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米国研究機関が批判する水産庁の「科学」

日本は目先の利益の保護を優先してきた

2017年9月5日(火)

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 9月1日、韓国・釜山で開かれていた地域漁業管理機関「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会(NC)が閉会した。日米など10カ国・地域が太平洋クロマグロの資源管理などについて話し合う国際会議だ。クロマグロは高級寿司ネタの本マグロとして親しまれているが、絶滅危惧種にも指定されている。

 太平洋クロマグロの2014年時点の資源量は、漁獲がなかったと仮定した初期資源量のわずか2.6%(1万7000トン)と推定されている。これまでWCPFCでは「2024年までに4万1000トンまで資源量を回復」とする暫定目標で合意。日本もこの目標を基に漁獲枠制度を始めていた。しかし、昨年末にWCPFCは長期目標を「2034年までに13万トンまで回復」とするようNCに要請した。

 資源保護の目標を大きく引き上げるWCPFCの要請に日本の水産庁は当初、「現在の規制でも十分」と反発。その後、態度を軟化させたものの、8月には暫定目標の達成確率が65%を超えた場合は漁獲枠を増やす検討をすべきだと提案した。

 今回のNCの結論はこうだ。長期目標は受け入れられ、増枠を検討するために必要な確率は75%に引き上げられた。NCで結論を出す際は全会一致がルール。日本も合意をしたが、思惑とは違う方向に議論が進んだ。

 水産庁の長谷成人長官は「日本は科学的議論を主導している」と強調するが、同庁の主張に疑問符をつける声も多い。NCの開始直前に来日した、米国のNGO(非政府組織)、ピュー財団のジェイミー・ギボン氏に、水産庁の「科学」への評価を聞いた。

今回の来日の目的は。

ジェイミー・ギボン氏(以下、ギボン):ピュー財団は米ワシントン拠点のNGOです。米石油大手、スノコの創業者一族が設立しました。保険福祉政策や財政など様々な問題について研究しています。私は環境保護の研究チームに所属しており、課題はマグロの乱獲を抑止して資源を回復させることです。この課題は自然保護という観点だけでなく、漁業者や海洋資源を生活の糧とするすべての人の持続的な営みのために重要です。

 釜山での会議の前に来日したのは、日本が発表した提案などについて、前もって関係機関と意見をすり合わせることが必要だと感じたからです。

米国のNGOでマグロの資源量について研究するジェイミー・ギボン氏

日本の提案とは、水産庁が8月に発表したものですね。「2024年までに4万1000トンまで回復」とする従来の暫定目標について、達成の可能性が60%を下回ると漁獲規制を厳しくする。逆に65%を超えれば漁獲枠を増やす。この提案について、評価を聞かせてください。

期限設定が曖昧な日本提案

ギボン:私が最も重要だと考えているのは「2034年までに13万トンまで回復」という長期目標です。WCPFCが昨年末にこの長期目標を達成する方法をNCで討議するよう要請を出しました。この長期目標は種の保存のためだけではなく、漁業者の営み、漁業という産業を持続していくためにも必要なことです。

 日本は8月の提案で、「13万トンまで回復」という点には同意しています。これは非常に嬉しいニュースです。これまでは断固反対の姿勢でしたから。しかし、残念なことに、それをいつまで達成するかについては曖昧な部分を残しています。状況を見て期限を延期する可能性も示唆しています。一方、米国は2034年という期限を明記して提案しています。(編集部注:NCでは「2034年までに13万トンまで回復」の目標について日本を含め合意した)

コメント3件コメント/レビュー

魚の絶滅は動物や鳥のように最後の1匹まで取り尽して終わるわけではないだろう。鯨ならそれもありうるが、近年の保護でそれは無くなった。魚は資源量が細って漁業が立ち行かなくなると、漁業者は廃業せざるを得なくなり、魚がいなくなった!となるだろうが、それで乱獲が終わり漁業と魚の消費システムが崩壊すれば資源は回復に向かい、時間はかかるだろうが魚が復活し出すことになる。そうなっても漁業は廃れてしまっているので復活は難しい。結局のところ、魚資源の枯渇で不利益を被るのは漁業者だけなのだ。食べたい魚が無くなるが、消費者は別のモノを食べればよいだけの話なので、乱獲のツケは漁業者が払って善しなのだ。水産庁も我々もそうなるのを黙って見ていれば良い。悲しい話だが、記事を読むとそんな未来が見えてくる。(2017/09/05 20:48)

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「米国研究機関が批判する水産庁の「科学」」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

魚の絶滅は動物や鳥のように最後の1匹まで取り尽して終わるわけではないだろう。鯨ならそれもありうるが、近年の保護でそれは無くなった。魚は資源量が細って漁業が立ち行かなくなると、漁業者は廃業せざるを得なくなり、魚がいなくなった!となるだろうが、それで乱獲が終わり漁業と魚の消費システムが崩壊すれば資源は回復に向かい、時間はかかるだろうが魚が復活し出すことになる。そうなっても漁業は廃れてしまっているので復活は難しい。結局のところ、魚資源の枯渇で不利益を被るのは漁業者だけなのだ。食べたい魚が無くなるが、消費者は別のモノを食べればよいだけの話なので、乱獲のツケは漁業者が払って善しなのだ。水産庁も我々もそうなるのを黙って見ていれば良い。悲しい話だが、記事を読むとそんな未来が見えてくる。(2017/09/05 20:48)

水産庁は将来の結果に対して身銭を切るような責任を負っているわけでもないし
漁師は明日の事より今日の事しか考えていませんし
とにかく少しでも現状維持に近づけられたら後の事はどうでもいい
というスタンスだからでしょうね(2017/09/05 17:06)

てっきり、漁獲総枠では水産庁の一元管理になっているものとばかり思ってました…。
この連載は意外に初めて知る事が多いので為になります。(2017/09/05 15:24)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官