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ポジティブ・シンキングが成功をぶち壊す?

成功にはオプティミストもペシミストも必要

  • 山崎 裕二

バックナンバー

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2018年9月12日(水)

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(写真=PIXTA)

 私はこれまで、いくつかの企業で多くのプロジェクトを回してきた。

 例えば、現在プロジェクトマネージャーとして扱っている製品は全世界で600万人以上のユーザーがいるソフトウエアだ。必然的に新製品や新バージョンを出す時には、多くの関係者が集まってキックオフ・ミーティングを開く。

 こうした複数メンバーでのキックオフで一番気をつけなくてはならないことが、関係者の「やる気」であり、「前向きな気持ち」だ。

 新製品を立ち上げようとしているメンバーが、「これは革新的な製品だ」とか「間違いなく売れる」という気持ちになっていなければ、キックオフはうまくいかない。つまり、満足のいくスタートが切れない。

 ほとんどのプロジェクトは、ロケットスタートが成功の必要条件だ。

プレモータム・シンキングの詳細は、現在発売中の『先にしくじる』に収録しています。

 ごく特殊なケースを除き、いいスタートが切れるにこしたことはない。どんな有望な新製品もプロジェクトも、出足でしくじれば鳴かず飛ばずのうちに消えていく。

 楽観的に考えることは多くのメリットをもたらす。何よりチームメンバーの気分が上がる。常日頃ストレスにさらされているビジネスパーソンにとって、前向きなメンタルを保てる状況は何よりも重要だ。気分が上向くだけでパフォーマンスは上がる。

 さらに、いろいろな問題が発生しても、それを跳ね返す強靱さを保てる。ちょっとやそっとのことではへこたれない。

 だからどんな困難にも粘り強く対応し、最終的には成功するまでしぶとく闘える。このへこたれない力のことを心理学の世界では「レジリエンス」と呼ぶ。そして「レジリエンス」は、ポジティブな性向を持つ人ほど強い。ポジティブ・シンキングは「レジリエンス」を強めるのだ。

 ところが、このポジティブ・シンキングは行きすぎると落とし穴にはまる。

 楽観的に考えすぎることが過度の自信につながって、「計画の錯誤」なるものが発生するのだ。

 プロジェクトや事業計画に何らかの緩みが忍び込むように入り込み、様々な問題が発生し、プロジェクトは失敗に終わってしまう。

 見渡してみると、ポジティブ・シンキングの行きすぎによる失敗は、自信にあふれる起業家によく見られる。実際に、ポジティブな考え方の程度と起業家のパフォーマンスは負の関係性があることが報告されている(注1)

ポジティブ・シンキングをするほど、へこたれない力、つまり「レジリエンス」が強くなる。一方でポジティブが行きすぎると、計画に緩みが入り、結果としてパフォーマンスが下がる傾向がある。(米テキサスクリスチャン大学のKeith M. Hmieleskiと米レンセラー工科大学のRobert A. Baronの研究を基に筆者が作成)
注1:起業者の楽観主義とパフォーマンスの関係については次の文献が詳しい。Keith M. Hmieleski(Texas Christian University),Robert A. Baron(Rensselaer Polytechnic Institute),「ENTREPRENEURS' OPTIMISM AND NEW VENTURE PERFORMANCE: A SOCIAL COGNITIVE PERSPECTIVE」(Academy of Management Journal 2009, Vol. 52, No. 3, 473-488.)

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