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新規事業アイデアを阻む社内論理

新規事業開発で通すべき筋とは

2018年7月12日(木)

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(写真: Greyscale / PIXTA)

 企業が新しいビジネスを興す場合、最初のポイントは、ビジネスアイデアの検討だ。このアイデアがビジネスの成否を決めると言っても過言ではない。しかし、ここで多くの関係者からの声や意見が入ってくるため、その対応に四苦八苦することも多い。

 本連載では、架空の典型的な日本企業である文具・事務用品メーカー「サプライズ社」が、様々な落とし穴でつまずきつつ、担当者が起死回生目指して奮闘していく軌跡を描いていく。3回目の本稿は、ビジネスアイデアの検討プロセスについて起こり得る状況をみていこう。

 「デザイン思考では、人間中心という考え方を核にして、観察から課題定義、アイデア創出、そしてプロトタイプ作成と効果検証までの、筋の通ったプロセスで事業開発を行うことが大事です。このプロセスを常に意識して進めてください」

 新規事業開発手法のワークショップで、ファシリテーターは、何度もそう強調した。

 「筋を通す。新規事業においても、結局は、これに尽きるのか…」

 ワークショップに参加しているサプライズ社のデジタル新規事業企画室、通称「サプライズ・ラボ」のメンバーになった内川博史は、5年前、新卒入社した時から上長だった高木に助けられた時のことを、ふと思い出していた。

社内ルールの不理解が招いたトラブル

 大学で経営学を専攻した内川は、入社後すぐに高木のいる文具事業部営業企画課に配属された。最初の仕事は、サプライズ社の商品を置いている大手小売店の店頭販促の情報収集や効果検証。大学のマーケティングのゼミで学んだことを存分に生かせる業務だった。

 あちこちの店を飛び回ってバリバリと仕事に取り組んでいたある日のこと。同じ部署の先輩が電話を取ってから、内川に声をかけてきた。

 「内川、代理店営業部のマネージャーから、問い合わせが来ているぞ。おまえが、どこかの店で勝手な提案をしているって…これ何のこと?」

 「えーっと…もしかしたら先週、埼玉の店舗まわりをしていた時のことですかね…ちょうどそこの店長さんに陳列の相談を受けたので、私から企画のアドバイスをしたんですが」

 「で、内川、その場で企画のアドバイスまでしちゃったの? その話、代理店営業部にきちんと報告した?」

コメント3件コメント/レビュー

私はこの例で最も悪いのは、アドバイスされた時に内川さんと高木さんが議論しないことだと思います。高木さんはフラッと来て、議論する時間もないのに横槍を入れた。内川さんは、今のB2C向けのアイデアがどれほど有効で市場があるかということを日ごろから考えておらず、上司、先輩の言うことは絶対という固定観念があった。これではイノベーションなんて起きるはずがありません。そのアイデアを信じ、ビジョンを示し、時に不合理なことにも道理をつけ、熱意で押し通していくことができなければ、既存企業でイノベーションなんて起こせません。(2018/07/13 15:58)

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「新規事業アイデアを阻む社内論理」の著者

加藤康行

加藤康行(かとう・やすゆき)

グロービスコーポレートエデュケーションテクノべートラボディレクター

名古屋大学理学部物理学科卒業、米 スタンフォード大学SEP修了。上海交通大学総裁班プログラム修了。大学卒業後、総合商社に入社し、中国ビジネスに従事。その後、戦略系コンサルティング会社に参画し、顧客企業の新事業創出のサポートを顧客企業に常駐して実施。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私はこの例で最も悪いのは、アドバイスされた時に内川さんと高木さんが議論しないことだと思います。高木さんはフラッと来て、議論する時間もないのに横槍を入れた。内川さんは、今のB2C向けのアイデアがどれほど有効で市場があるかということを日ごろから考えておらず、上司、先輩の言うことは絶対という固定観念があった。これではイノベーションなんて起きるはずがありません。そのアイデアを信じ、ビジョンを示し、時に不合理なことにも道理をつけ、熱意で押し通していくことができなければ、既存企業でイノベーションなんて起こせません。(2018/07/13 15:58)

既存組織で新規事業を検討すると必ずこうなりますね。悪く言うと横槍、良く言えば多面的な視点からのアドバイス・・・。言う側は善意であることがほとんどでしょうが、発想の芽を摘み担当者の意欲を削ぐことは間違いない。今回のケースで言えば、B2B向けと、B2C向けに応用が考えられるのなら、優先順位をつけて両方やれば(やると言いつつ進めておけば)いいんじゃないでしょうか。少なくとも、まずは1歩ずつとにかく前に進んでみて、反応を見て考えればよい。そこで、BかCか悩んで足踏みしていたり、どちらに賭けるか決め打ちを強要したり、それでコケたら後がなくなる様な会社なら新規事業など開拓できないのでしょう。(2018/07/12 17:03)

関係各所への根回し(スジ)が社内倫理かな?とは思いましたが、
日本の商習慣の表現としては正しいですね。(2018/07/12 16:13)

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