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「赤字でも巨額投資」中国EVブームの行く末

中国EV企業の幹部3人が語る

2017年6月14日(水)

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 日経ビジネス6月12日号の特集「『空飛ぶクルマ』の衝撃 見えてきた次世代モビリティー」では、新世代のクルマが産業構造を変えようとする動きに迫った。米シリコンバレーなどで開発が進む空飛ぶクルマがその代表例だが、足元でも既に中国でのEV(電気自動車)の台頭が大きな波となって押し寄せている。

 IT(情報技術)企業の支援を受けるなどして高級車市場に殴り込みをかける新興ベンチャー、EV市場で捲土重来を図る自動車メーカー、日本企業を猛追する部品メーカー。中国の自動車産業で頭角を現しつつある企業に共通するのは、政府の強力な推進策が生んだ「EVブーム」の波に乗り、爆発的成長を狙っていることだ。ばくちのようにも見える経営方針だが、中国の自動車強国化への強い自信をみなぎらせている。

蔚来汽車

英語名は「NextEV」、ブランド名は「NIO」。2014年11月に、インターネットサービスの騰訊控股(テンセント)やネット検索の百度(バイドゥ)など中国のトップIT企業などから出資を受けて誕生したEVベンチャー。非上場ながら企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン企業」でもある。

朱江氏 蔚来汽車副社長。マーケティングや販売戦略を担当するほか、中国本社がある上海の総支配人も兼務する。蔚来に参画する前はBMW「ミニ」の中国法人の副社長やレクサス中国の副総支配人を歴任。(写真:町川秀人)

まずは会社の成り立ちを教えて下さい。

朱江副社長(以下、朱):創業者の李斌会長は、中国最大のネット自動車販売会社のビットオート・ホールディングスなどを手掛けてきました。蔚来汽車を設立する前の2年間は、新しいモビリティーをどう提供するかを思案していた。具体的に言うと、まず中国の大気汚染への対応です。走行中は汚染物質を出さない電気自動車に注目しました。次に考えたのは顧客に高級感を感じてもらうこと。材料とか内装とかも全部含めて、高級感が伝わらないといけない。クルマを使っている毎日がすごく愉快な、心地よい体験をしてもらいたい。

昨年病死されましたが、共同創業者には米フォード・モーター出身で、マツダ役員や伊マセラティのCEO(最高経営責任者)を務めたことでも知られるマーティン・リーチ氏がいました。ほかにも米シスコシステムズの幹部など、自動車やIT(情報技術)の業界から多数の人材を集めていますね。

:李会長の顧客目線の理念に共感してもらえたと考えています。私は(独BMWの高級小型車ブランド)「ミニ」や(トヨタ自動車の高級車ブランド)「レクサス」での経験がありますが、蔚来の理念は欧州や日本の自動車メーカーと近い部分があると思う。だからこそ蔚来には40カ国以上から優れた人材が集まっています。

顧客重視のお手本はスタバ

驚かされるのは、資金集めです。中国企業だけじゃなく、米シリコンバレーでトップクラスのVC(ベンチャーキャピタル)、セコイアキャピタルからも投資を受けていますね。上海モーターショーでも注目されたEV(電機自動車)スポーツカー「EP9」が初めての市販車で、昨年まで売上高はゼロ。それなのに大規模なヒト、モノの資産を抱えている。どうやってそれだけのお金を集めることができたのでしょう。

:投資へのリターンが一番大きいのは、顧客第一という理念を持っている会社だと投資家が考えているということです。

 例えばスターバックス。これは理念への理解を深めてもらうために社員にも説いていることですが、スターバックスは顧客重視のサービスによりその価値を高めている会社の代表例です。当社の社員に聞いてみても、スターバックスを利用する理由に「コーヒーが美味しいから」と答える人は1人もいない。出てきた答えは仕事をしに行くとか、ちょっとのんびりしたいとか。自分はスターバックスに依存している、なんて回答もありました。食品を売っている会社のリピーターが、その食品目当てで行きたいというわけじゃない。スターバックスがすごくいいサービス、いい体験を提供しているからです。

コメント13件コメント/レビュー

当方、上海駐在中。こちらにくるまで中国は遅れている、と考えていたが、とんでもない。
モビリティ方面でいえば、電動自転車、電動バイク、電動車、電動バス(トロリーから充電式まで)なんでもござれ。いわゆるuberに似たサービスがあり、あらゆるブランドの車に乗る機会があるが、一部の中国ブランド車は大手先進国の車と比較して、乗り心地・インテリアの質感に大差がない。勿論一部はまだ質感に差を感じるが、それにしても実用上は問題ない。エンジンだけは日本製よりうるさく頂けないが・・・。(だからこそEVシフトを進めているのだろう)

それよりもきになるのが、中国における日本車メーカーのイメージはあまり高くないこと(地域にもよるが)。彼らいわく、高速道路で安定しない、頑丈な感じがしないと。制限速度自体は日本と変わらないが、急加速・割り込み・急制動が当たり前の交通文化。いざという時の操縦安定性・剛性”感”を非常に重視している。

それゆえ、日本車のイメージはあまり高くないし、あまり多くもない(ドイツ車と比較される故)。日本車メーカーは、本気で品質改善に取り組まなければ、米国の二の舞になりかねないように感じる。(2017/08/06 19:20)

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「「赤字でも巨額投資」中国EVブームの行く末」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

当方、上海駐在中。こちらにくるまで中国は遅れている、と考えていたが、とんでもない。
モビリティ方面でいえば、電動自転車、電動バイク、電動車、電動バス(トロリーから充電式まで)なんでもござれ。いわゆるuberに似たサービスがあり、あらゆるブランドの車に乗る機会があるが、一部の中国ブランド車は大手先進国の車と比較して、乗り心地・インテリアの質感に大差がない。勿論一部はまだ質感に差を感じるが、それにしても実用上は問題ない。エンジンだけは日本製よりうるさく頂けないが・・・。(だからこそEVシフトを進めているのだろう)

それよりもきになるのが、中国における日本車メーカーのイメージはあまり高くないこと(地域にもよるが)。彼らいわく、高速道路で安定しない、頑丈な感じがしないと。制限速度自体は日本と変わらないが、急加速・割り込み・急制動が当たり前の交通文化。いざという時の操縦安定性・剛性”感”を非常に重視している。

それゆえ、日本車のイメージはあまり高くないし、あまり多くもない(ドイツ車と比較される故)。日本車メーカーは、本気で品質改善に取り組まなければ、米国の二の舞になりかねないように感じる。(2017/08/06 19:20)

 産業構造まで変わるかね〜?。現在の車にしてからが、いってみれば付加価値商品みたいなもんだし、コンセプト自体も、かつての「自由な活動」と「安全のための自動化」へと二分化されたままで、その差が縮まっていく様子は見られない。

 なんか無理があるような視点に思える。(2017/06/16 15:35)

EVもスマホの様にコモディディ化するのだろう。
しかし、誰がどう記事をサポートしようとも、中国のクルマに乗ろうとは思わない。
くれぐれも、戦争が起きたときに遠隔操作される兵器となる様な製品を日本に持ち込ませようとしないでくれ。(2017/06/15 15:25)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官