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「ものづくりオタク」はイノベーションの苗床

起業とは異なる方法で世界を変える日本のメイカーたち

2018年7月24日(火)

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 前回のレポートでは、東京のメイカーフェアは非常にレベルが高いものの、その成果が社会に出ることはあまりなく、マスイノベーションにつながっていないことについて述べた。しかし、スタートアップとして世に出ることは少なくても、日本のハイレベルなメイカーたちは世界に向けてイノベーションを起こす可能性がある。

メイカー向けのクラブイベント「AkiParty」

 マンガの愛好家がコミックマーケットで自作した同人誌を売るように、ハードウエアの愛好家が自作したハードウエアを同人誌的に頒布することはよく行われている。日本に限った話ではなく、あのAppleの第一歩は西海岸の自作コンピュータオタクたちに、ジョブズとウォズの2人のスティーブが100枚の基板を頒布したことから始まる。

 Apple Iの基板を頒布していたころのAppleはフルタイムの起業家として投資家から出資を受けるハードウエアスタートアップと違い、自分のお金で作れる範囲で作ったものを、自分たちと同じような愛好家に販売していた。まさに同人ハードウエアだ。Apple Iの売り上げと、その成功をもとにした資金調達を原資にしてAppleは会社としてスタートアップした。

 Linux等のオープンソースソフトウエアはさらに同人的なコミュニティに近い。日本でも初音ミクなどのボーカロイドが音楽業界の形をすっかり変えてしまったが、あのムーブメントの核にあったのはニコニコ動画などのオンラインコミュニティを中心にした同人活動だ。

 マスイノベーションはスタートアップ企業に限った話ではなく、同人ハードウエアとの関係も近い。

 以前「『選択と集中』は罪」の回で紹介したYコンビネータ、HAXなどのアクセラレータは、まだ世間の評価が固まる前に、直感で新しい動きに投資するスタイルで成果を出している。そのぶん1社あたりの投資金額を下げているが、オープンソースのツールが普及した現在の開発スタイルであれば、それでもプロダクトを作り上げることができる。

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「「ものづくりオタク」はイノベーションの苗床」の著者

高須 正和

高須 正和(たかす・まさかず)

メイカーフェア深圳など運営

1974年生まれ。アジアで行われるメイカーフェアに世界一多く参加し、深圳・シンガポールでは運営に携わる。スイッチサイエンス(株)の社員として、現在、中国深圳在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官