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格差広げるトランプ流ポピュリズム政策

排外主義に物申すのは同盟国・日本の役割

2016年12月6日(火)

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 所得格差の拡大を背景に登場したドナルド・トランプ米次期大統領だが、そのポピュリズム(大衆迎合主義)政策は格差をさらに拡大する危険をはらんでいる。北米自由貿易協定(NAFTA)見直しや環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱など、排外主義は結局、米国経済を悪化させ、中間層の雇用を奪うことになる。その一方で、ウォール街重視の閣僚配置や金融規制の緩和は金融資本主義をさらに刺激することになるだろう。こうして、格差はさらに拡大する。この矛盾に目をつぶり、目先のポピュリズムに走れば、トランプ政策は世界経済を危機に陥れることになりかねない。

12月1日、ドナルド・トランプ次期米大統領は、米インディアナ州にある空調大手「キャリア(Carrier)」の工場を視察。キャリアが予定していたメキシコへの生産移転計画と、国内での人員削減を中止させたことを明らかにした。同時に、国外へ生産を移転する米企業は代償を払うことになると警告した。(写真:Tasos Katopodis/Getty Images)

NAFTA見直しは英離脱並みの衝撃

 大統領選中にNAFTA見直しを公言してきたトランプ氏は、1日の演説で「NAFTAはひどい失敗作だ。見直すことになるだろう」と述べた。当選後はNAFTAについての言及を封印してきただけに、排外主義の本質が変わらないことを改めて示すことになった。

 欧州連合(EU)に次ぐ巨大経済圏であるNAFTAの見直しは、英国のEU離脱、それも自由な市場アクセスのない「ハードBREXIT」に似ている。その衝撃はグローバル経済全体に及ぶ。メキシコは日本を含め世界各国と自由貿易協定を締結している。日本の自動車メーカーなど、その多くは米市場に照準を合わせている。そうした生産ネットワーク、サプライチェーンが分断されることになる。

 トランプ氏のNAFTA見直しの動きを受けて、メキシコ・ペソは急落し、メキシコの成長減速は避けられなくなっているが、メキシコ経済に大打撃を与えるだけではすまない。それは米国経済にも当然、跳ね返ってくる。

資本主義の土台揺るがす介入主義

 トランプ氏はメキシコへの進出計画を打ち出している米空調大手のキャリアのインディアナ州工場での人員削減を中止させたと誇らしく語ったが、大統領の強権で企業の計画をくつがえさせることになれば、資本主義の土台が揺らぐ。本物のビジネスマンなら、この基本原理がわからないはずはない。このトランプ氏の行動に、米メディアの一部には「選挙公約を実現した」などという評があるのには驚く。米メディアや経済界から、この暴挙に対して真正面からの批判が起きないとすれば、権力者の強権を黙認する米国社会の衰退を嘆かざるをえない。

 トランプ氏は「海外移転した米企業には重税を課す」とも述べている。こんな措置が実行可能かどうかは別として、米国企業がグローバル企業としてビジネスを展開することに制裁を科す事態になれば、グローバル経済の相互依存関係は大きく崩れることになる。

 貿易や投資をプラスサムではなく勝ち負けでしかととらえない誤った経済感覚を改めないかぎり、トランプ氏は反グローバル主義の落とし穴から抜け出せないだろう。

コメント13件コメント/レビュー

手厳しいコメントの数々ですが、この立場が日経の利益の素とお考えなんでしょうね。ですから理由なんて書けないのでしょう。総理等にも面と向かってこんな要請は出来ないもんで、記事でアドバルーンを上げてみたのかな。
放送法の適用は受けませんから、私企業として生き残りの為の、或いは思想的な理由による偏りに文句は言えません。個々の読者が判断することでしょう。(2016/12/16 21:53)

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「格差広げるトランプ流ポピュリズム政策」の著者

岡部 直明

岡部 直明(おかべ・なおあき)

ジャーナリスト/武蔵野大学 国際総合研究所 フェロー

1969年 日本経済新聞社入社。ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、論説委員などを経て、取締役論説主幹、専務執行役員主幹。早稲田大学大学院客員教授、明治大学 国際総合研究所 フェローなどを歴任。2018年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

手厳しいコメントの数々ですが、この立場が日経の利益の素とお考えなんでしょうね。ですから理由なんて書けないのでしょう。総理等にも面と向かってこんな要請は出来ないもんで、記事でアドバルーンを上げてみたのかな。
放送法の適用は受けませんから、私企業として生き残りの為の、或いは思想的な理由による偏りに文句は言えません。個々の読者が判断することでしょう。(2016/12/16 21:53)

「極右」「ポピュリズム」「排外主義」が何故そこまで一方的に全面的に否定されねばならんのか。
「極左」「人道主義」「グローバリズム」は何故そこまで無条件で称賛されるべきなのか。
このコラムからは全く理解ができません。

ここまで極端に評価を分けるのであれば、その評価基準を明確にすべきです。
グローバリズムは良い物だから良いのだ、だから讃えろ。
ではもはや誰も説得できない時代になってしまっていることに、筆者は気付くべきです。

それが無理ならせめて、ここ最近の本コラムは贔屓の引き倒しで
読者のグローバリズム不信を拡げてるだけという現状を察して欲しいものですが・・・


ついでながら付け加えますと、
人道主義も平和も平等も、不変の真理などでは決してありません。
これらは「時代精神」と呼ぶべきものであり、
尊重するものではあっても絶対視するものではない。
変わらないものなどないのですから。

時代が過ぎれば人も変わり、そして正義も道徳も移ろいます。
変わり続ける現実に対し、不変の真理や摂理のようなものを設定する無意味さを、
日本人はそれこそ平家物語や方丈記の頃から理解していたはずなのですが・・・(2016/12/08 22:37)

面白みに欠ける記事だ。表面的な現象論としての分析と対症療法的な政策提案に終始しているように見える。表面的な「ポピュリズム政策」を取り上げて対処療法を我が国の内閣に提言して何になるのか。米国の戦略・戦術目標の明確化・分析とそれを踏まえたカウンター戦略・戦術の立案が求められる。岡部氏はこれが「TPP」だというかもしれない。RCEPを使った戦術提案をしているというかもしれない。だが,少々狭いのではないか。新たに「日米FTP」「日米加FTP」のような提案があったらどうするのだろう。サービス貿易に限った環太平洋協定を提案してきたら?(雇用を守るために製造業などの貿易は制限しつつ,サービス面やソフト,知的財産(の保護は強化しつつ)などの貿易は自由化する)。要するのもろ刃の国益追求の要求が来た時にどう対応するのだろうか。「TPPの中にそれはある。欲しければTPPに入れ。」といえるのだろうか。RCEPを利用してもこの辺の説得力にはならないように思う。そもそも,「RCEPに近づくなら,日本抜きの新たな貿易枠組みを考えるぞ。」と開き直られたらどうするのか。なんだか心もとない。(2016/12/08 19:07)

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