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失敗コストの高い大企業とマスイノベーション

深圳で見られる、ハードウェアベンチャーへの大企業からの投資

2018年8月7日(火)

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世の中を変えるような製品も、売れるまでには時間がかかる

 EMS企業は英語でも日本語でも「工場(factory)」と称されることが多いが、製品の部品調達、量産設計(量産用の部品と製造プロセスにあわせた設計のやり直し)、品質管理など、ノウハウのかたまりだ。FOXCONNが製造を引き受けると、その製品を構成している部品の段階から、ベンチャー企業が頼むような工場のものとは異なる品質になる。

 かわりにFOXCONNのような大企業は、数十万人が働く彼らの工場で扱うのに見合った製造数を必要とする。1000個と10万個では100倍の差だが、「製造の準備」は100倍も違わない。honeycombほか、多くのベンチャーが作っている製品は「これまでの世の中になかったようなもの」だ。売り上げの目標は立たないし、仮に最終的に世の中を変えるような製品だったとしても、最初からたくさん売れるわけではない。

 大企業のAppleでさえ、最初のiPhoneを100万台売るのに74日間を必要とした。2世代目のiPhone 3Gでは数日間。いまでは発表と同時に数百万台の発注がある。Appleならぬベンチャー企業の宣伝力では、製造数は数桁違い、1000の単位になることもしばしばだ。しかし、ゆっくり売っていては後発に追いつかれるかもしれないし、品質も上がらないままになる。

 逆に大企業は研究開発や初期段階の製造が、ベンチャー企業に比べて何倍も時間がかかる。Honeycombは創業者グループが製品開発をしているが、大企業で製品開発をするなら、役員会などの意思決定プロセスを経なければならない。見込みが立ちづらい製品ならなおさらだ。

 とはいえ、ベンチャー企業の製品を製造する仕事は、FOXCONNからしてみると手間がかかる割に製造数が少ない、割に合わない取引だ。なぜこのような取引が、利に聡い中国人達の間で成立しているのだろうか。答えは成長を見据えた先物買いにある。将来的に拡大する前に、有望なベンチャーの製造を引き受けて、将来の顧客を確保しようとするものだ。

 ベンチャーは失うものがないぶん、世の中にない製品を作りやすい。かつ、すでに大企業がしっかり押さえている市場には入って行きづらい。大企業は製造も販売も大規模にできる。逆にまったく新しいビジネスは起こしづらい。

 中国では、立ち上げフェーズが終わって走り出すぐらいの時期(プロトタイプができ、100台~1000台ぐらいの製造ができて、家電ショーで大人気とか、クラウドファンディングで成功、というぐらいの段階)に、大企業が支援や出資を行う例が非常に目立つ。

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「失敗コストの高い大企業とマスイノベーション」の著者

高須 正和

高須 正和(たかす・まさかず)

メイカーフェア深圳など運営

1974年生まれ。アジアで行われるメイカーフェアに世界一多く参加し、深圳・シンガポールでは運営に携わる。スイッチサイエンス(株)の社員として、現在、中国深圳在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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