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その名は「通販」。認知症介護の予想外の敵

2017年3月23日(木)

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(前回→「母は『認知症?私はなんともない!』と徹底抗戦」)

 私にとっての介護生活は、一言で形容するとストレスとの戦いだった。

 ストレスの主な原因は、前回書いた通り介護される母との意見・意志の食い違いだ。認知症の母は、自分に対する正確な認識ができなくなっている。できないことをできると思い、自分でやろうとして事態を悪化させる。

 大きな盲点だったのは、介護する側もまた、「この人は認知症である」という認識に立つことがなかなかできないこと。認知症と認めてしまうのが怖いからだ。このため「母はなぜこんなことをするのか」「なぜこんなことができないのか」と衝突し、ギリギリとストレスを溜めていくことになった。

 だがもうひとつ、無視できないストレスの原因がある。
 「過去に介護される側がやらかした不始末」だ。

 どうやら認知症という病気は、発症したことで周囲が気が付くというものではないらしい。それ以前から兆候はあるが、ごく軽微なものなので周囲は気が付かないでいるようなのだ。

過去の「おかしなこと」が噴出する介護戦線

 さあ認知症だ大変だ、と介護が始まると、介護される側がずっと以前から溜め込み、場合によっては隠していた「おかしなこと」「変なこと」が噴出し、介護する側に降りかかることになる。第1回に書いた「預金通帳を見ると確かに引き出しているが、どこを探しても見あたらない現金」はそのひとつだ。

 …経営破綻した企業と似ているかもしれない。

 そして私と母の場合は、もうひとつ大きな過去からの負債を片付けねばならなかった。 通信販売である。

 時折、奇妙な宅配便が母に届いていることに気が付いたのは、2014年も押し迫った頃だった。その度に「これを払ってきて」とコンビニ用支払伝票を渡されるのである。最初は言われるままに支払っていたが、一体何を買っているのかが気になってきた。

 確か2015年1月の末頃だったと記憶している。たまたま自分が宅急便を受け取った。いつも通り、開封せずに母に渡そうとしたが、中味を確認しようと思い直して開封してみた。

本連載、ついに単行本化。
タイトルは『母さん、ごめん』です。

 この連載「介護生活敗戦記」が『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』として単行本になりました。

 老いていく親を気遣いつつ、日々の生活に取り紛れてしまい、それでもどこかで心配している方は、いわゆる介護のハウツー本を読む気にはなりにくいし、読んでもどこかリアリティがなくて、なかなか頭に入らないと思います。

 ノンフィクションの手法でペーソスを交えて書かれたこの本は、ビジネスパーソンが「いざ介護」となったときにどう体制を構築するかを学ぶための、読みやすさと実用性を併せ持っています。

 そして、まとめて最後まで読むと、この本が連載から大きく改題された理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。単なる介護のハウツーを語った本ではない、という実感があったからこそ、ややセンチな題となりました。

 どうぞお手にとって改めてご覧下さい。夕暮れの鉄橋を渡る電車が目印です。よろしくお願い申し上げます。(担当編集Y)

コメント31件コメント/レビュー

保険会社で勤務しています。
CMなどで宣伝されている一見割安な保険では、加入すると電話やダイレクトメールで頻繁に他商品の勧誘をするものもあります。年配者は電話で何時間も話を聞いてもらうとわりと容易に追加加入してくれます。

実際、ケガや葬儀代(数万~100万程度の死亡保険金)に備えるような商品は70代~80代がターゲットなのですが、電話で加入の意思表示をしても忘れてしまう方もいるので、申込書類が届いた頃に電話して、申込書の回収(郵便局にレターパックを取りに来てもらう)日時までフォローしています。

保険に助けられることもあると思いますが、一人で10件近い契約を持っている“ロイヤルカスタマー”も一定数存在します。自分の親だったら認知症を疑います。何かあったとき、支払われた保険金が想像より少なくてクレームを言ってもどうにもなりません。
保険は商品が届くわけではないので気が付きにくいですが、家族に認知症の不安を感じたら通帳やカード明細も確認してみることをお勧めします。(2017/08/22 15:18)

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「その名は「通販」。認知症介護の予想外の敵」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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保険会社で勤務しています。
CMなどで宣伝されている一見割安な保険では、加入すると電話やダイレクトメールで頻繁に他商品の勧誘をするものもあります。年配者は電話で何時間も話を聞いてもらうとわりと容易に追加加入してくれます。

実際、ケガや葬儀代(数万~100万程度の死亡保険金)に備えるような商品は70代~80代がターゲットなのですが、電話で加入の意思表示をしても忘れてしまう方もいるので、申込書類が届いた頃に電話して、申込書の回収(郵便局にレターパックを取りに来てもらう)日時までフォローしています。

保険に助けられることもあると思いますが、一人で10件近い契約を持っている“ロイヤルカスタマー”も一定数存在します。自分の親だったら認知症を疑います。何かあったとき、支払われた保険金が想像より少なくてクレームを言ってもどうにもなりません。
保険は商品が届くわけではないので気が付きにくいですが、家族に認知症の不安を感じたら通帳やカード明細も確認してみることをお勧めします。(2017/08/22 15:18)

大手宅配便会社に勤務しております。
通販定期購入と思われる配達荷物も沢山あり、お届け先は年配の方になってる事も多く、御家族から荷物の受け取りを拒否される場合も少なからず御座います。

受け取り後に通販会社と交渉する場合は、受取人が送料負担で返送ですが、受け取りを拒否すれば、宅配便企業から荷送人へ連絡後に、荷送人宛の送料着払いで返送されます。
配達員に、「年老いた母が購入を頼んだようだが、必要が無いので受け取りません」と拒否の理由をお伝え頂いて構いません。
通販会社の多くは、代行出荷業者(荷造りと発送を担当)を使って発送していますので、代行出荷業者へは、受け取り拒否とその理由をお伝えします。

また、「受け取り拒否」が少なからず一定数存在する現状なので、「受け取り拒否」対応のシステムもありまして、荷送人へ通知後に返送OKなら返送用伝票が直ぐに発行され、返送作業ができます。

※配達員は購入事情などを知らないので、配達員には冷たく対応しないでくださいね。(2017/08/07 22:12)

全く同じ経験をしたので、今となっては大笑いしながら読みました。使い切れない、使い方を読んでもわからなくて使えない様々な美容関連と健康関連の通販。すでに新聞購読はやめていたので、通販を放送するTVチャンネルを深夜ひそかに視聴できないように設定、確実に不要なものは解約しました。それでも母が亡くなった後もDMが続々と送られてきて、完全に個人情報も削除するように何箇所にも電話をかけて依頼しました。通販側に責任はないとはいえ、高齢者の購入には配慮いただきたい気持ち、自分が認知にならない限り、通販は利用しません。(2017/08/07 12:44)

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鈴木 修 スズキ会長