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「自衛権を定め抑止力を高める現実的妥協」

長島昭久・希望の党政調会長に聞く

2017年12月4日(月)

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10月22日に実施された総選挙で自民・公明の与党が総議員の3分の2を維持したことを受けて、改憲論議が再び活発になる。果たして、どのように改憲すべきなのか。議論は百家争鳴の様相を呈すにちがいない。このほど「自衛権を明記する、そして、集団的自衛権を行使できるようにすることで抑止力を高める現実解」として9条の改憲案を提案した長島昭久・衆議院議員に話を聞いた。同氏は長年にわたって安全保障政策の議論をリードしてきた。民主党の野田政権で防衛副大臣を経験。現在は希望の党で政策調査会長を務める。

(聞き手 森 永輔)

長島さんはこのほど、現行の9条1項と2項を維持した上で、以下の3項を追加する提案をしました。この提案の意図は何でしょう。

前二項の規定は、我が国にとって急迫不正の侵害が発生し、これを排除するために他の適当な手段がない場合において、必要最小限度の範囲内で、自衛権を行使することを妨げると解釈してはならない

長島昭久(ながしま・あきひさ)
衆議院議員。1962年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了(憲法学)。米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)修士課程修了。2003年に初当選。2009年から防衛大臣政務官、11年から内閣総理大臣補佐官(外交及び安全保障担当)、12年から防衛副大臣を歴任。現在は希望の党で政策調査会長を務める(写真:加藤康、以下同)

長島:現行の日本国憲法には「日本を守る」ことに関する規定がありません。「国の存立および国民の生命と財産を守る」という、国家にとって最も基本的な責務が書かれていないのです。

自衛に関する規定も軍事に関する規定もありません。

長島:はい。この不適切な状況を改めるため「自衛権」を明記しました。

「自衛隊」ではなく「自衛権」を規定する

安倍晋三首相は、9条1項と2項を残し、加えて「自衛隊」を明記する案を示しています。長島さんは「自衛隊」ではなく「自衛権」を明記するのですね。どのような違いがあるのでしょう。

長島:安倍首相の案では、9条をめぐるこれまでの神学論争が全く解決できません。依然として自衛隊は、2項で「保持しない」とする「戦力」であるのかないのか曖昧なままです。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 一方、「自衛隊」という手段ではなく、「自衛権」という目的を定義すれば、自衛隊はおのずと「自衛権」を行使するための実力組織ということになります。「戦力」をめぐる神学論争を完全に払拭できるわけではありませんが、安倍案よりもずっと明瞭だと思います。

 加えて、私は芦田修正を採用する立場を取ります。

芦田修正は、2項の冒頭にある「前項の目的を達するため」の部分ですね。

 現行憲法の制定に当たって政府が国会に提出した原案にはこの部分がなく、単に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」となっていました。これでは「自衛権を行使するための戦力まで放棄することになる」と懸念した芦田均が、放棄する戦力を、9条1項にある「侵略戦争」のための戦力に限定するため「前項の目的を達するため」の文言を入れて法案を修正した。芦田は衆議院で憲法改正案特別委員会の委員長を務めていました(後に首相となる)。

長島:はい。芦田修正を採用すれば、9条において以下の一貫した流れができます。1項で侵略はしないと宣言、2項で侵略のための戦力は持たないと約束する。しかし、いくつかの制限を付けた上で自衛権は行使できることを3項で明示する。「自衛権」を行使するための実力組織である自衛隊は、侵略戦争のための戦力ではないことが明確になります。

 また、私の案をとれば、自衛隊が保有する装備の質や量が問題になることはありません。仮に自衛隊が米国並みの装備を整えたとしても、憲法によって「自衛権」の行使という目的の範囲内でのみ用いられることになりますから、「戦力」か否かという議論に煩わされずにすみます。周囲の国を脅かすことにもなりません。

コメント9件コメント/レビュー

 芦田修正のため自衛のための戦力が合憲になるとの解釈が(論理的に)成り立つ、との考えを私は全く理解できない。それが成り立ちうるなら、政府がその解釈を採用しない理由は無いと思うが...(2017/12/05 01:58)

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「「自衛権を定め抑止力を高める現実的妥協」」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 芦田修正のため自衛のための戦力が合憲になるとの解釈が(論理的に)成り立つ、との考えを私は全く理解できない。それが成り立ちうるなら、政府がその解釈を採用しない理由は無いと思うが...(2017/12/05 01:58)

長島氏の発言の中に、『国際ルールを破った戦前・戦中の日本』 という表現が在りましたが、具体的には どのような事象を指すのでしょうか ?  又、その見解は、国際的に見て、一般的なのでしょうか ?(2017/12/04 22:19)

在日米軍と核の傘については、何も触れられていないな。

この人のやってることは、日米同盟というおくるみの中で、
核兵器というおしゃぶりを咥えながら、
もぞもぞと動いているだけのこと。

たしかに、世論というものが、
物分りの良いものではないということは事実だけどね。(2017/12/04 16:45)

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