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深圳の創業ブームはこの会社から始まった

大衆創業・万衆創新のモデルとなったSeeed

2018年5月22日(火)

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アメリカ発祥のDIYの祭典、メイカーフェア。会場では、アイデアのままに作ってみた制作物が並ぶ。アメリカではオバマ政権時にホワイトハウスでも開催された。中国で最初にメイカーフェアを開催したのが深圳に本社を置くSeeedだ

 中国本土ではMakerに「創客」という漢字をあてる。台湾では「自造者」とあて、手を動かして自ら造る意味がうかがえるが、中国本土の「創客」はスタートアップの「創業」、イノベーションの「創新」、クリエイティブの「創造」などと並んで、形而上学的なニュアンスを含んでいるように見える。マスイノベーションのスローガン「大衆創業 万衆創新」の担い手が「創客」だ。

 深圳のメイカー文化を主導し、中国全体のスローガン「大衆創業、万衆創新」のモデルとなったのがSeeedという企業である。Seeedの規模はそれほど大きくない。2008年創業で、現在の社員は200人ほど。同じ深圳に本社があるファーウェイやテンセントの規模とは比べものにならず、民生用ドローンで世界最大手のDJIや第1回で紹介したMakeblockよりも小さい。

 Seeedの業務は一言では語れないが、まず始めたのは欧米人からプリント基板(PCB)の設計データをオンラインで受け取り、深圳で製造して送り返すサービスだ。PCBの制作は、マンガ同人誌で言うとパソコンでつくった原稿を実際に印刷するようなものだ。電子工作をするときには必ず必要になるし、印刷して初めて分かることもあるので、作り手は基板制作を何度も繰り返す。以前の基板制作はまずプロが制作費を見積もることから始まるもので、一回で数万円かかるものだった。

 Seeedをはじめとしたいくつかの会社は1つの版に複数のPCBを相乗りさせることで初期費用をなくし、深圳に多くあるPCB工場のリソースを使って製造する。通常は10枚分で10ドル。ホビイストが小遣いで頼める金額で請け負うこのサービスは、世界中のメイカーに使われている。オープンソースの基板しか扱わないので、深圳に発注することで心配される知財の問題も関係ない。

 二つめは電子工作を簡単に行えるキット製品の販売だ。AmazonのAlexaのようなAIスピーカーが自分で作れるキット、ラジオのキット、3Dプリンタのキット、携帯電話のキットなどを販売している。自分の制作物に電話機能を付加したい場合、Seeedのキットを組み込めば、ゼロから設計する手間を省ける。

 キットはオープンソースで設計データが公開されているため、カスタマイズして自分のプロジェクトに組み込むことは、ゼロから設計するよりやりやすいことが多い。まるで、「日本で1億円の開発費、深圳だと500万円」や「3年前に3万円の商品が今では7000円に」で扱ったパブリックなマザーボード「公板」を世界に向けて作っているようなものだ。

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「深圳の創業ブームはこの会社から始まった」の著者

高須 正和

高須 正和(たかす・まさかず)

メイカーフェア深圳など運営

1974年生まれ。アジアで行われるメイカーフェアに世界一多く参加し、深圳・シンガポールでは運営に携わる。スイッチサイエンス(株)の社員として、現在、中国深圳在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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