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福島は「逆転成功モデル」になる

全事業所を支援する官民合同チームの全貌

2018年3月6日(火)

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福島にある「官民合同チーム」をご存じだろうか。経済産業省や大手商社、銀行、メーカー、福島県庁などから200人超が集い、2年半前に結成された。正式名称は「福島相双復興推進機構」。通称は「官民合同チーム」で、地元事業者で知らない者はいない。なぜなら、彼らは原発被災地域の全8000事業所を回ることを目標にし、すでに5000事業者を訪問しているからだ。避難者がいることを考えれば、ほぼ回りきっている。そんな特命チームの中心として、設立から関わっている経産省出身の角野然生専務理事に、その活動を聞いた。果たして、福島経済の実態とは。

まずは、官民合同チームですが、あまり知られていません。どんな狙いで結成されたのでしょうか。

角野然生専務理事(以下、角野):福島の原発事故で被災した形となった12市町村、そこに8000の事業者がいますが、そこをすべて訪問し、個別に支援していくのが任務です。

角野然生・福島相双復興推進機構専務理事

壮大な取り組みですね。

角野:なぜこうなったのかというと、経営者の状況は1人1人、立場も考え方も置かれている状況も違うんです。だから個別にアプローチしてやっていく必要がありました。

「今ごろ何なんだ」

官からは、角野さんが出身の経産省が多い。

角野:官は福島県庁なども加わり、民は最初は東京電力でした。原発事故に責任を持つ人たちが集まって、被災事業者のために活動するということからスタートしたので。

 まあ、最初は行く先々で、厳しいことを言われました。「今ごろ何なんだ」とか。でも、2~3回行くうちにお茶が出てきて、話を始めると3~4時間、これまでの思いを話していただけるようにもなりました。やっと支援のことを話せるようになったわけです。補助金なども一緒になって考え、お手伝いしています。そして経営が黒字になったり、風評被害を払拭できたり、経営が軌道に乗る事例も生まれてきました。

 ただ、業種によって違いはあります。建設業は復興需要がありますが、商店街の店は、商圏が失われている。住民もみんなが戻ってきているわけじゃないので、店を開いても客がなかなか来ない。

よく、「課題先端地域」と言われます。子供がいるファミリー層が戻らず、人口減少や少子高齢化が一気に進んだ、と。でも、これを克服したら、「先端地域」とも言えます。

角野:そういう思いで我々もやっていますし、いくつか動きが出ています。人手不足なので、ドローンとかロボットを使って生産性を向上させようと。農家の方で、ドローンでの農薬散布の実証試験をしている人もいます。あとはソーシャルビジネスの動きがあちこちで始まっていますね。有名なのは南相馬市の小高ワーカーズベースの和田(智行)さんとか、同じ市内のあすびと福島の半谷(栄寿)さんとか。

若い人たちが、福島の将来を考えて参加している。

角野:高校生も集まっています。そうした動きが(原発周辺の)楢葉町や富岡町でも広がり始めているんです。若い人が海外に行ったり、世界に情報発信し始めている。

これまで、日本では若者が、自分の故郷の未来など考えていませんでした。

角野:福島は今、逆境をばねにして頑張る人たちが集まってきています。もっと言うと、放射線ということでは、広島は72年半前、原爆によって「人が住めない」ともいわれた。でも、早い段階から広島の人たちが立ち上がって、「平和記念都市を作るんだ」と。1949年に法律まで作って、原爆ドームを維持することも決めて、それが今では「平和の象徴」とされ、世界中から人がやって来ます。

 アメリカのハンフォード(核廃棄物問題)やニューオリンズ(ハリケーン被災地)もそうです。危機の中で新しい町づくりの動きが出てきている。ですから、原発事故は正当化できないんですが、これを乗り越える力が結集して、マイナスをプラスへ変えていく。

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「福島は「逆転成功モデル」になる」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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