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年金改革はプーチン氏の鬼門か

譲歩案示した弱気姿勢があだ花に?

2018年9月14日(金)

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 ロシア社会で今、極めて大きな関心事となっているのが年金制度改革だ。小欄でも何度か取り上げてきたが、受給開始年齢を引き上げる政府案に国民が反発。政権批判の声が強まり、プーチン大統領の支持率も低下した。事態を重くみた大統領はついに「譲歩案」を提示、自ら収拾に動き始めた。
年金改革についてテレビで演説するプーチン大統領(写真:AP/アフロ)

 「この先、長期間にわたって、年金システムの基盤と財政的な安定性を確保するのが制度改革の主な課題です。つまり、現在と将来の年金生活者の収入を維持するだけでなく、増やすことが目的なのです」――。

 8月29日。プーチン大統領は国営テレビを通じて、年金制度改革に関するメッセージを国民に語りかけた。

 大統領がテレビに登場すること自体は珍しくない。大統領の動静はニュースでほぼ毎日伝えられるし、自らは毎年、「プーチンとのホットライン」というテレビ番組に生出演して国民の数多くの質問や苦情に直接答えている。また、年末にはテレビを通じて国民に新年の祝辞を伝えるのが恒例となっている。

 他にも大統領選への投票を呼びかけるなど、国政にかかわる重大局面で国民向けのメッセージを発表することはある。ただし、個別の政策テーマに関して、大統領がテレビを通じて国民に直接訴えかけるケースは異例だ。年金改革はそれだけ重要な課題というわけなのだろう。

 

 とはいえ、政権にとって極めて大事な政策課題にもかかわらず、これまでプーチン大統領は前面に立って国民を説得してこなかったのが実情だ。制度改革の推進役はメドベージェフ首相率いる連邦政府と、政権与党の「統一ロシア」に委ね、自らはどちらかといえば傍観者の立場で、発言を極力控えてきた。

 

 政府が打ち出した年金制度改革案は、年金の受給開始年齢を、男性は現行の60歳から65歳、女性は同じく55歳から63歳に引き上げるのが骨子だ。平均寿命が延び、少子高齢化も進むなかで、長期にわたる年金財政を健全化することを主眼にしている。ロシアは他国と比較しても年金制度改革への取り組みが大幅に遅れており、その意味でも受給開始年齢の引き上げが急務になっていた。

 

 ただし、当然のことながら国民に痛みを強いる政策となるだけに、政権としてもなかなか着手できない。とくにプーチン大統領は2005年、「自分の大統領としての任期が終わるまで、受給開始年齢は変更しない」と公言していた。それだけに、なおさら難しかった。

 

 曲折をへて、政府はようやく今年6月に改革案の概要を公表。議会の下院は年金改革法案の審議に入った。翌7月の第1読会では野党勢力がこぞって反対したものの、下院で圧倒的な議席数を誇る「統一ロシア」の支持によって法案を基本承認した。

 

 しかし、国民の9割以上が年金受給年齢の引き上げに反対する中、批判の矛先はメドベージェフ首相率いる政府や「統一ロシア」だけでなく、年金制度改革で「中立」を装っていた大統領自身にも向かった。かつて80%を超えていたプーチン大統領の支持率はここにきて急落し、60%台まで落ち込んでしまった。

 

 プーチン政権も実質4期目に入り、社会ではただでさえマンネリ政権への不平・不満が水面下で渦巻く。国民の反発が根強く、支持率急落の主因となっている年金制度改革の問題でこのまま手をこまぬいていれば、政権の求心力低下に歯止めがかからなくなる恐れがあった。

 

 プーチン大統領がこのタイミングで、テレビを通じて国民向け談話を発信したのは、年金改革問題への対処を誤れば政権を揺るがす一大事に陥りかねないという危機意識が大きく働いたともいえるだろう。

 では、大統領は具体的にどのようなメッセージを国民に伝えたのか。

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「年金改革はプーチン氏の鬼門か」の著者

池田 元博

池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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