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今のソニー「外見はスマート、中身はオオカミ」

「龍が如く」の生みの親が語る

2018年3月5日(月)

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 20年ぶりの営業最高益更新をほぼ確実にしたソニー。ゲームや半導体、金融、音楽の4事業の営業利益は1000億円を超える見通しで、凋落の象徴と見られてきたテレビなどのAV(音響・映像)やカメラも安定的に稼ぎ出す力を取り戻した。平井一夫社長兼CEO(最高経営責任者)の改革で、少なくとも業績面では復活したのは間違いない。

 今回の復活劇で欠かせない要素が、ソニーから他社にはない特徴的な商品やサービスが生まれている点だ。据え置き型ゲーム機「プレイステーション4(PS4)」が好調なゲーム事業に加え、エレクトロニクス事業でも有機ELテレビやウォークマン、ミラーレスカメラなど、いわゆる「ソニーらしい」特徴的な商品がユーザーの心を再び掴んでいる。

 ソニーは本当に変わったのか。現場レベルで交流がある関係者に現在のソニーの姿を聞いた。

セガゲームス 名越稔洋取締役

外見はスマート、でも中身はオオカミだ

 部門別の営業利益見通しが1800億円と、2018年3月期におけるソニー好業績のけん引役であるゲーム事業。PS4および関連サービスの拡大に欠かせないのが、サード・パーティー(ゲームソフト会社)の存在だ。PSシリーズの人気タイトルの一つがセガゲームスの「龍が如く」。主に日本の繁華街を舞台に繰り広げられるアクションゲームは、2005年末にPS2向けソフトとして発売以来、シリーズ累計で950万本を売り上げている。そんな人気ゲームシリーズのプロデューサーを務めるセガゲームスの名越稔洋取締役は、ソニーのゲーム事業の今を「羊の皮をかぶったオオカミの集団」と評する。

セガゲームスの名越稔洋取締役(写真:北山宏一)

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE、当時はソニー・コンピュータエンタテインメント=SCE)との付き合いは2世代前のゲーム機「プレイステーション(PS2)」の時代から。当時のSCEはAVメーカーとしての強みがあり、DVD搭載でPS2を爆発的にヒットさせた。「龍が如く」の第一弾はまさにPS2の絶頂期にうまく流れに乗ることができた。

 龍が如くは今でこそ人気シリーズだが、当時はコンセプトがなかなか理解されなかった。僕の認識では龍が如くはあくまでもオーソドックスなアクションアドベンチャー。ただ設定が日本の裏社会っていうだけなんだけど(笑)。(倫理基準のハードルが低い)「パソコンゲームでもいいんじゃない」っていう声すらあったほど。でもそれじゃ投資を回収しきれないから、どうしても据え置き型ゲーム機で勝負したかった。

 そんな苦しい状況の中で唯一話を聞いてくれたのがSCE。「PS2で出すからこそ意味がある」っていう僕の主張を、SCEがチャレンジャーとして受け入れてくれたわけ。こういうところは「ソニーらしい」よね。

 当時のSCEの経営陣には、久夛良木健さんや丸山茂雄さんがいた。僕が言うのもなんだけど、あの人たちは堅気じゃない(笑)。なかでも久多良木さんは、自らの高い理想を追求しつつ、誰よりも早く新技術を世に出そうとする。そのエネルギーには圧倒された面もあった。

 ただ今のSIE幹部や現場のメンバーにも、「濃い」人はいっぱいいる。確かに見た目は昔よりはスマートになったけど、それはあくまで仮の姿。羊の皮を被ったオオカミのような集団だ。ひと皮剥けばいい意味で常識がない人たち(笑)。エンタメを理解しつつも、純粋なゲーム屋じゃないから面白いと感じるのかもしれない。今もゲーム屋にはない底知れぬ迫力があるのは事実だ。

ソニーのためにゲームをつくるわけじゃない

 今はPS4が成功を収めているけど、ユーザーの想いに真摯に取り組んでいる印象を受ける。前機種のPS3では、PS2の成功体験が強烈すぎたのかもしれない。当時は「過去を絶対に超えるんだ」という思いが強かった。今はそうした思いをいったん整理し、愚直にユーザーの要求にこたえようとしている。我々とネットワークなど新しい機能やサービスに対する議論もかなり活発になっている。

 セガとしては別にSIEのためにゲームをつくるわけじゃない。だけど、ハード屋とソフト屋がいかに同じベクトルを向けるかは重要だ。今のSIE経営陣は、「このソフトはユーザーのすそ野を広げるものか、コアファンの思いに応えるものか」とロジカルに分析して戦略を進めている。これは龍が如くシリーズでも作品ごとに使い分けてきた部分。決してご機嫌はとらないが、プラットフォーマ―であるSIEの戦略と相反しないことは我々にとっても重要だ。

「SONY 甦ったのか?」の目次

オススメ情報

「今のソニー「外見はスマート、中身はオオカミ」」の著者

杉原 淳一

杉原 淳一(すぎはら・じゅんいち)

日経ビジネス記者

2005年、日本経済新聞社に入社し、大阪経済部に配属。2009年に東京に異動し、経済部で銀行や農林水産省、財務省、金融庁などを担当。2015年4月から日経ビジネスで金融機関を中心に取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

佐伯 真也

佐伯 真也(さえき・しんや)

日経ビジネス記者

家電メーカーで約4年間勤務後、2007年6月に日経BP社に入社。日経エレクトロニクス、日経ビジネス編集部を経て、15年4月から日本経済新聞社証券部へ出向。17年4月に日経ビジネス編集部に復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

内海 真希

内海 真希(うつみ・まき)

日経ビジネス記者

2009年日経BP社入社。医師・薬剤師向けの専門誌である日経メディカル、日経ドラッグインフォメーションを経て、2017年4月から日経ビジネス記者。電機、製薬、医療制度などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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