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トヨタ河合副社長が考える「人とITのいい関係」

現場一筋55年、モノづくりの「こころ」を語る(後編)

2018年7月20日(金)

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 2018年7月、名古屋で行われた日経ビジネス特別セミナー『現場からみた「トヨタ生産方式」と伝説の「オヤジ」たち』。

 中学卒業後、15歳で入社。以来、現場一筋55年、トヨタ初のたたき上げ副社長となった河合満氏と、『トヨタ物語』『トヨタ 現場の「オヤジ」たち』を上梓したノンフィクション作家・野地秩嘉氏との対談が行われた。受講者を募集するや即満席となった、この人気セミナーの模様をお届けする。

 現場から見た、トヨタ生産方式の真の姿とは、そしてニッポンのモノ作りの神髄とは――。その後編。

前編から読む

ITを、現場たたき上げ副社長はどうみるのか

河合:僕はITが嫌いだと思われてて、そういう取材の申し込みが来たりもするんですけど、嫌いというわけじゃありません。でも僕は技能系ですから、技能主体に考える。そうすると技術の進歩には手作業の向上が欠かせないんです。

 よく習字をロボットに覚えさせた場合を例に出すんですけど、習字がうまいやつの技能をロボットに移植すると、当然うまい字を書きます。これが下手なやつの技能を移植すると、当然ロボットの字も下手になる。教える人間がやれるから、ロボットに移せるんであって、うまい人がうまい感覚をロボットに教えれば、もっとうまくなるんです。

 溶接コンクールで全国第2位になった社員がいるんですが、その技術をロボットに教えてやらせても、やっぱりロボットは彼には及ばないんです。でも1位の人間がロボットに教えたら、もっとうまくなるかもしれないですよね。自働化したら終わり、じゃないんです。

 4台のロボットで作るものを、3台で出来ないか、2台で出来ないかとロボットを減らすために、もっといい仕事をロボットに教えるのも人間です。そうしたら新しいラインでは、ロボット2台からスタートできるかもしれない。

 不良品を無くす、生産性を倍にするには、自働化を常に進歩させなければならないし、それには技能をもっと高めて、うまい人がそれをロボットに移植していく、そういうスパイラルを作っていかなければならないんです。

 だから全工程を手作業でやるラインを、溶接部門と鍛造部門などあらゆる部門で作らせた。そうしたら、一人一人がいいものを作るんです。また横着なやつが、いかに速く仕上げてさぼるかを考えて、いい改善案を出す。僕らだって1000個作れって言われたら、いかに速く1000個作って休むか、それに知恵を絞ってたわけ。3回、部品とりにいくのが面倒だから、1回で済まないかとか、改善はそれの積み重ねだからね。

 要するにITだって、あくまでも人の技能が基本にあるんです。

河合満(かわい・みつる)氏
トヨタ自動車副社長
1948年、愛知県生まれ。66年、トヨタ技能者養成所卒業後、トヨタ自動車工業(現・トヨタ自動車)入社。鍛造部で腕を磨き、2005年、本社工場鍛造部部長。08年、本社工場副工場長。13年に技監就任の後、専務役員などを歴任し、17年より現職

コメント2件コメント/レビュー

河合さんの話はとてもわかりやすい。大学の先生やコンサルタントの話に比べたら、誰にでも理解できて、やれそうな気がしてきます。だけど河合さんが言われる小さな事を、ひとつひとつ正直にまじめに実行して行くことがいかに大変なことかは、現場で働いてきた人間はよくわかっています。でもその積み重ねがトヨタの競争力の源なんだと思います。(2018/07/27 08:53)

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「トヨタ河合副社長が考える「人とITのいい関係」」の著者

野地 秩嘉

野地 秩嘉(のじ・つねよし)

ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポ、ビジネス、食、芸術、海外文化など幅広い分野で執筆。『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

河合さんの話はとてもわかりやすい。大学の先生やコンサルタントの話に比べたら、誰にでも理解できて、やれそうな気がしてきます。だけど河合さんが言われる小さな事を、ひとつひとつ正直にまじめに実行して行くことがいかに大変なことかは、現場で働いてきた人間はよくわかっています。でもその積み重ねがトヨタの競争力の源なんだと思います。(2018/07/27 08:53)

ものつくりの基本姿勢が本当に明確です。あらためて勉強させていただきました。(2018/07/20 09:25)

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