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大都市に潜む「怨霊伝説」を訪ねる

首塚とクスノキと骨壺と

2018年3月7日(水)

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 喧騒に包まれた大都市で暮らしていれば、日常的に「カミ」や「霊魂」を意識することは難しい。だが、長年、「祟り信仰」を受け継いでいる場所が存在したり、日常的に「霊魂」に接している職業人がいたり、何かの拍子に霊魂と接点を持ってしまうケースがあったりする。都会に潜む「見えざる世界」をレポートする。

 日本有数のビジネス街、東京・大手町では2020(平成32)年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、大規模な再開発が急ピッチで進められている。

 この地では高度成長期を境に、財閥系ビルや都市銀行、大手新聞社などの本社ビルが林立した。それが半世紀ほど経った現在、一斉に建て替えの時期を迎えているのだ。

 再開発は街区ごとに連鎖的に実施される。既に竣工済みは、「丸の内ビルディング」「新丸の内ビルディング」「丸の内オアゾ」などの商業施設の他、「パレスホテル」「星のや東京」などのラグジュアリーホテル、「三井住友銀行」「経団連」「日本経済新聞社」などのオフィスビルなど、およそ30棟に及ぶ。あと数棟の商業ビルが建設中、もしくは建て替え計画中である。間もなく、大手町は真新しい超高層ビルが林立する世界でも屈指のビジネス街へと変貌を遂げることだろう。

 この連鎖的再開発事業も、いよいよ最終段階に入りつつある2016(平成28)年夏、総合商社の雄、三井物産がこの地での建て替え工事の着工を発表した。建物の竣工は2020(平成32)年2月末の予定で、延べ床面積は36万平方メートルにも及ぶ。大手町でも最大規模を誇る巨大オフィスビルとなる。

 三井物産本社と言えば、かつて、カルガモの親子が三井物産敷地内の人工池から皇居の堀へと移動する姿がマスコミによって報じられ、注目を集めたことでも知られる。だが、その池も既に工事現場に埋もれてしまった。計画では、皇居側に水辺空間を充実させるという。カルガモ親子の愛らしい姿が再び見られることを期待したい。

東京・大手町に佇む「将門の首塚」

 さて、現地に掲げられた工事の完成後の配置図を見てみた。すると敷地の南側の一部が、虫に食われたかのように不自然にくぼんでいる。三井物産の敷地を俯瞰すれば「コ」の字になっているのだ。大手町全体が再開発される中、不自然にこの空間だけが、ぽつんと残されているのである。「平将門の首塚」である。

大手町にある将門塚。手を合わせる男性の前の「塚」は強化ガラスで保護され、さらに上部にもガラス屋根がかけられている。

 首塚に手をつければ、将門の祟りに見舞われる――。

 そんなまことしやかな噂が、大手町界隈に流れている。筆者は2017(平成29)年6月、建設工事の轟音轟く現場を歩いてみた。

 そこは木々が鬱蒼と生い茂る15m四方ほどの空間だった。都内のオアシスのようにもなっており、昼時にもなれば束の間の休息を求めて立ち入るビジネスパーソンも多い。最奥の場所に目をやれば、1基の古い石碑が立っている。石碑には「南無阿弥陀仏」と揮毫されていた。

 首塚の入り口に将門に関する逸話が書かれていた。

 将門は平安時代に活躍した武将である。だが勢力拡大に乗じて「新皇」を名乗ったことで、朝敵となった。将門は討ち取られ、首級は京都で晒された。首が晒されて3日目のこと。将門の目がカッと見開いたかと思えば、白い光を放って飛び上がった。そして東方向に飛び去り、大地の鳴動とともにここ大手町の地に落ちたという。辺りは夜のように真っ暗になり、人々は恐れおののき、塚を立てて祀ったのが、この将門塚の由来だとされている。

 将門のような、歴史上の人物の首塚は現在でも全国に数多存在する。だが、たいていは何事もなく静かに祀られ、その存在に注目が集まることはほとんどない。地域の開発などによって撤去されたり、移転されたりした例もある。

コメント14件コメント/レビュー

何の根拠もない「都市伝説」などとは異なり、千年の歴史と伝説の伴う施設は社会的価値が伴います。
こうして記事になること自体で宣伝効果が発生します。
怨霊や祟りといった負の効果は別にして、経済効果の高い施設を壊したり移転したりする必要はないでしょう。

ところで私自身は、若いころ奈良、京都等に魅せられて巡ってきましたが、精神的には科学的唯物論者でした。
科学を知らない古代の人々が、生への怖れから宗教を頼り、政治や芸術にまで高めた事に価値があると信じていました。
しかし、長年の経験や知識から、【人の思いは、物や場所にとどまる】と感じてきています。
社会的影響力の高かった人の亡くなった場所や葬られた場所、人々が畏れ敬った場所や物、あるいは使い込んだ道具類。
傘やしゃもじが黄昏時に踊りだす。と云い伝えたいにしえの人々の感性は、決して無知蒙昧によるるものではなかった。と信じてきています。(2018/03/09 12:13)

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「大都市に潜む「怨霊伝説」を訪ねる」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

ジャーナリスト、浄土宗僧侶

1974年、京都市生まれ。新聞記者、日経ビジネス記者、日経おとなのOFF副編集長などを歴任後、2018年に独立。「宗教と社会」をテーマに取材を続ける。正覚寺副住職、浄土宗総合研究所嘱託研究員、東京農業大学非常勤講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

何の根拠もない「都市伝説」などとは異なり、千年の歴史と伝説の伴う施設は社会的価値が伴います。
こうして記事になること自体で宣伝効果が発生します。
怨霊や祟りといった負の効果は別にして、経済効果の高い施設を壊したり移転したりする必要はないでしょう。

ところで私自身は、若いころ奈良、京都等に魅せられて巡ってきましたが、精神的には科学的唯物論者でした。
科学を知らない古代の人々が、生への怖れから宗教を頼り、政治や芸術にまで高めた事に価値があると信じていました。
しかし、長年の経験や知識から、【人の思いは、物や場所にとどまる】と感じてきています。
社会的影響力の高かった人の亡くなった場所や葬られた場所、人々が畏れ敬った場所や物、あるいは使い込んだ道具類。
傘やしゃもじが黄昏時に踊りだす。と云い伝えたいにしえの人々の感性は、決して無知蒙昧によるるものではなかった。と信じてきています。(2018/03/09 12:13)

霊魂があるかないか。確かに,ある意味では大問題だ。
だが,「有ること」を証明することと「無いこと」を証明することは質的に異なる気がする。
「あること」は事例が1つ見つかればいい。だが,無いことは「事例が見つからない理由」を説明しなければならない。だから,「有る」と考えるほうがいろんな意味で「幸せ」なのではないだろうか。
その意味では,「無い」と言い切る人には自らの思考についてもう一度顧みてみる機会ではないだろうか。「偏屈になっていないか。」「野心に支配されてはいないか。」などなど。
いずれも形を変えた「煩悩」のなせる業だ。もしかしたらそのために要らぬ苦労を背負いこんでいるかもしれない。顧みて気付ければ楽になるかもしれない。ご検討あれ。(2018/03/09 11:28)

「自然はいのちをもって生きている」「人間も自然の一部」は、別に霊魂の存在に関係なく設問だと思う。最後のページと共に、筆者の価値観が垣間見えるのが興味深い。(2018/03/08 18:54)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官