻ってしまうということはないのですか。

大久保政彦(おおくぼ・まさひこ)
株式会社プログレス代表/1965年、東京生まれ。1988年、文教大学人間科学部人間科学科教育学専修卒業。国産、外資系自動車販売会社を経て、2005年人材育成会社設立に参加。旅行、自動車などセールスを中心に人材育成を行う。2016年より現職。現在、メーカー、販社にて営業研修や現場での実践トレーニングを行い、即戦力を育成する。

大久保:それでは困りますので、考える現場を率いるリーダーの育成が重要になります。

どんなことがポイントになりますか。

大久保:簡単ではありません。例えば、トップセールスを店長にした途端、潰れちゃうということが結構起きるんです。

最も営業力がある人が、マネジメント力があるとは限らない。

大久保:『トヨタ物語』に「靴ひもの結び方」の話が出てきますね。

「靴ひもを結ぶことはできるかい? じゃあ、その結び方を口で説明してくれるかい?」(231ページ)。

大久保:自分でできるけれど、伝えるのは難しい。100台、150台と売るトップセールスに、そのやり方を聞いても説明できない。

 面白いもので、トップセールス10人に「何でそんなに売れるんですか」と聞くと、「よく分からない」とほぼ全員が言うんですよ。そして「特別なことはやっていないです」。

それは教えたくないからじゃなくて、何が特別なのかが自分ではよく分からない?

大久保:そう、分かっていないんです。

そんな時はどうするんですか。

大久保:「じゃあ、1カ月、時間をあげるから、自分が成功したと思うところ、うまくいったところをメモしてください」と言います。

 そのメモを読むと、いいことが書いてあるんです。「もう今日は絶対帰さないと思った」とか。

強引ですね(苦笑)。

大久保:もちろん、無理やり買わせるということではないんですよ。お客様の要望をお聞きして、条件に合う車が見つかって、ここは決めるところだ、ということをちゃんと見極めての「絶対帰さない」なんです。

 実は、これがなかなかできない。お客様の話を聞くことは大事ですが、聞くばかりで、せっかく買う気になっているお客様の決断を促せないというパターンが結構多いんです。

なるほど。

コメント1件コメント/レビュー

営業職ではなく技術職ですが、大変参考になりました。

「できる人が上に立って、できない人を理解せず、何でできないんだと詰め寄って、ノルマを課して…。」

の例と逆のパターン「できない人が上に立って、できる人を理解せず、何でできないんだと詰め寄って」と言う事がありました。

まだ世の中に存在しない製品開発でした。
だから、理論だけが存在しどんなメカニズムかも解明されていない、何がキーかもわからない。幾らで買ってもらえるかもわからないからかけられるコストも不明、それ故どうやって製造したらいいかもまだわからない時期の事。

その後、無事に商品化に至りましたが、理論が解明されたのはその後でした。
一緒に考えようと言うスタンスは微塵もなく、できない理由を説明しても部下の手柄だけで偉くなった開発マネージャーだったからか、困っていることが理解できず追い込む一方でした。(2018/07/03 09:22)

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「販売のプロが読み解く『トヨタ物語』(後編)」の著者

野地 秩嘉

野地 秩嘉(のじ・つねよし)

ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

営業職ではなく技術職ですが、大変参考になりました。

「できる人が上に立って、できない人を理解せず、何でできないんだと詰め寄って、ノルマを課して…。」

の例と逆のパターン「できない人が上に立って、できる人を理解せず、何でできないんだと詰め寄って」と言う事がありました。

まだ世の中に存在しない製品開発でした。
だから、理論だけが存在しどんなメカニズムかも解明されていない、何がキーかもわからない。幾らで買ってもらえるかもわからないからかけられるコストも不明、それ故どうやって製造したらいいかもまだわからない時期の事。

その後、無事に商品化に至りましたが、理論が解明されたのはその後でした。
一緒に考えようと言うスタンスは微塵もなく、できない理由を説明しても部下の手柄だけで偉くなった開発マネージャーだったからか、困っていることが理解できず追い込む一方でした。(2018/07/03 09:22)

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