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石油はこれから「正味エネルギー」が急減する

採掘の複雑・高度化が示唆する石油経済の早期終焉

  • 中田 雅彦=石油経済研究会

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[1/4ページ]

2018年3月5日(月)

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 2000年頃までは化石燃料が生み出すエネルギーは安価かつ豊富と言えた。これまで石油や原油(*1)の生産量増加が世界の経済成長を支えてきた。正確には、「生産量増加」ではなく、「原油の正味エネルギー供給量の増加」というべきであろう。

*1:原油とは油田の油井口で得られた状態の鉱物油を示す。石油は「原油+天然ガス液(NGL)+バイオ燃料など」になる。

 ところが、その原油の「正味エネルギー供給量」は、2000年頃から減少し始めている。

 今後も「正味」のエネルギー供給量の減少は続き、石油経済の行方に大きな影響を与える。しかし、ほとんどのエネルギー統計で「正味」は触れられることなく、「見かけ」の数字で構成される。「正味」を語らないエネルギー統計からは、この問題を読み取れない。

エネルギー統計で見えてこない“真実”

 「正味」とはどういうことか。

 原油を地下から回収するには、油田の探索を行い、発見できれば地下から回収するための設備や機器類を設営し、採掘する。これら全工程で直接あるいは間接的にエネルギーが消費される。当然だが、原油というエネルギー源を回収するには、外部から何らかのエネルギーを投入しなければならない。

 ある油井で、原油1バレル(159リットル)相当のエネルギーを投入して、10バレルの原油を採掘できたとする。この10バレルが「見かけ」の入手量である。そして、「正味」は投入したエネルギー分を差し引いた9バレル相当ということになる。正味部分のエネルギーが経済社会で追加的に利用される量であり、経済にプラスの効果をもたらす。

 見かけの原油入手量10に対して、正味では9しか入手していない場合、正味エネルギー率は90%となる。

 だが、多くのエネルギー統計では、上記のような場合も10バレルの石油が生産されたとカウントされる。すると、多くの人は10バレル分のエネルギーが追加的に社会に供給されたと考えるだろう。

 原油の正味エネルギーに関わる概念として、「エネルギー収支比」(EROI:Energy Return on Investment)という尺度がある(*2)。前記の場合、1バレル相当のエネルギー投入で10倍のエネルギーを入手できたので、EROIは10となる。

*2:EROIは米ニューヨーク州立大学教授で生態学者であるチャールズ・ホールが提唱したといわれている。

 EROIは投入したエネルギーの何倍のエネルギーが獲得できたのかを指す比率であり、大きいほど利用価値の高いエネルギー源といえる。新しいエネルギーを利用する場合に、そのエネルギー源の価値や質を評価するのに分かりやすい尺度としてよく利用される。

 新しく油田を開発する場合、当然のことながら、EROIは最悪でも1を上回らなければ開発の意味はない。

 そして、追加的に利用可能な正味エネルギー率(%)は、「(1-1/EROI)×100」で関係づけられる。

コメント12件コメント/レビュー

化石燃料が600~1000年枯渇しないと学者が言っても、それが経済的に採掘可能かどうか、というのはまた別の話ですよねぇ…。
もうすでに経済的にペイできなくなる寸前だ、ってのが今回の記事の論旨ですから。

枯渇しないと主張されてる原油は、アトミック井戸掘りとか、ソーラー分溜とか、マントル自噴超深度油井開発とか、なんかそういう未来テクノロジーを駆使してやっと掘れるんじゃなかろうか。
そして、そんな未来テクノロジーがあるならば石油をエネルギー資源とすることも無いですよね、きっと。

経済的に採掘可能かどうかの基準が、エネルギーなのも難点。
どんなに石油価格が高騰しても、掘って精製して輸送するのも石油ならば、EROIは決して改善しない。
つまりエネルギー源としての石油は遠からず終わる。

現状で掘りやすい、つまりEROIが高い油田は開発しつくされたと思われるので、現状の安い油田が枯渇した時が、実質的な石油枯渇でしょう。
それ以降は、エネルギー源ではなく加工用原料として、高値取引される時代が来るんでしょうね。(2018/03/07 19:25)

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化石燃料が600~1000年枯渇しないと学者が言っても、それが経済的に採掘可能かどうか、というのはまた別の話ですよねぇ…。
もうすでに経済的にペイできなくなる寸前だ、ってのが今回の記事の論旨ですから。

枯渇しないと主張されてる原油は、アトミック井戸掘りとか、ソーラー分溜とか、マントル自噴超深度油井開発とか、なんかそういう未来テクノロジーを駆使してやっと掘れるんじゃなかろうか。
そして、そんな未来テクノロジーがあるならば石油をエネルギー資源とすることも無いですよね、きっと。

経済的に採掘可能かどうかの基準が、エネルギーなのも難点。
どんなに石油価格が高騰しても、掘って精製して輸送するのも石油ならば、EROIは決して改善しない。
つまりエネルギー源としての石油は遠からず終わる。

現状で掘りやすい、つまりEROIが高い油田は開発しつくされたと思われるので、現状の安い油田が枯渇した時が、実質的な石油枯渇でしょう。
それ以降は、エネルギー源ではなく加工用原料として、高値取引される時代が来るんでしょうね。(2018/03/07 19:25)

資源学的にはあと600〜1000年は化石燃料が枯渇する事は無いというのが定説ですから、筆者の様な「石油業界側の」専門家がコストで攻めて来るのは想定内です。(2018/03/06 12:19)

オイルショックで狂乱物価というインフレが起きた頃、2000年には石油が枯渇するとまで言われていたが、いまだに原油の採掘に頼るどころか、原子力というエネルギーを止める方向に陥っている状況は、御用学者が利権の為に都合の良い理論を振りかざしているようにしか見えない。
地球温暖化という意味不明な理論を主張するのであれば、石油の利用を止めれば良いのに、石油危機の時のような混乱は起こらない不都合な現実を説明してほしいものだ。(2018/03/05 21:54)

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