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アサヒ小路社長「1億ケースに意味はない」

経営トップが語る、スーパードライの現在と未来

2017年3月28日(火)

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 3月27日号の日経ビジネスの特集「メガブランド強さの限界」で、最も多くの紙面を割いたのがアサヒビールの「スーパードライ」だ。日本のビール業界のみならず、消費財全般を見渡してもこれほどの成功を納めたブランドは他にないだろうし、それだけに、ブランドの行方はアサヒ、そしてビール業界の未来を左右するほどのインパクトを持つ。

 アサヒグループホールディングスは海外でのスーパードライの展開強化に向け、大きな勝負に打って出た。ビール世界首位のアンハイザー・ブッシュ・インベブによる2位SABミラーの買収に絡み、旧SABの西欧ビール4社を昨年10月に買収。昨年12月には同じ旧SABの東欧5カ国のビール事業を買収すると発表した。買収額は総計で1兆2000億円近くに上る。

 一方、国内ではビール市場縮小などの影響もあり、スーパードライの販売量は長期低落傾向。強さの象徴だった「年間1億ケースの販売量」の大台割れも現実味を帯びる。小路明善アサヒグループホールディングス社長に、こうしたスーパードライの現状や今後の戦略について数々の質問をぶつけてみた。

アサヒグループホールディングスは最近、過去に例のない大型買収を矢継ぎ早に決めました。まず、この買収の狙いを教えてください。

(写真=北山 宏一)

小路:僕がアサヒビールの社長に就任したのは2011年ですが、その頃から当社の一番の強みであるビール事業をグローバルに展開していくことの重要性を強く感じていました。それは、強い競争力を持ったグローバルなプレミアムビールメーカーになるということです。

 国内市場の今のマイナストレンドについて10年後をシミュレーションしてみると、これは非常に厳しい状況にならざるを得ないと思います。泉谷直木会長と一緒に考えたことですが、昨秋の西欧での買収、今回の東欧での買収はそうした意味で躊躇なく決断したということです。

 プレミアムビールの強い競争力とはどういうことか。実は世界のビール市場においては、金額ベースで約3割がプレミアムビールとされており、しかも伸びが続いています。強いブランドを持ちこの市場に打って出ることが、我々のグローバル展開において唯一残された戦略であると考えています。

買収のメリットはどのようなところにあるのでしょうか。

小路:1つ目は先ほど申し上げた、買収先が持つ強いプレミアムブランドです。昨秋の買収対象が持つイタリアの「ペローニ」、今度買収する東欧の「ピルスナー・ウルケル」は50~60カ国で販売されている。この2つのような強いブランドを一から立ち上げるのは至難の技です。2つ目は、こうしたビールを製造できる製造設備や醸造技術があること。生産効率も非常に高いですね。

 そして3つ目が高い収益性です。アサヒビールのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の利益率は約24%とグローバルのビール業界ではABインベブなどに次ぐ水準ですが、今回買収する東欧事業は同じEBITDAの比率で約30%、買収した西欧事業も約23%という高さです。高い収益性を持っているということは、事業の安定性に加えて、その収益によって新しい商品開発、ブランド投資が可能になるということを意味します。

 最後に4つ目ですが、グローバルの事業展開にあたっては、海外に経営能力の高いトップやキーパーソンがいることが不可欠になります。例えば西欧事業を統括するアサヒヨーロッパのヘクター・ゴロサベルCEO(最高経営責任者)は、もともとSABミラーでペローニを有力なブランドとして育て上げた立役者です。ヘクターのような人材を獲得できたことも非常に重要です。

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「アサヒ小路社長「1億ケースに意味はない」」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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