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業界初、キリンビールの女性工場長

キリンビール 執行役員横浜工場長 神崎夕紀さん

2018年9月12日(水)

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日本における女性リーダーの育成は先進国のなかで大きく遅れをとっている。企業内でどのような経験を積んだ女性が、役員に就いているのか。どのような「一皮むける経験」がリーダーシップを育むことにつながったのか。キャリアの軌跡をつぶさに追うことで、企業内での女性リーダー育成のヒントを探る。

 第6回目は、キリンビールで技術職出身の女性として初の執行役員となった神崎夕紀さん(55)。2017年春からキリンビール発祥の地である横浜工場の工場長として、約250人の部下を率いる。神崎さんのこれまでの歩みを辿ってみよう。

神崎夕紀(かんざき・ゆき)

 1963年生まれ。88年に佐賀大学大学院卒業後、体外診断薬製造メーカーに入社。92年キリンビール入社。福岡工場で品質保証を担当する。97年神戸工場に異動。2004年横浜工場に転勤、経営職となる。2007年、栃木工場醸造担当部長に就く。2010年、生産本部生産統括部生産管理担当主査となり、初の本社勤務となる。2013年R&D本部酒類技術研究所副所長。2015年神戸工場長に就任、ビール業界初の女性工場長として注目される。2017年3月より執行役員・横浜工場長。

神崎夕紀さん キャリアチャート

 執行役員・神崎夕紀さん(55)が、栃木工場の醸造部長だったころのこと。神崎さんはふたつの役割を「兼務」していたらしい。日中は、醸造部長というビール造りの要となる要職で、製造工程に目を光らせる。夜になると近隣の飲食店に同僚とともに飲みに出かける。選ぶ店はあえてライバル会社のビールを扱う店。「キリンビールの味は私が保証しますよ」と言いながらボランティア営業をして、自社製品の扱い店を増やしていたという。昼は醸造部長、夜は自発的に営業切り込み隊長を務めていたわけだ。

 ビール業界で、女性初の醸造部長となり、そして工場長に。2017年春には執行役員に昇進し、キリンビール発祥の地である横浜工場の工場長となり采配をふるう。入社時は、「多くを期待されてはいなかった」という神崎さん。ベンチャー企業からの転職組であり、入社は地域限定の技術職。どのようにしてチャンスをつかんできたのだろう。

ベンチャー企業から転職。中途組としていかに貢献するか、自問自答の5年間

 「同じ日本の会社でも、こんなにも違うものか」
 28歳でキリンビールに中途入社した神崎さんは、こう呟いた。大学院を卒業後、社員70人ほどの医薬系ベンチャー企業に入社し、4年ほど試験管を振る実験の日々を送っていた。IPOに向けて厳しい空気の漂う会社でひたすら研究を続けるなか「私はこの仕事に向いているのか」ともやもやが募り、思い切ってキリンビールに転職を決める。福岡出身で九州の大学で学び、何となく地元勤務のほうがいいかと思い、軽い気持ちで地域限定職を選び福岡工場に配属となった。地方支社とはいえ、社員5000人を超える大企業は、ベンチャー企業とは組織の在り方が違う。目を丸くすることばかりだった。

 キリンビール福岡工場では、それまで女性社員といえばお茶くみコピーをこなす事務職スタッフ。技術職の女性も、中途の経験職採用も、初めてのこと。どのように処遇したらいいか、会社の側にも戸惑いがあったようだ。自分なりに頑張っても「へええ、ここまでやるんだ」といった反応で「多くは期待されていない」と感じていた。悶々とするなか「どうやったら会社に貢献できるのか」と自分なりに必死に考えた。

 品質保証の実験室を立ち上げよ、という命を受けた。ただし具体的な指示は何もないまま、できることを自分で考えて実行に移す。導入する機械を選定し、レイアウトを決め、原材料や半製品の分析を行う。入社間もなく精麦の分析ができたのは、幸いだった。品質保証の会議では司会を任されるようになり、組織に横串をさしながら、工場全体をみる視点を身に付けていった。

 即戦力の中途入社組として、自身の存在意義を自問自答する日々は5年に及んだという。「何かができる自分にならなければ、何も評価されない。存在すら知られない」と、手探りでがむしゃらに動いたこの時期に、基礎をみっちり身に付けることになった。中途入社組としての自身の立ち位置の模索、これがひとつめの脱皮につながったようだ。

横浜工場は、工場見学コースや試飲コーナーを設けるなど、地域に開かれた工場をめざす

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「業界初、キリンビールの女性工場長」の著者

野村浩子

野村浩子(のむら・ひろこ)

ジャーナリスト・淑徳大学教授

日経ホーム出版社(現日経BP社)で「日経WOMAN」編集長、女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長などを歴任。日本経済新聞社・編集委員などを経て、2014年4月から、淑徳大学人文学部表現学科長・教授。財政制度等審議会委員など政府審議会委員も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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