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「メルケル勝利」を掻き消した右派政党の躍進

ドイツ連邦議会選挙、難民問題の根深さ映す

2017年9月25日(月)

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ドイツ連邦議会選挙はメルケル首相率いるCDU・CSUの勝利に終わったが…

 完勝だったはずの選挙結果が、予想外の波紋を広げている。

 9月24日、ドイツで実施された連邦議会(下院)選挙。投票は午後6時に締め切られ、即日開票された。投票締め切り直後に公共放送ARDが発表した出口調査によると、アンゲラ・メルケル首相率いる中道右派CDU・CSU(キリスト教民主・社会同盟)が得票率で33%を獲得して第1党の座を維持する見込みだ。

 2位は現在CDU・CSUと連立政権を組むSPD(ドイツ社会民主党)で20%。第3党には、右派勢力AfD(ドイツのための選択肢)が14%を獲得して入ることが予想されている。

 この結果は事前の予想通り。選挙期間中も安定した支持率を維持したCDU・CSUの完勝だった。しかし、その勝ち方には前回選挙ほどの強さはなかった。CDU・CSUの得票率は前回2013年選挙の42%から10ポイント近く下落しており、同党の勢いが衰退しているのは確かだ。「反難民」を掲げる右派勢力のAfDが躍進し、議会で第3党に食い込む結果となったことも、ドイツ全体に衝撃を与えている。

 「AfDがなぜここまで支持を得たのかをよく分析したい」。投票締め切りから1時間後にCDU本部に登場したメルケル首相は、勝利を祝いつつも、AfDの予想以上の躍進に懸念を露わにした。

難民問題が唯一の争点に

 今回のドイツ議会選の特徴は、当初から「争点が存在しないことが争点」と言われ、メディアも「驚きのない、退屈な選挙」と揶揄していた。

 今年3月に実施されたオランダ下院選挙、4月のフランス大統領選の結果を受けて、それまで欧州全土に高まっていた「反EU(欧州連合)」機運が沈静化。欧州の危機は過ぎ去ったとのムードが欧州全土に広がっていた。

 CDU・CSUも、あえて争点を作らない戦略に終始した。失業率3%台の好調な経済を背景に、「現在の状態の維持(status quo)」を訴え、このタイミングでリーダーを変えることのリスクを訴えた。

 政権公約では、「150万超の住宅建設」「治安維持のための警察官増員」「子供手当ての充実」など、左派的な政策も盛り込み、対抗する中道左派SPDが政策面で違いを打ち出しにくくした(詳細は、日経ビジネス9月18日号のスペシャルリポート「“4選”後に潜む火種」を参照)。

 これに対し、CDU・CSUの最大のライバル政党であるSPDは、EU欧州議会議長だったマルティン・シュルツ氏が2017年3月に党首に就任し、CDU・CSUに代わる第1党の座を目指したが、選挙戦を通じて、うねりを作り出すことができなかった。それどころか、出口調査の結果は過去最低水準で、惨敗を喫する見込みだ。

 そもそも、SPDはCDU・CSUと連立政権を組んでいる立場にあり、政権を直接批判するのは難しい。一方、CDU・CSUとの政策の違いをアピールしなければ、SPDを選ぶ理由を有権者に訴えられない。「シュルツ党首は最後までそのジレンマに悩まされた」」(ドイツ政治に詳しいロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのジュリアン・ゴープフェルド氏)。

 米国に対する外交姿勢、トルコとの外交問題、難民への対応、ディーゼル不正問題…。シュルツ党首は、毎週のように、様々な争点を掲げてCDU・CSUに挑んだが、形勢を逆転する追い風にはならなかった。シュルツ党首の空回りばかりが目立ち、SPDの支持は選挙終盤にかけて下落。SPDの支持率は、8月の25%から、9月の投開票直前には21%となった。

コメント6件コメント/レビュー

結局まともなことを言っている政党を「極右」とか「右派ポピュリスト」とレッテル貼りして理想人ぶっていた連中(筆者含む)が驚いているというだけですね。第三国の市民感覚では大して驚きは無いですが。(2017/09/26 08:46)

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「「メルケル勝利」を掻き消した右派政党の躍進」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

結局まともなことを言っている政党を「極右」とか「右派ポピュリスト」とレッテル貼りして理想人ぶっていた連中(筆者含む)が驚いているというだけですね。第三国の市民感覚では大して驚きは無いですが。(2017/09/26 08:46)

日本にも右翼政党が欲しいです。
小池さんが「日本のための選択肢」という党名に変えれば、
日本に隠れていた右翼を支持する人たちが欧州のように
日本の政界を変えてくれるでしょうから。

これぞ「ドイツを見習え」です(2017/09/26 00:10)

キリスト教民主同盟、という党名はどうにかならんのですかね。
宗教的寛容を唱えつつも、キリスト教と冠するのはどうなのか。

人道、寛容といいつつも、自らがマジョリティー(キリスト教徒)であることは絶対視している。
それは、「ドイツが一番」とどこが違うのか。

本音と建て前を使い分けた二枚舌の結果が、今の欧州の混乱かもしれませんね…。
※排ガス偽装と根っこが同じかもしれない。取引相手なら人道危機を無視してたりしてね。(2017/09/25 17:09)

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