「使えない」異質な人材がイノベーションを興す

第26回:事業部から独立した聖域を作り、未来のために種をまく(2)

左から本田技術研究所の松本宜之社長、沖電気工業の川崎秀一会長(写真:北山 宏一)

 技術革新のため、改めて原点回帰に目を向けた、本田技術研究所と沖電気工業(OKI)。顧客が将来求めるものを先回りして捉え、イノベーションを興すために、創造性が発揮されやすい組織作りに力を注いでいる。

 「イノベーション100委員会」(※)で、2社の経営者が語った経営革新、そして人事評価・組織のあり方とはいかなるものだろうか。

「知と知の組み合わせ」と「原点回帰」が目下のテーマ

 OKIは、社会の課題の指標として、昨今ではSDGs(持続可能な開発目標)を軸にイノベーションのテーマ設定を行っていると聞く。

OKIの川崎秀一氏(以下、川崎):我が社の企業理念に「世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献する」とあるのですが、2030年までの世界の共通目標である「SDGs」を知って、これこそが今、私たちの事業革新に必要なガイドラインだと思いました。SDGsは、まさに「世のため、人のため」ですよね。そういう意味では、原点回帰だと思います。

川崎 秀一(かわさき・ひでいち)氏
沖電気工業代表取締役会長。1970年、沖電気工業入社。入社以来、20年あまり金融部門の営業畑を歩んだ後、NTT営業本部長、ネットワークシステムカンパニープレジデント、営業推進本部長などを経て、2009年に代表取締役社長に就任。2016年4月より現職。 座右の銘は、「誠心誠意」。好きな言葉は、京都の大徳寺大仙院住職の尾関宗園師による「気は長く、心はまるく、腹立てず、人は大きく、己は小さく」。(写真:北山 宏一)

本田技術研究所の松本宜之氏(以下、松本):電動化、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)など、今、ひっきりなしに技術的なジャンプアップが実現しています。だからこそ、原点回帰するには、よい時機なのだろうと思えます。昔であれば夢物語だったものが、技術が追いついてきて、実現できるようになってきたからです。

松本 宜之(まつもと・よしゆき)氏
本田技術研究所代表取締役社長。1982年、本田技研工業入社。「シビック」「アコード」「インテグラ」などの開発を担当した後、2013年に新設されたアジア・大洋州生産統括責任者に就任。2015年に取締役専務執行役員に就任して四輪事業本部長を務め、2016年7月より現職。 初代「フィット」の開発責任者を務め、2002年の新車販売台数のランキングでは、トヨタの「カローラ」を抜いて、このカテゴリーでホンダ車としてはじめて首位を達成した。(写真:北山 宏一)

 そのためにも、私たちにはない技術を持ったベンチャー企業などとの協業も重要だと思っています。これまでHondaは「独身主義」だと言われてきたのですが、昨年、オープンイノベーションへの取り組みを発表したところ、様々な企業の皆さんが接触してくれるようになりました。

 多様な業界の人と接すれば、また違った発想も生まれます。そうした異業種とのお付き合いも加速するタイミングなのかなと思っています。

※イノベーション100委員会とは
企業がイノベーションを興すための方法を探るために変革の思いを持ち、行動を起こしている企業経営者がイノベーション経営について議論する場。「イノベーション経営を進める大企業経営者が100人になれば、日本は再びイノベーション国家になる」との思いを持ち、経済産業省、株式会社WiL、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)が2015年より共同運営している。

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著者プロフィール

西口 尚宏

西口 尚宏

一般社団法人JIN専務理事

上智大学経済学部卒、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒(MBA)。日本長期信用銀行、世界銀行グループ人事局,産業革新機構 執行役員nadoを経て現職。

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