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9条の鍵は「放棄する」「保持しない」の目的語

西 修・駒澤大学名誉教授に聞く

2017年7月13日(木)

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 安倍晋三首相が、憲法9条に「自衛隊の存在を明記する条文を加える改正を目指す」との意向を示したのを受けて、改憲論議がにわかにあわただしくなってきた。果たして、どのように改憲すべきなのか。議論は百家争鳴の様相を呈す。安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の委員を務めた、憲法学者の西修・駒澤大学名誉教授に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

日本国憲法9条の改正案(改憲案A)を公にされました。現行の9条をそのまま残した上で、「9条の2」を追加(注:9条と10条の間に新たな条を設ける場合にこの形を取る)。9条の2では、自衛隊の役割と指揮、統制について定義しています。

 安倍晋三首相が5月、「自衛隊の存在を明記する条文を加える」意向を示しました。安倍首相は西さんの意見を取り入れたのでしょうか。

第9条の2

①日本国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、自衛隊を保持する。
②自衛隊の最高の指揮監督権は、内閣総理大臣に属し、自衛隊の行動については、政治統制の原則が確保されなければならない。
③自衛隊の編成及び行動は、法律でこれを定める。

西 修(にし・おさむ)
駒澤大学名誉教授。1940年、富山県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院政治学研究科修士過程および博士課程修了。政治学博士、法学博士。専攻は憲法学、比較憲法学。メリーランド大学、プリンストン大学、エラスムス大学などで在外研究。第1次・第2次安倍内閣の安保法制懇で委員を務めた。主な著書に『いちばんよくわかる! 憲法9条』『世界の憲法を知ろう―憲法改正への道しるべ』など(撮影:菊池くらげ、以下同)

西:安保法制懇*の委員を務めたりしたので、憲法について安倍首相に意見を伝える機会は幾度かありました。しかし、今回は私の意見が取り入れられたわけではありません。

*:安倍首相の私的諮問機関。「集団的自衛権は現行憲法下でも行使可能」との内容を含む報告書をまとめ注目を集めた。

西さんはかつて発表した憲法改正案(B)では、現行の9条に修正を加えていました。なぜ今回は現行のまま残したのですか。以前の改正案では以下の太字の部分を修正していました。

第○条

①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、平和に対する脅威の防止と除去に努め、国際社会の安寧を破壊するいかなる行為も、否認する
日本国は、国際紛争の平和的解決に努め、他国に対する侵略の手段として、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使を永久に放棄する。
前項の規定は、国の固有の自衛権の行使を妨げない

西:現行の9条は国民の間に定着しており、象徴的な存在になっています。これを修正するのは心理的な抵抗が強い。なので、残した方がよいと考えました。大切なのは、平和を守ること。そして、そのための安全保障装置として自衛隊を位置づけることです。それを明確にすべく9条の2を加えました。

 この形ならば、9条に関する政府の従来解釈を生かすこともできます。私の解釈を採用すべきだとは思いますが。

9条は侵略戦争等とそのための戦力放棄と解すべき

西さんの解釈はこうですね。9条1項が「放棄」しているのは「侵略戦争」。2項で「保持しない」としているのは「侵略戦争のための戦力」。「認めない」のは「自衛権を除いた交戦権」。したがって自衛のための戦力を保持することは可能――「放棄」もしていないし、「保持しない」ともしていない。

第九条

①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない

コメント13件コメント/レビュー

憲法を字義通りに解釈したければ英文で読み、理解する必要があります。元々、英文で作られたものですから、その和訳を読んで字義通りに解釈しては、本来の趣旨とは違う理解になってしまいます。また、字義通りと言ってもその単語をどう定義するかで内容は違って来ます。勝手な解釈ではなく、作った人、修正した人の意思を考えるべきです。

侵略戦争の英文表記がaggressive warじゃずいぶん語感が違っちゃいますよね。(2017/07/19 21:32)

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「9条の鍵は「放棄する」「保持しない」の目的語」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

憲法を字義通りに解釈したければ英文で読み、理解する必要があります。元々、英文で作られたものですから、その和訳を読んで字義通りに解釈しては、本来の趣旨とは違う理解になってしまいます。また、字義通りと言ってもその単語をどう定義するかで内容は違って来ます。勝手な解釈ではなく、作った人、修正した人の意思を考えるべきです。

侵略戦争の英文表記がaggressive warじゃずいぶん語感が違っちゃいますよね。(2017/07/19 21:32)

今回の記事にではなく、この特集について意見したいです。船田元議員が安保審議で招致した憲法学者が集団的自衛権を違憲と述べた事がありましたが、その時、多くの憲法学者が自衛隊は違憲だと考え、さらに自衛隊を無くした方がいいと考えている、という話が出た記憶があります。

私は、そういう考え方は問題があると思いますが、同時に学者にこういう考えが多いならこの特集のような意見表明をやっても
「大きな抵抗勢力があるのに見ないふりをしているのではないか」
と感じます。

この特集、日本人、いや専門家が自衛隊をどう考えているのかをもっと広く見たほうがいいのではないでしょうか?自衛隊をなくすべしと考える(私から見て現実離れした)人はいまだに多くいるし、それを周知すべきだと感じていますから。(2017/07/13 20:53)

現在の日本が侵略戦争を起こしうると考えているのは、
中国・韓国・北朝鮮、そして日本人の非改憲論者である。
(上述の三国は国内向けのポーズだが・・・)
不思議でなりません。

9条を改正し、もっとシンプルな形にする方が分かりやすいと思います。


世界で起きている理不尽な紛争についても、
日本人の非改憲論者は戦争反対と叫ぶだけ・・・
国連が認めた範囲での平和維持活動(戦闘含む)には参加できるようにするべきである。(2017/07/13 15:52)

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