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「(ヤマトがやらなければ)誰が運ぶのですか」

長尾裕・ヤマト運輸社長に宅急便改革の狙いを聞く(上)

2017年5月30日(火)

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 4月28日、ヤマトホールディングス(HD)傘下のヤマト運輸は宅配事業の構造改革を発表。「宅急便の総量の抑制」「時間帯指定の見直し」「働き方改革」など様々な改革を打ち出した。

 日経ビジネスは同社の長尾裕社長に一連の経営判断について疑問をぶつけた。宅配現場の窮状をいつ頃から、どのように把握していたのか。構造改革で宅急便は具体的にどのように変わるのか。長尾社長のインタビューを2回に渡って掲載する。

(日経ビジネス5月29日号では「特集・ヤマトの誤算 本当に人手不足のせいなのか」を掲載しています。日経ビジネスDigitalの読者であれば、PCやスマホで全文をお読みいただきます。)

長尾裕(ながお・ゆたか)氏
1988年ヤマト運輸入社。2009年、TSS営業推進室長。2010年、執行役員兼関東支社長。2013年、常務執行役員。2015年にヤマト運輸の社長に就任し、2017年6月からヤマトホールディングスの取締役を兼務する予定

4月28日に記者会見を開き、働き方改革や宅配システム改革について発表しました。現場の労働負荷が深刻化していますが、長尾社長はいつ頃から現場の状況を認識したのでしょうか。

長尾裕・ヤマト運輸社長(以下、長尾):少なくとも、ネット通販の成長が非常に大きいというのはご承知の通りです。もうそのこと自体は、数年前からある程度見えていたわけですよね。

 前後説明をするために(アマゾンジャパンとの取引について)言っておくと、よく佐川急便さんが捨てたものを拾ったみたいな言い方をされますけど、そんなつもりはさらさらありません。私に言わせれば、一番無責任なことをやったのは佐川さんじゃないのという気がしてしょうがないんです。そもそもアマゾンさんの荷物は、日本通運さんがやっていました。日通さんがやっていたのを、全部安い値段でひっくり返したは佐川さんです。

 それを(佐川が)全部ほったらかして、(ヤマトがやらなければ)誰が運ぶのですか。(アマゾン側から)何とか助けてくれないかというお願いがあって、力になろうという判断をしたわけです。

2013年のことですね。

長尾:当時、私はまだ社長ではありませんでしたが、そういう経営判断をしたという話です。

 ただ、少なくとも言えることは、ネット通販全体の伸びが非常に大きいということです。普通に考えると年率の伸びは少しずつ鈍化してくるはずなのですが、ネット通販の世界においては全くそうではなくて、毎年同じような伸び率をずっと継続しているというのが、恐ろしいところです。

アマゾンが日本に進出した2000年頃からということですか。

長尾:そうですね。当初は取扱商品が本やCDなど、いわゆるソフト系が中心でしたが、どんどん品目が増えていって、まさに世界最大の品ぞろえと言えるような状況になりました。しかし、彼ら(アマゾン)だけの話ではないですよね。楽天さんに象徴されるような日本的なネット通販も、それに輪を掛けて拡大してきました。リアルの小売りが苦境に陥るほど、世の中の消費行動が変化してきています。

 日本の宅配便がネット通販の受け皿として最適解かというと、何とも言えません。それでも、たぶん一番近い、一番フィットしそうなところにある。だから、当社の宅急便や、佐川さんや日本郵便さんの宅配便ネットワークしか、ネット通販の受け皿になれなかった。

 パイがどんどん広がっているのに伸び率が高いということは、それだけ毎年増えている絶対的な荷物の個数は非常に大きいわけですよね。

毎年、宅急便の取扱個数が1億個以上伸びています。

長尾:実際に我々の宅急便のネットワークに流れ込んでくる荷物の多さを非常に実感したのは間違いありません。

 当然ながら、こうした状況をどう緩和していくか、これまでも議論してきました。不在の問題や、いろいろなオペレーション面を原因とする収益構造の悪化を問題視してきました。これらの問題に対して構造改革に着手すべしということは、当然ながら社内でも議論してきました。

コメント17件コメント/レビュー

面白いインタビューでした。
厚生年金加入範囲を広げた結果、業務時間を減らすパートタイマーが増えて人手不足に拍車がかかったというのは聞けば当然の結果ですが、初耳だったので新鮮でした。
生産人口の減少と非生産人口の増加は、これからもダブルで社会に負担を与えて来そうだと感じました。
個人的には、アマゾンのコンビニ受け取りが使い易くて重宝していますが、他にも様々な改革をしていく必要が有りそうで、どんな策が出てくるのか楽しみにしています。(2017/06/05 16:07)

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「「(ヤマトがやらなければ)誰が運ぶのですか」」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

面白いインタビューでした。
厚生年金加入範囲を広げた結果、業務時間を減らすパートタイマーが増えて人手不足に拍車がかかったというのは聞けば当然の結果ですが、初耳だったので新鮮でした。
生産人口の減少と非生産人口の増加は、これからもダブルで社会に負担を与えて来そうだと感じました。
個人的には、アマゾンのコンビニ受け取りが使い易くて重宝していますが、他にも様々な改革をしていく必要が有りそうで、どんな策が出てくるのか楽しみにしています。(2017/06/05 16:07)

的外れ呼ばわれされた者です。読み直しましたが、やはり、正社員を雇うべきでした。

中元・歳暮など山・谷があるのは分かりますし、税や社会保障費を払いたくないという不届きな労働者(≒国民)がいることも分かっています。
が、そういう超短期労働をやりたい人こそ、谷には一切採用しなければ良かったのです。
谷の時期にもそういう人を雇用していたため山の瞬間に破綻したのですから、谷のベース労働を正社員で確保していなかったヤマトに大きな問題があったということです。

同社に限りません。運送系企業全般にそういう傾向は見られます。(2017/05/31 08:46)

日本人は本当に兵站が苦手というか、理解できないんだなぁというのを、インタビュアーの底の浅い質問読まされてイライラするたびに思った。
せっかくヤマトの社長がインタビューに応じてるんだからもっと突っ込んだ話の聞き方があるだろうに、社会面の記事を読んで準備してきましたみたいなレベルで呆れる。(2017/05/31 08:29)

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