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いつまでも実証実験で消耗していてはいけない

第6回 大企業とスタートアップ「ビジネスサイクル」のズレ

2018年8月2日(木)

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(写真:Besjunior / PIXTA(ピクスタ))

 新規事業では、事業化のための実証実験、テストマーケティングが、その繰り返しのみで事業化に至らず、となることが多い。事業化に向けて、何が必要であろうか。

 本連載では、架空の典型的な日本企業である文具・事務用品メーカー「サプライズ社」が、様々な落とし穴でつまずきつつ、担当者が起死回生目指して奮闘していく軌跡を描いていく。6回目は、事業化のための実証実験について。

 サプライズ社の運営する文具・雑貨ショップ「ジャック・インザボックス」の銀座店には、レジ近くに置かれたロボット「ジャック」の様子を一目見ようという人たちで、人だかりができていた。

 「やあどうもお嬢さん、ノートのお買い上げありがとうございます。今日は寒いねえ。え? だからこのノートで熱々の恋愛小説なんか書いちゃうって? できたら僕にもこっそり読ませてほしいんだけどな。この店内のほかのお客さんにはナイショでね!」

 「ジャック、それ店中に聞こえてるよ!」

 「おっと失礼。それじゃ、お客さんにはこの、書いた文字が見えないペンをプレゼント! ってこれ、インクが切れてるだけだったよ! ごめん! また今度インク買いに来て!」

 ジャックは顧客がレジに商品を持っていくたびに、店員と会話しながら気の利いたジョークを飛ばして顧客を笑わせたかと思うと、前面のフタが開いてびっくり箱のように景品が飛び出したり、時には手が飛び出して握手を求めたりした。

 登場した初日からニュースリリースの効果もあり来店客が増え始めたが、その後ジャックと店員のユーモラスな会話や驚きのあるプレゼントなどがSNS(交流サイト)上でも話題になり、実験開始から3日目には実験店舗に入れないほどの人が詰めかけるようになった。ふたをあけてみれば、ジャック・インザボックス銀座店での2週間の実証実験のあいだ、来店客数は前年比で50%も伸び、客単価は落ちたものの、それでも売り上げは20%近く増えた。

 ロボット開発のスタートアップ企業J-ロボット社と共同で、このレジロボットの企画を作り上げたデジタル新規事業企画室、通称サプライズ・ラボのメンバー咲間香枝は、実証実験の期間中、ジャックについて寄せられる顧客やマスコミなどからの問い合わせ対応で、てんやわんやの毎日を送っていた。

社内調整の末の実証実験

 とはいえ、咲間がこの実証実験にこぎ着けるまでの道のりは、決して平坦ではなかった。

 J-ロボット社と共同開発したレジロボット「ジャック」の実証実験の準備には、店舗現場や小売事業部内との調整で思わぬ時間がかかった。このプロジェクトをリードする咲間は、当初、2カ月くらいで実店舗に試験導入するつもりだったが、ことはそう簡単ではなかった。

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「いつまでも実証実験で消耗していてはいけない」の著者

大牧 信介

大牧 信介(おおまき・しんすけ)

グロービス・テックラボディレクター

立命館大学経済学部卒業。東京理科大学大学院イノベーション研究科修了(技術経営修士)。企業のオープンイノベーション、アクセラレータープログラムを企画・推進、スタートアップ企業の支援などを行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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