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『ライフ・シフト』著者が語る100年安泰

英ロンドン・ビジネススクール リンダ・グラットン教授インタビュー

2018年2月8日(木)

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ベストセラーとなった著書『ライフ・シフト』で100年人生を提唱し、昨年は安倍政権の有識者会議にも参画した英ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授。「教育→仕事→引退」という単線型のライフサイクルを、複線型に改める必要性を説く。学び直しによる新たなスキル習得で長く働き続ければ、長寿化は怖くないという。

昨年は政府の「人生100年時代構想会議」の有識者議員として招聘されました。

リンダ・グラットン氏(以下、グラットン):日本は世界が迎える人生100年時代のトップランナーだと強く感じました。これからの取り組みが、長い人生をより良く生きるための世界のモデルになると考えています。各国の政府関係者から注目されていて、最近では挨拶代わりに『日本はどうなっているのか』と聞かれるほどです。

 日本人自身も自分たちが大きな移行期にあると認識している点に驚きました。従来の働き方や社会の形は今後機能しないとの危機感が強いです。私の著書「ライフ・シフト」が日本で関心を持って受け入れられたのも、この危機感の表れだと考えています。

リンダ・ グラットン氏
英ロンドン・ビジネススクール教授。人材論、組織論が専門。世界の経営思想家ランキング「Thinkers50」の常連。主著に『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)。2017年に日本政府の「人生100年時代構想会議」に招聘される。63歳。(撮影:永川智子 以下全て)

日本人の現状の働き方について、どのような印象を持ちましたか。

グラットン:世界と比較した際に、独特な点が多くありますね。代表例が終身雇用でしょう。一つの会社にずっと勤める人がこれほど多い国は他にありません。労働市場の流動性が低いです。もう一つの特徴は長時間労働です。生産性が高いドイツは勤務時間が少ない傾向にある。一方、日本は生産性が低くて勤務時間が長いですね。ポジティブに考えると、日本は働き方改革によって改善出来る余地が非常に大きいとも見て取れます。

 この他に懸念しているのは、女性が企業で重要な役職に就いていない点です。女性の労働参加率を眺める限りでは、米国と同水準ですが、日本の場合、多くの女性はパートタイム勤務です。職場で男女の役割が大きく違うというのは問題です。日本企業の多くは、世界最先端のテクノロジーを持ち、世界に対してイノベーティブな提案をしています。それなのに、会社の内側を覗くと昔ならではの男性中心の組織では、説得力が全くありません。  

 さらに日本を訪れて感じたのは、欧米に比べ外国人労働者が少ない点です。日本の労働市場は、あまりにも日本人に依存しています。今は何とかして労働力を確保できていますが、今後は大きな問題となるでしょう。

近い将来、80歳まで働く時代に

100年人生では、将来に向けたキャリア・資金計画が重要になります。

グラットン:世界的に少子高齢化が進んで、年金だけでは十分な生活資金を賄えなくなります。今の先進国の若者は、65歳で引退すると仮定して、老後資金のため収入のどれくらいを貯蓄しなければならないか分かりますか?

 答えは25%です。収入の4分の1を貯蓄に回さないと老後に備えた蓄えは不足してしまうのです。

そんなに貯蓄したら生活費がなくなります。どうすればいいでしょう。

グラットン:今よりも長く働き続けることです。幸い医学の進歩によって、健康で長く生きられるようになります。働いて収入を確保できれば経済的な課題は解消できます。80歳まで働く時代が近い将来訪れます。皆さんが想定していたより20年ほど仕事に就いている期間は長くなります。

 ただし、問題があります。健康でも仕事があるとは限りません。テクノロジーの進化に追いつけないと、できる仕事がなくなるからです。日本で典型的だった『教育→仕事→引退』という単線型の人生は、めまぐるしく変化する時代には向いていません。

コメント4件コメント/レビュー

副業禁止規定は夜に長時間アルバイトして翌日の遅刻・欠勤や居眠りが頻発したとか、お水の席で女性社員が働いていることが取引先に発覚したとか、問題言動を引き起こす輩が一部いたせいで、建前上就業規則で禁止にしている会社が多いだけで、結婚式の司会とか本業に支障がなければ黙認しているケースも少なくなく、会社の本業と競合せず人脈が広がるならむしろウェルカムなんですけどね。
米国などはサラリーマンも自分で確定申告しているのに対して、日本は会社に源泉徴収義務や年末調整など雑務を課している違いも大きい。
労災保険料の負担の問題もあり一概に進むとは思えませんが、マイナンバーが普及して企業の事務処理負担が減れば、仕事内容と時間だけ聞いて、その場でその副業を認めるか認めないかの判断もしやすくなるのではないかと思います。(2018/02/09 09:56)

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「『ライフ・シフト』著者が語る100年安泰」の著者

武田 健太郎

武田 健太郎(たけだ・けんたろう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学教育学部卒業、日本経済新聞社に入社。「NIKKEIプラス1」を担当後、証券部で金融マーケットや企業財務を取材。CFA協会認定証券アナリスト、AFP(日本FP協会認定)。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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副業禁止規定は夜に長時間アルバイトして翌日の遅刻・欠勤や居眠りが頻発したとか、お水の席で女性社員が働いていることが取引先に発覚したとか、問題言動を引き起こす輩が一部いたせいで、建前上就業規則で禁止にしている会社が多いだけで、結婚式の司会とか本業に支障がなければ黙認しているケースも少なくなく、会社の本業と競合せず人脈が広がるならむしろウェルカムなんですけどね。
米国などはサラリーマンも自分で確定申告しているのに対して、日本は会社に源泉徴収義務や年末調整など雑務を課している違いも大きい。
労災保険料の負担の問題もあり一概に進むとは思えませんが、マイナンバーが普及して企業の事務処理負担が減れば、仕事内容と時間だけ聞いて、その場でその副業を認めるか認めないかの判断もしやすくなるのではないかと思います。(2018/02/09 09:56)

MBAを取得できるような人はライフシフト可能でしょうが、そんなこと夢のまた夢、日々懸命に生きている人にとっては、長生き=リスク となってしまうのです。(2018/02/08 16:45)

昨年、「ライフ・シフト」を読みました。生まれた国や地域、性別や人種を超えて普遍的なテーマに迫っていると認識しました。それにしても日本で高齢者が働くことに対するハードル、というよりバリア/障害というものは他国ではまず考えられないくらい高い状態です。20代や30代の現役世代がこの本を読んだとしても、(当事者意識も低く、他国への関心や多様な考え方への共感も低いため)著者の思いがどの程度伝わるか?疑問は残ります。

90年代にヨーロッパに住んでいました。当時の新聞報道だけでも社会保障の変更には目をみはるものがありました。年金支給開始年齢の繰り上げなどはそれこそ毎月のように新しい報道がなされ、立腹する人も多かったのですが、例えばイタリアでは72歳となってしまっています。日本ではようやく政府が議論を始めるような報道もありますが、どんなところに落ち着くのでしょうか。

バリアだらけ、電柱だらけの東京に住んでいる身としては、60歳以上にまともな仕事を与えない国の方が地獄かと考えます。(2018/02/08 15:16)

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