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商品・サービスの差別化こそ時短実現の最短ルート

ランクアップ 岩崎裕美子社長

2017年7月26日(水)

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社員の大半が午後5時に帰宅し、増収も続ける化粧品会社のランクアップ。岩崎裕美子社長は、「強い商品こそが時短実現の要」だという。

 「労働時間の短縮」と「会社の成長」。“二律背反”のように捉えられがちな2つの経営課題を同時に解決するためには、どうすればよいのか――。「社員のほとんどが午後5時に帰宅しながら、10年連続で売上高増を実現した化粧品ベンチャー」として注目を浴びるランクアップ(東京都中央区)の岩崎裕美子社長に、企業競争力を高めながら時短を実現するための方法を聞いた。

ランクアップの岩崎裕美子社長(撮影:北山宏一、以下同)

社員約50人中の29人がワーキングマザーだそうですね。働き方改革で一躍注目を浴びていますが、「早く帰れる仕組みがなければ会社が成り立たない」という危機感が背景にあったとか。

岩崎:化粧品の会社ですから、お客様と同じ目線で商品とサービスを提供するためにも、女性社員の力が欠かせません。1人の社員を育てるには、多くの手間とコストがかかります。せっかく頑張って稼げるようになった社員に、子供ができたからといって、いちいち会社を辞められてしまっていては、事業が成り立ちません。離職は中小企業にとっては命取りです。

 大手はいいですよ。辞めたって人を採用すればいいんですから。でも、私たちのような中小企業にとって人材の流失は、会社の成長に大きなリスクになります。人が残らない企業が成長を続けることは無理ですもん。だから、「10秒」を惜しんで仕事のムダを徹底的に省き、ほとんどの社員が17時に帰れるようにしました(詳しくは7月24日号特集「便乗時短」で紹介)。

 子育てで一番大変なのって5~6年ですよね。その後もずっと活躍してほしい。本気で時短を進めてきたのは、子育てしながらも「一生涯うちの会社を辞めないで」という会社から社員へのメッセージなんです。

世の中の「働き方改革」の議論を見ていて気になることはありますか。

岩崎:すぐに制度論に走りがちなところですかね。時短勤務制度などの仕組みを導入することも結構ですが、それ以前に「そもそもなぜ、長時間勤務に陥りがちなのか」という点をしっかり考えなければなりません。

 長時間労働を生む根本的な原因は、自社が提供する商品やサービスがきちんと差別化されていないことにあるんです。会社を立ち上げる前に務めていた広告代理店では、私は管理職として部下と一緒に、毎日夜中まで働いていました。寝ないで働かないと競合他社に負けちゃうんですよ。相手も寝ないんですから。

 今になって思えば、そうまでしなければいけなかったのは、他社と同じ商品を扱っていたからです。他の広告代理店と同じ雑誌や新聞などの広告スペースを、いろいろなクライアントに売り歩く。そして価格で競争するんです。300万円で売っている会社があったら、うちは280万円でいいですみたいな。マンパワーにものを言わせた、薄利の消耗戦を続けてきたというのが実感です。それが一番の長時間労働だった理由だったんですよね。

 だから会社を起こしたときに、もう私は競争したくなかったんです。人と同じものを売る苦しみは本当に味わったので。だから私は、他社の化粧品の販売代理店ではなく、自分たちで独自性のある商品を開発して販売するメーカーになったんです。私は私のオリジナルの商品で勝負していくと。

 看板商品の「ホットクレンジングゲル」は、「美容液でメイクを落とす」というそれまでにないコンセプトが受けて、ヒットしました。私自身、メイク落としによる肌荒れに悩んでいたから思いついたアイデアです。製造技術を持つパートナー企業を、全国探し回って見つけて、何度も試作を重ねて商品化にこぎつけました。

 起業したばかりの頃は、「化粧品なんてこの世に山ほどあるのに、頭、大丈夫?」と周囲から散々に言われましたけどね(笑)。無理もないですよね、後発の後発ですから。でも私は嬉しかったんですよ。だって他社とは違う、この世に1つしかない商品を売れるんですから。

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「商品・サービスの差別化こそ時短実現の最短ルート」の著者

吉岡 陽

吉岡 陽(よしおか・あきら)

日経ビジネス記者

2001年日経BP入社。日経ビジネス、日経エコロジー、日経トップリーダー、日経ビジネスアソシエを経て、現職。独自の強みを持つ中小ベンチャー企業や環境経営の取り組みなどを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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