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ヤマトは会社を作り直して信頼を取り戻せ

元会長、都築幹彦氏に聞く「ヤマト誤算の検証」(上)

2017年6月15日(木)

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過去2年分で190億円に上る巨額の未払い残業代の支払い、現場の働き方改革、アマゾンをはじめとするネット通販の当日配送の見直し、さらに27年ぶりの値上げなど、ヤマト運輸は今、大きな改革を迫られている。物流業界に大変革をもたらした宅急便事業を小倉昌男氏とともに育て上げたヤマト運輸元会長、都築幹彦氏にヤマト運輸の現状に対する見方と、改革のために何が必要かを聞いた。
都築幹彦(つづき・みきひこ)氏
1929年(昭和4年)東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、大和運輸(現ヤマト運輸)に入社。路線部営業課長時代、営業部長に着任した小倉昌男氏と出会い、その後35年にわたり共に働く。一方、昌男氏の父で創業者の小倉康臣氏からも信頼を得ていた。昌男氏とともに宅急便事業に取り組み、全国ネットワークへと育て上げた。87年から社長、91年から会長、93年に相談役に就任し95年、昌男氏とともに退任した。著書に「どん底から生まれた宅急便」(日本経済新聞出版社)。

サービスの後退は信頼の失墜につながる

一連のヤマト運輸に関するニュースをお知りになって、都築さんはどのようにお感じでしたか?

ヤマト運輸元会長・都築幹彦氏(以下、都築):まずひとこと言っておきたいのですが、日経ビジネスからの取材依頼を最初は断りました。でも、ここは会って話すべきだと腹を決めました。ヤマト運輸の歴史や経営者の考え方を伝えるべきだと思ったからです。
 僕自身はサービス残業、つまり残業代の未払い問題については新聞で知りました。それでね、経営幹部に強く言いました。「君たちは恥ずかしくないのか」とね。

直接、おっしゃったのですか?

都築:ええ。経営幹部たちにね。ヤマト運輸は2019年に創立100周年を迎えます。その前にこのようなことになって。今回はミスしたよな、と。でも、経営幹部は自らの失敗を認めて、減給などの処分を発表しています。そういう点で言えば、経営陣はきちんと責任を取ろうとしています。ただ、手を打つのが遅すぎたと思っています。

都築さんからご覧になって何が一番問題だったのでしょうか。

都築:一番の問題は、お客さんの信頼を損ねたことです。一度、当日配達をやりますと言ったのに、できないからやめます、というのは、お客さんから見たら認められないですよ。やると言ったのは、ヤマトじゃないかと。一度始めたのにやめるのはサービスの後退です。これは、最大の信頼の失墜ですよ。こういうミスはこの先、もう絶対犯してはいけない。

都築さんは、ヤマト運輸の現場の状況をご存じだったのですか?

都築:現場のドライバーから大変だという話は聞いていました。そもそもね、当日配送にはかなり無理があると思っていました。宅急便は全国翌日配達を基準につくったんです。それを当日配送にしたら、ドライバーを酷使することになる。ドライバー泣かせの配達方式ですよ。しかも6つの時間帯に刻んだ時間指定の配達もある。そもそも事前に十分に検証してから始めたのか疑問でした。
 しかも今は、夫婦共働きの家が多いでしょう。特に通販を利用する人はね、夫婦ともに帰りが遅い人も多い。ドライバーからすると、夕方6時に届けても留守で、ひどいときには2回も3回も行く。中にはエレベーターのないマンションの4階のようなお宅もあるでしょうし、エレベーターはあっても高層階に何度も行くのは大変です。届け終わるのは夜の10時、といった現場の苦労話を聞いて、どうなっているんだと思っていました。

 私が現役の頃から、届け日を指定してもらうようなサービスはありました。宅急便は翌日配達が原則なので、例えばゴルフ場でプレーした後にゴルフセットを自宅に送る場合、お客さん本人の帰宅に合わせて翌々日に届くようにするとか。けれど、当日配送とか、2時間ごとの時間指定などは、ドライバーにとって相当な負担になりますよ。

コメント12件コメント/レビュー

本日 都築さんの講演を拝聴いたしました。大変お元気で張りのある声で聞きほれていました。
講演の最後に 伝えたいこととして コミュニケーションの大切さを説かれました。
現場から中間職 そして経営者まで 一体となって仕事を行うことの大切さをおっしゃっておりました。改めて 対談を読ませていただき 新しいビジネスモデルを作って成功しても 常に時代と消費者を見ていなければ問題が起きることを 切実に思い知らせられると考えさせられました。(2017/11/13 16:30)

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「ヤマトは会社を作り直して信頼を取り戻せ」の著者

村上 富美

村上 富美(むらかみ・ふみ)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス編集委員を務めた後、リアルシンプル日本版副編集長、日経ヘルス・プルミエ編集長、エコマム編集長など女性向けの雑誌づくりを経験。2017年4月から日経ビジネスに副編集長として復帰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

本日 都築さんの講演を拝聴いたしました。大変お元気で張りのある声で聞きほれていました。
講演の最後に 伝えたいこととして コミュニケーションの大切さを説かれました。
現場から中間職 そして経営者まで 一体となって仕事を行うことの大切さをおっしゃっておりました。改めて 対談を読ませていただき 新しいビジネスモデルを作って成功しても 常に時代と消費者を見ていなければ問題が起きることを 切実に思い知らせられると考えさせられました。(2017/11/13 16:30)

>会社というのは作り変えることができるし、人間、考えればアイデアが生まれるものです。ただ、今の経営陣は人柄はいいけれど、品がいいというか、がむしゃらさが足りないようにも見えます。

ルールを守る社員だけ増えて、ルールを作る社員が不足している(2017/06/21 20:00)

「一度、当日配達をやりますと言ったのに、できないからやめます、というのは、お客さんから見たら認められないですよ。やると言ったのは、ヤマトじゃないかと。一度始めたのにやめるのはサービスの後退です。これは、最大の信頼の失墜ですよ」

↑この大日本帝国ライクなド根性主義が、サービス残業を発生させたと考えるのは、わたしだけでありましょうか?(2017/06/16 18:15)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官