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日産、スルガ銀、スバル…社是から考える不祥事

高野山の企業墓に見る「日本型経営」の喪失

2018年12月3日(月)

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老師を訪ねて長野県千曲市の開眼寺を訪れた

 私は11月初旬、長野県にある禅寺を訪れていた。住職を務める老師とは、かれこれ5年ほどの付き合いになる。もともと老師は大手精密機器メーカーの米国法人の社長まで務めていた。老師は若い頃に禅に傾倒。仏門への憧れを募らせ、同社を退職後、厳しい修行を成し遂げた。そして、空き寺に入ったのが2001年のことであった。

 老師はこの1年を振り返って、こう話した。

 「今年は企業の不祥事が多かったね。過失ではなく、企業のデータ改ざんなど、故意の不祥事が目立った。今一度、社是というものに立ち返ってもらいたいね。どの企業の社是も、仏教の考え方そのものだから」

 エフシージー総合研究所によれば、2018年1月から11月22日までにマスコミで報じられた企業事件の数は100件に上る。

 新年早々に世間を騒がせたのが、振袖の販売、レンタルを手掛けていたはれのひ社長による詐欺事件だ。2月には三菱マテリアルのグループ会社3社で品質データの改ざんがあったことが判明。さらに、神戸製鋼所やスバルなどでもデータ改ざんが次々と発覚した。スルガ銀行は、不正融資問題で一部の業務停止命令に追い込まれた。

 老師と別れて2週間後。2018年の企業不祥事の総決算と言わんばかりに“ゴーンショック”が起きた。改めて老師の「社是の精神を思い返して」との言葉が思い浮かんだ。

 社是を朝礼などで読み上げている企業はともかく、諳んずることができる従業員は、そうはいないのではないか。社是とは、企業のあり方の指針であり、創業者の理念が込められていることもある。近年は、「社是」とは呼ばず、「企業理念」などとする企業も多い。日産自動車の場合、「ビジョン」が社是にあたるだろう。

 たいていの社是は抽象的な表現であり、どの企業も似通っている。

 たとえば、稲盛和夫氏が名誉会長を務める京セラの社是は「敬天愛人」。そこにはこんな説明が添えてある。

 「常に公明正大 謙虚な心で 仕事にあたり 天を敬い 人を愛し 仕事を愛し 会社を愛し 国を愛する心」

 京セラの場合、社是とは別に経営理念が存在する。そこでは、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」としている。

 

 では、不祥事のあった企業の社是とはどんなものか。

 グループ会社で性能データ改ざんのあった三菱マテリアル。企業理念に「人と社会と地球のために」をうたっている。

 燃費などの測量データ改ざんに関わっていたスバル。企業理念の第2項目に「私たちは常に人・社会・環境の調和を目指し、豊かな社会づくりに貢献します」と述べている。

 不正融資問題で揺れているスルガ銀行は、企業理念の中で「いつの時代にも社会から不可欠の存在として高く評価される企業」としている。

コメント17件コメント/レビュー

日本的経営の終焉の課題であろうか?従業員のリストラ、解雇、企業のM&A、正社員から派遣社員のシフト、パート・アルバイトの増加等々を考えるとこの30年間で企業の雇用情勢は全く変質し、従業員に忠誠心を力ずくで求めるには無理があるのではないだろうか?コンプライアンス、ガバナンス統治が叫ばれているが、昔は社長のワンマン経営等当たり前だった。行く着くところは「人」の問題、探究だと思っている。(2018/12/06 08:53)

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「日産、スルガ銀、スバル…社是から考える不祥事」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

ジャーナリスト、浄土宗僧侶

1974年、京都市生まれ。新聞記者、日経ビジネス記者、日経おとなのOFF副編集長などを歴任後、2018年に独立。「宗教と社会」をテーマに取材を続ける。正覚寺副住職、浄土宗総合研究所嘱託研究員、東京農業大学非常勤講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本的経営の終焉の課題であろうか?従業員のリストラ、解雇、企業のM&A、正社員から派遣社員のシフト、パート・アルバイトの増加等々を考えるとこの30年間で企業の雇用情勢は全く変質し、従業員に忠誠心を力ずくで求めるには無理があるのではないだろうか?コンプライアンス、ガバナンス統治が叫ばれているが、昔は社長のワンマン経営等当たり前だった。行く着くところは「人」の問題、探究だと思っている。(2018/12/06 08:53)

海外の中堅都市にある日系法人に勤めていますが、私の都市では近年日本人会の活動を忌避する企業さんが増えているように感じます。
経営理念、社是からのCSRという観点から言えば、地域日本人社会への貢献というのも立派な企業活動の一つだと思うのですが、特に近年、中堅上場企業の現地法人社長として来られる方ほど、無駄な活動と日本人会活動を切り捨てる傾向にあります。当方、零細企業の現法責任者としてこちらに赴任していますが、そういう方々をみるにつけ、コスト、成果に縛り付けられすぎてはいないか?と違和感を持たずにはおれません。
日本型成果主義が日本衰退の根底とコメントを拝見し、企業活動外には殊更関わろうとされない現法の経営者さんの矮小な姿を思い出しました。
世界最古の会社金剛組を持つ我が国が、なぜ海外に憧れ、民族に合わぬ成果主義を導入し、結果このようなぎすぎすした雰囲気を醸し出す社会になっているのか。コストカッターとして名をはせたゴーンさんの問題や近年続出する企業不祥事を踏まえ、改めて考えるべき時が来ているのではないでしょうか?(2018/12/04 11:29)

日本衰退の根底はグローバル化ではなく、日本型成果主義です。

ゴーンさんの報酬が安いという理由の根底は、
日産を再生し、ルノーを再生し、世界2位の企業連合までに成長させた功績についての報酬としてあの額が正しいのか?と言う事です。
TVのコメンテーターの中には「アメリカの銀行経営者からすればだいぶ安い額だ」と意味不明なコメントをする者が多数いますが、グローバル企業のCEOとして見れば安くなく、むしろ高い方なんですよね(自動車会社では1位)

不祥事の多くは日本型成果主義による、他人の不幸は自分の利益、の会社組織で出世した人物が管理職や経営者に回った影響でしょう。(2018/12/03 14:38)

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