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オバマ氏退任前にロシアが浴びせた痛烈パンチ

シリア停戦合意破綻でプーチン大統領の怒りが頂点に

2016年10月14日(金)

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 ロシアのプーチン大統領が突然、余剰プルトニウムの処分に関する米ロ合意の履行停止を表明した。一見、地味で専門的な内容にもみえるが、米ロが進めてきた核軍縮の大きな柱のひとつだ。なぜ今、合意の履行停止なのか。
シリア停戦合意は、米側が今月3日に協議停止をロシアに通告したことで最終的に破綻。余剰プルトニウムの処分に関する米ロ合意の履行停止のきっかけになったとみられている。(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアのプーチン大統領が今月3日に公布した大統領令が国際的な波紋を呼んでいる。米国とロシア両政府が結んだ核兵器用プルトニウムの処分に関する合意について、その履行を一方的に停止するというものだ。

 この合意は、米ロの核軍縮の一環として2000年に結ばれた。核兵器の解体・廃棄によって生じる大量の余剰プルトニウムを原子力発電の原料に再利用する形で処分するというもので、再び軍事転用しないようにするのが狙いだ。ただ、技術や資金面の問題から履行されなかったため、米ロは2010年4月に改めて合意文書に署名し、翌2011年に「発効」した経緯がある。

 ちなみに米ロが再合意した時期(2010年4月)は、オバマ大統領とメドベージェフ大統領(当時)が新戦略兵器削減条約(新START)に調印した直後だった。しかも、オバマ大統領の肝煎りで、ワシントンで第1回核安全保障サミットが開催されているさなかに、会場内で調印された。「核兵器なき世界」を唱えたオバマ大統領にとって、まさに絶頂期の合意だったわけだ。

 2010年の合意文書に署名したのは、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)とラブロフ外相。米ロがそれぞれ最低でも34トンの兵器級プルトニウムを処分することが再確認され、双方は2018年までに実際の処分を開始することが決まった。米国務省は当時、「米ロが処分する合計68トンのプルトニウムは、およそ1万7000発の核兵器の原料に相当する」とし、米ロの核軍縮の大きな成果だと強調していた。

コメント3件コメント/レビュー

 昨今の欧米メディアのロシア報道(特にシリア絡み)の出鱈目さは目を覆うばかりですが、日本のメディアも欧米メディアに流されがちで辟易しておりました。本記事はそんな中では珍しい、客観的で読み応えのある冷静な分析記事だと感じました。(2016/10/14 15:19)

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「オバマ氏退任前にロシアが浴びせた痛烈パンチ」の著者

池田 元博

池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

 昨今の欧米メディアのロシア報道(特にシリア絡み)の出鱈目さは目を覆うばかりですが、日本のメディアも欧米メディアに流されがちで辟易しておりました。本記事はそんな中では珍しい、客観的で読み応えのある冷静な分析記事だと感じました。(2016/10/14 15:19)

アメリカ側の攻撃は「誤爆」で、ロシア側がこの攻撃は自分たちではなく反政府側だと映像証拠と共に言うのは「主張している」と平気で言っている日本のメディアも違和感ありまくりだけど、最近の西側のロシア悪者化は、反露の風潮の中で育った私でもおかしい、行き過ぎと感じます。日本から見ているとアサド政権も反体制側も悪くて悪逆非道なのは同じくらい。サウジアラビアに配慮して打倒アサドを唱えていると言われていた頃はまだ理解できたけど、最近はアメリカとサウジの関係も悪化しているんですよね。トランプ以前に、アメリカどうなっているの?って感じです。(2016/10/14 10:40)

 冷戦たけなわの頃、ソヴィエト赤軍には多数の機甲師団が存在し、いざ東西手切れとなれば、それらが鋼鉄の奔流となって西ドイツ(当時)国境を突破し、西欧を蹂躙するはずだった。
 しかし、現在のロシア軍はわずか55個旅団(旅団は師団よりコンパクトな戦闘単位)しかない。しかも、その旅団も米国陸軍の旅団の約半分程度の規模・装備しかない。冷戦時代(さらに遡って『大祖国戦争』時代)のような大規模縦深突破などありえない。本当に使える戦力は、少数精鋭のスペツナズ(露語で特殊部隊の意)のみ。通常兵器戦力があてにならぬ以上、核戦力への依存が高まるのは仕方ないところだ。(2016/10/14 10:17)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官