• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

ポピュリスト大統領で米国の時代は終わる

「米国第一」で「世界の悪役」に

2017年1月24日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「すべては今日始まる」とはよく言ったものだ。たしかにそうだろう。就任演説で「米国第一」(アメリカ・ファースト)を繰り返すドナルド・トランプ大統領の登場で、皮肉にも「米国の時代」は終わりを告げた。欧州の極右にも通じるこのポピュリスト(大衆迎合主義)大統領は米国の分裂を決定的にしただけでなく、世界中を不安に陥れた。米欧同盟に亀裂が走り、中東危機を深め、中国、ロシアの台頭を許しかねない。トランプ流保護主義は相互依存で成り立つグローバル経済を危険にさらす。トランプ大統領は「世界の悪役」に映っている。第2次大戦後、覇権国の座を維持してきた米国の信頼は大きく揺らいでいる。

1月20日、米ワシントンの連邦議会議事堂前で就任演説を行った後、聴衆に手を振るトランプ米新大統領。(写真:UPI/アフロ)

欧州極右と見まがう排外主義

 トランプ大統領に、全米で異例ともいえる抗議活動が広がっている。反トランプの抗議活動は欧州連合(EU)離脱を決めた英国を含め欧州全域、そして、排外主義の照準になったメキシコなど世界80カ国に連鎖した。

 世界中の批判がトランプ大統領に集まるなかで、トランプ登場に勢いづいているのは、反EUを掲げる欧州の極右勢力だろう。フランスのマリーヌ・ルペン国民戦線(FN)党首をはじめオランダ、ドイツなどの極右の代表はドイツのコブレンツに集結し気勢を上げた。ルペン党首は「今度は我々が目覚める番だ」と意気込んだ。

 みればみるほど、トランプ大統領の「米国第一主義」は欧州にはびこる極右ポピュリストにそっくりだ。大統領就任演説に歴代大統領が掲げた人権や民主主義の理想はまったくなかった。その代わりに「今日から新しいビジョンがこの国を支配する。今日から米国第一主義を実施する」と宣言した。それは、移民、難民の流入を規制し自国優先の排外主義を掲げる欧州極右と通じる思想である。トランプ氏には女性や少数民族などへの差別意識も強く、単なるポピュリストを超えた極右思想の範疇といえる。

米国の分裂が招く大混乱

 トランプ大統領の登場による米国の分裂は深刻だ。トランプ大統領の支持率は40%と異例なほど低く、就任式には60人もの民主党議員が欠席した。就任式への参加者数をめぐる主要メディアとの対立は異常でさえある。指名した閣僚の議会承認も進まず、実際に政策を動かす各省の幹部クラス(ポリティカル・アポインティ)起用も大幅に遅れている。あまりの不人気に、政権入りをためらう専門家が多いとみられる。

 これでは、政権運営が機能不全に陥る恐れすらある。共和党主流にはなおトランプ氏は共和党の大統領ではなく、共和党はトランプ氏に乗っ取られたという意識が強い。

 就任演説でもトランプ氏は大統領選の暴言路線から君子豹変できなかった。中低所得の白人男性など支持層だけを向いており、米国全体を率いる大統領としてふさわしくないと受け取る向きが多い。米国社会の亀裂は深く、修復は簡単ではないだろう。人種、所得階層、地域間の米国社会のあつれきは米国を大混乱に陥れる恐れがある。

コメント25件コメント/レビュー

日本人向けにこんな記事(トランプ非難)を書いて何の効果を期待してるのでしょうね。
現にある状況に日本人はどう対応すべきかを提案して欲しい。安倍総理に何が期待できると思っておいでなのでしょうね?評論家とはこんなものなのですね。(2017/07/29 20:51)

オススメ情報

「岡部直明「主役なき世界」を読む」のバックナンバー

一覧

「ポピュリスト大統領で米国の時代は終わる」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト/武蔵野大学 国際総合研究所 フェロー

1969年 日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授、明治大学 国際総合研究所 フェローなどを歴任。2018年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本人向けにこんな記事(トランプ非難)を書いて何の効果を期待してるのでしょうね。
現にある状況に日本人はどう対応すべきかを提案して欲しい。安倍総理に何が期待できると思っておいでなのでしょうね?評論家とはこんなものなのですね。(2017/07/29 20:51)

ポピュリズムや極右とのレッテル張りにはうんざりです。
行き過ぎたグローバリズムへの反動が、イギリスのEU離脱やトランプが支持されているゆえんではないでしょうか?マスコミが常に極右とレッテルを張っている、欧州の政党たちは、中には極右もありますが、グローバリズムによって国民が疲弊しているため、移民制限や保護主義政策を取り入れることをうたっているだけだと思います。これが極右なら、日本の自民党は戦後ずっと極右政党ということになります。アメリカの衰退と、ロシア・中国の台頭はオバマ時代に進んできたことでトランプとは直接関係ありません。皆様がおっしゃる通り、トランプ政権と日本がどう向き合うべきかの提言をお願いいたします。(2017/03/21 16:22)

「ポピュリズム」も悪くは無い。これは必然だとも思っている。トランプ大統領の思考の根底にも「みんな=正義」のための「ヒーロー」という発想があるのではないか。アメリカの「みんな」が「正義」かどうかが怪しいと世界中が言い,「アメリカのみんな=アメリカ国民」の「正義」のために働く大統領こそがトランプだ。というロジックだろう。微妙にかみ合わないが,間違ってはいない。しかし,「木を見て森を見ず。」でアメリカが世界に築いた強固な足場を失い,北米中央部のローカル大国に衰退していく過程に入ったのだと,筆者が言っていっるように読める。(私の偏見的読み方だが…)だとすると,「今」アメリカに利益をもたらすように見える「保護主義」「孤立主義」が「グローバリズム」や「協調主義」よりアメリカの利益にとって劣るといえるトランプ大統領の側近はいるのだろうか。それとも目先の「成果」に追われて,金の卵を産む鶏を煮て食う愚を犯すのか。あるいはそうではない狡猾さがこの大統領にはあるのか。事例を引いた説明とその分析に基づく今後の展望を外交,安全保障,経済,文化といった分野を分けて解説してほしい。経済も知財,製造,ICT,生命・遺伝子科学工学,宇宙開発,サービス,エンタテインメントなどなど分野別に展望があると面白いのではないか。(2017/02/13 17:50)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

外交において個人プレーで短期的な成果を手にしようというのは交渉相手の術中にはまり、うまくいかないものです。

齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官