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BREXITで英国は3度目のオウンゴール

メイ政権の危機で無秩序離脱も

2018年7月13日(金)

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オウンゴールを繰り返す英国のメイ首相(写真=AFP/アフロ)

 英国は欧州連合(EU)離脱=BREXIT=をめぐって、3度目のオウンゴールを演じてしまった。1度目の誤りは、BREXITの国民投票の実施であり、2度目の誤りはメイ首相が総選挙前倒しを強行して少数与党に転落したことだ。そして、3度目の誤りはソフト離脱を選択したメイ首相にデービスEU離脱担当相、ジョンソン外相という強硬離脱派が反旗を翻し、退陣したことだ。

 これでメイ政権の危機はさらに深まり、BREXITは一層、混迷する事態になった。このままでは、2019年3月の離脱期限までに何も決まらない「無秩序離脱」の恐れも出てきた。そうなれば、外資流出によるポンド危機など英経済は致命的な打撃を受ける。BREXITとは一体何だったのか、英国民に後悔(BREGRET)が広がるだろう。

ソフト離脱路線に強硬派が反旗

 BREXITをEUとの前線で仕切ってきたデービス担当相とジョンソン外相の退陣は、英国内にある強硬離脱かソフト離脱かの基本的対立をいまさらながら浮き彫りにした。

 メイ首相が選択したのは、EUとの間で「自由貿易圏」を創設するというものだ。その代わりに、農産品や工業製品の規格や基準でEUと共通ルールを採用する。離脱に伴い関税同盟から脱退するが、北アイルランドとアイルランドの国境で煩雑な税関手続きが発生しないよう、EUと連携するとしている。

 英国とEUとのサプライチェーンが分断されることを警戒してきた英経済界は、自由貿易圏の創設を中心とするソフト離脱路線の選択に胸をなでおろした。

 ところが、英国からの独立を掲げてきたデービスEU離脱担当相は、これに反発、退陣した。続いて、ジョンソン外相もソフト離脱を「英国をEUの植民地化する」とこきおろし、「EU離脱の夢はついえつつある」と批判して退陣した。

 メイ首相にすれば、デービス、ジョンソンという強硬派を最前線に配して、手ごわいEUとの交渉を有利に導きたいという思いがあった。英国との経済関係が深く、英国に理解を示してきたドイツのメルケル首相でさえ「良いとこ取りは許さない」という強い態度を示していただけに、EUとの離脱交渉は一筋縄ではいかなかった。

 EUのバルニエ首席交渉官との交渉で強硬姿勢を貫いてきたデービス担当相やジョンソン外相にすれば、はしごをはずされたという思いもあるかもしれない。

EU懐疑派の系譜

 もっとも、強硬離脱派の急先鋒で国民投票の勝利を導いたジョンソン外相は、もともとEU残留を主張していた。保守党内のライバル、キャメロン首相と対抗するために信念をまげてまで野に下った野心家だ。国民投票でEU離脱が決まっても、ポスト・キャメロンの首相の座争いには加わらず、今回の辞任劇もデービス辞任の後に続くなど「日和見主義者」といえる。

 もともとEU離脱という英国の将来を揺るがす大きな選択をリスクの大きな国民投票に委ねたキャメロン首相に政治家としての大きな問題があった。ブリュッセルのEU官僚嫌いで有名なサッチャー首相でさえ、こんな安易な選択はしなかったはずだ。

コメント4件コメント/レビュー

クリフエッジすなわち無秩序離脱は99パーセント確実でしょう。最初から、時間のなさとEUの強硬姿勢ゆえ必然的でした。独仏と国交断絶してどこが悪いくらい言える覚悟がなければ離脱とかいうべきではなかったでしょう。(2018/07/19 05:42)

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「BREXITで英国は3度目のオウンゴール」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト/武蔵野大学 国際総合研究所 フェロー

1969年 日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授、明治大学 国際総合研究所 フェローなどを歴任。2018年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

クリフエッジすなわち無秩序離脱は99パーセント確実でしょう。最初から、時間のなさとEUの強硬姿勢ゆえ必然的でした。独仏と国交断絶してどこが悪いくらい言える覚悟がなければ離脱とかいうべきではなかったでしょう。(2018/07/19 05:42)

少しだけ書きます。

IRAに代表される様にイギリスとアイルランドの関係は余り良くありません。
何でこんなことになったのかを考えれば解る話ですがそこを理解しないで「国境がぁ~」と言っても議論が滑ります。
中東を含めヨーロッパ全体に言えることですが宗教対立の議論抜きにこういう事を語ってはいけません。
日本に住んでいると理解しにくい事ですが、彼らにとって宗教は絶対です。
日本の様に宗教抜きでの生活は有り得ません。
同じキリスト教でもアイルランドはカトリックでイギリスはイギリス国教です。
何故かキリスト教は宗派同氏の仲が悪く違う宗派は受け入れません。
余談ですがロシアはロシア正教でまた別です。(ポルトガルもまた別で・・・)
普通に考えればアイリッシュ海を挟んでブリテン島とアイルランド島が各々国になっていれば大きな国境紛争にはなりません。
ところが北アイルランド地域にイギリス国教の信者が多く住んでいたので北アイルランドがイギリスの中に取り込まれました。
こう地政学的に不自然な国境はもめます。
(恐らく永久に解決しない。)
イギリスの正式名称が「グレートブリテンと北アイルランド連合王国」になっていることをもう少し真面目に考えるべきです。

ドイツには中東やアフリカからの移民が正式に認められて定住している分だけで1860万人(1世・2世を含む)います。
ドイツの人口は8267万人です。
人口の20%を超えた人々が違う言葉を話し違う宗教を信じ違う文化を持った人達です。
これで国がおかしくならない方が変です。
イスラム教とキリスト教の仲の悪さは今に始まった事ではありませんがそれをワザワザ国内に入れてしまったメルケルは最悪の政治家です。(2018/07/15 13:55)

古い地政学的視点で言えば,英国は「海洋国」で欧州は「大陸国」ないしは「半島国」だ。戦略基盤が異なるので,BREXITには一定の説得力がある。その一方で,英国が抱えていた問題としての「北アイルランド問題」は「グレートブリテン島及びその周辺海域に点在する島嶼の連合」としての王国が完成されていないことが問題の様に見える。アイルランドと連合王国が完全に一体化,統一安定が実現されていればBREXITはそれなりに成立するはずだった。しかし,北アイルランドでの問題は結局EUという「外圧」もしくは「外形」を利用することでしか解決できなかった。ならば,英国はBREXITを言い出すべきではなかったはずで,記事でも指摘しているとおり,「キャメロンの大チョンボ」は英国の市場最大の失敗といっていいのではないだろうか。だが。一方で,EUの21世紀的構造の特徴はなんだろうか。また,EUは「半島国」なのか「大陸国」なのか。そもそも,この地政学的な概念は21世紀に意味を持つのか。そして,「民主主義」の21世紀的意味は何か。経済システムとの関係はどうか。EUのような「超国家」は「帝国」として機能するのか。この「超国家」と「国家」の21世紀的な関係性はどうなるのか。EUが21世紀をけん引する存在になるのであれば,こうした問題への解が示せるはずだ。「主役」が交代する「夜明け前」のように見える世界で朝日を浴びる世界の姿を見せてほしいものだ。(2018/07/13 11:22)

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