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自衛隊という実力組織を「統制」する術

軍部大臣現役武官制の轍を踏まないために考えるべきこと

2018年2月2日(金)

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(前回はこちら

 安全保障に関わる憲法の条項を議論する際、安全保障法制の法案が議論された2014年以来、集団的自衛権の行使を許容するか否かが大きなテーマになっている(関連記事:「「自衛隊」ではなく「自衛権」を定義する」)。だが、議論すべき点はこれにとどまらない。その他のテーマとして、以下で文民統制(シビリアンコントロール)*と集団安全保障(のちの回)について取り上げる。

*:軍人ではなく文民が軍を統制する原則 。民主的な意思を軍に反映させるとともに、軍が政治に介入するのを防ぐことを目的とする

 文民統制を実現する具体的な手段として、内閣(行政)からの統制、国会(立法)による統制、裁判所(司法)による統制の3つが考えられる。国際政治学者の三浦瑠麗・東京大学政策ビジョンセンター講師、立憲民主党の山尾志桜里・衆院議員、憲法学者の西修・駒澤大学名誉教授の3氏が内閣(行政)からの統制を、三浦氏と山尾氏は国会(立法)による統制も提案している。

三浦瑠麗・東京大学政策ビジョンセンター講師(写真:加藤 康)

 まず内閣からの統制について。三浦氏は「内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛隊を置く」との文言を9条に追加するよう提案する。現在は自衛隊法で定めていることを憲法に“格上げ”する。

自衛隊法 第7条

内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。

 これにより、自衛隊が首相の下にあることを明記する。「自衛隊が政府内政府のような存在になってしまっては困るから」(三浦氏)だ(関連記事「中学生が読んで自衛隊違憲となる憲法はおかしい」)。

 憲法は66条で「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定めている。三浦氏はこれでは不足とみる。「66条は、芦田修正*が認められて軍が復活した時に旧軍人を排除するための条項と考えられる。陸海軍の現役武官が陸海軍の大臣になるという戦前の悪弊を絶つために必要だった。ただし、文民統制は『現役の軍人を大臣にしない』よりもっと広い概念。軍に、市民社会全体の意思を示す仕組みといえる。多くの日本人がこの点を理解していないようだ」

 一方、山尾氏は「自衛権の行使」を内閣の役割として73条に明記することを提案する。

日本国憲法 73条

内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

  • 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  • 二 外交関係を処理すること。
  • 三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  • (後略)
立憲民主党の山尾志桜里・衆院議員(写真:加藤 康)

 理由は二つある。「一つは、現行の憲法解釈の“まやかし”を解消すること。政府は個別的自衛権の行使を、73条が定める『一般行政事務』の一部と解釈している。しかし、外交と軍事は表裏一体だ。自国防衛のための実力組織の統制権能が『一般行政事務』の一部であってよいとは思わない」(山尾氏)(関連記事「自衛権に歯止めかける改憲を」)

コメント10件コメント/レビュー

先の大戦、インパール作戦の統制、天皇上奏改ざん、終戦宣言後の札幌指令官の単独ロシアとの交戦継続など、最近でも、イランアメリカ戦争への、国連決議のないまま、法整備の無い首相の支援などを踏まえ、第2次大戦の統制違反事例研究、戦後の朝鮮戦争への法整備の無い支援など、公正な機関による戦争責任の調査機関をすべきだ。
 多数一般住民が住む地域の空爆、原爆投下を指示していた文民大統領でさえできない、アメリカの統制ができない研究などと、過去の大戦ばかりでなく、現在の統制違反事例も多数あるなかで、その反省に立った調査研究の成果の上に、憲法を改正すべきだが、問題は本当に統制ができるのか。民事に業務に追われる首相に、突然軍事司令官は無理に見えるし、正しい情報が首相に上がるのかという問題あり、それら対策を十分に考えた統制が必要だ。(2018/02/04 11:30)

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「自衛隊という実力組織を「統制」する術」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

先の大戦、インパール作戦の統制、天皇上奏改ざん、終戦宣言後の札幌指令官の単独ロシアとの交戦継続など、最近でも、イランアメリカ戦争への、国連決議のないまま、法整備の無い首相の支援などを踏まえ、第2次大戦の統制違反事例研究、戦後の朝鮮戦争への法整備の無い支援など、公正な機関による戦争責任の調査機関をすべきだ。
 多数一般住民が住む地域の空爆、原爆投下を指示していた文民大統領でさえできない、アメリカの統制ができない研究などと、過去の大戦ばかりでなく、現在の統制違反事例も多数あるなかで、その反省に立った調査研究の成果の上に、憲法を改正すべきだが、問題は本当に統制ができるのか。民事に業務に追われる首相に、突然軍事司令官は無理に見えるし、正しい情報が首相に上がるのかという問題あり、それら対策を十分に考えた統制が必要だ。(2018/02/04 11:30)

憲法は国際法を遵守すると共に国際法が認めている自国の権利を制限すべきではない。
侵略に対して迅速に対応すること、クーデタを防ぐことを最優先に考えるべき。
その下にもろもろの制約があっても良いが、それは立法レベル。
その下に政治レベルの運用があるべき。
                         農家の三男坊(2018/02/03 16:05)

現行9条はそのままで置くとしても、集団的自衛権のように「解釈の仕方の違い」と称して望まぬ方向に進められてしまう危険性をはらんでいるので、その意図をより明確にする必要がある。
一般市民感覚で、憲法に盛り込んでもらいたい、あるいは憲法を通して宣言したいことは、以下ではないか。
*あらゆる戦争の放棄(侵略戦争の放棄は当たり前)
*自衛権は個別的
*自衛するのは、他国ないしそれに相当する集団により日本の領土が侵略された(る)、あるいは、
 そこにいる日本人が危険に晒された(る)場合(日本の領土を離れるときは、外務省からの
 当該国への要請(ビザ)によると承知)
*自衛隊は、日本国、日本国民を守るために、日本の領土内において自衛行為をするための組織
 (国際貢献としての国連軍への隊員の派遣は、「自衛隊からの派遣」としてでなく、
 国連軍への参加として対応する術を考える。外国への災害救助派遣は、当然別枠)
こうした上で、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣で良い。ただし、「命を預ける」という意味
において、「国民が直接選んだ」内閣総理大臣でなければ、得心できない。(2018/02/02 15:32)

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