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EU主導で進む違法漁業包囲網

日本にはすべての対策に協力してもらいたい

2017年9月6日(水)

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 IUU漁船への対策が世界の漁業国の大きな課題となっている。IUUとは違反・無報告・無規制(Illegal・Unreported・Unregulated)を意味し、無許可操業、漁獲量の報告義務を怠る行為、禁漁水域・魚種の漁獲などを指す。IUUによる乱獲が進めば、漁業の持続性は失われる。広大な海をIUU漁業から守るには、国際的な協調も不可欠だ。日本も今年、IUU漁船の寄港を拒否する違法漁業防止寄港国措置協定(PSMA協定)に加わった。この問題で大きな動きを見せているのがEU(欧州連合)だ。2010年に対策を制度化。域内での厳密な監視に加え、対策に非協力的な国を指定し、禁輸措置にも踏み切る。IUU対策のあるべき姿とは何か。駐日欧州連合代表部のメルヴィ・カーロス参事官に聞いた。

2010年にIUUの規制を強化した背景を教えてください。

メルヴィ・カーロス氏(以下、カーロス):EUは魚介類の主要な輸入地域としての責任があります。国連食糧農業機関(FAO)からの要請に従い、2000年代前半からIUU対策に取り組んできました。しかし、なおいくつもの魚種の資源量の急減が続いており、消費者として、あるいは漁業関係者として、さらなるアクションをしなければいけない時が来ていました。

駐日欧州連合代表部のメルヴィ・カーロス参事官は「すべての漁業国がIUU対策に取り組むべきだ」と訴える

IUU漁業の被害規模はどれくらいになるのでしょうか。

カーロス:やや古い研究になってしまいますが、2007年の推計では世界で年間約100億ユーロ(約1.3兆円)分の漁獲があるとされています。これは世界の漁獲高の19%に相当します。当時のEUの魚介類輸入額が16億ユーロで、うち1.1億ユーロがIUU漁業によるものとみられます。IUUは自然環境、そして漁業という産業の持続性に対する大きな負荷になっています。

 7年間の規制の運用で、EU域内の状況は改善されてきたと感じています。しかし、まだ全世界の状況を正しく把握はできていません。IUUは先進国だけの問題ではなく、漁業への依存度が大きい発展途上国も取り組まなければいけないことです。IUU漁業は法を遵守する漁業者の敵なのですから。

EUは具体的にどのような取り締まりをしているのでしょうか。

カーロス:規制の中で漁獲証明書制度について定めています。これが監視システムの核になります。漁獲時や水揚げ時の報告を義務化してトレーサビリティ(追跡可能性)を確立し、正規の漁業により獲られた魚介類であることを保証する証明書を発行します。証明書がなければ、域内での取引はできません。観賞魚などの一部例外を除き、原則すべての魚介類が対象です。

 これは域内外問わず、EUで取引をするすべての漁業者の義務です。我々が求める規制は国際的な漁業関連法を具体化しただけのもので、目新しいものではありません。漁業国全てが受け入れるべき内容だと考えます。

コメント4件コメント/レビュー

南米までイカ釣り漁船を送り出している中国にレッドカードどころかイエローカードも出ていない時点で、本当に厳しく規制しなければならない国が抜け落ちていて、反面、抵抗できない国だけ晒しものにすることで自己満足に終わっているのではないかという危惧を真剣に感じます。彼らは自分達が食べる分だけでは満足せずに、余った分は輸出に回すなどそれこそ海洋資源を取りつくします。EU主導の組織はここに限らず中国に甘すぎですね。
日本にはIUUに関するすべての対策に協力をしてもらいたい-。 そのセリフ。中国に対しても強く言えますか?(2017/09/06 12:09)

「独り負けニッポン漁業」の目次

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「EU主導で進む違法漁業包囲網」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

南米までイカ釣り漁船を送り出している中国にレッドカードどころかイエローカードも出ていない時点で、本当に厳しく規制しなければならない国が抜け落ちていて、反面、抵抗できない国だけ晒しものにすることで自己満足に終わっているのではないかという危惧を真剣に感じます。彼らは自分達が食べる分だけでは満足せずに、余った分は輸出に回すなどそれこそ海洋資源を取りつくします。EU主導の組織はここに限らず中国に甘すぎですね。
日本にはIUUに関するすべての対策に協力をしてもらいたい-。 そのセリフ。中国に対しても強く言えますか?(2017/09/06 12:09)

このコラムで初めて周辺国に言及しましたね。
「漁獲証明制度によりトレーサビリティ」に関しては、ぜひ導入してほしいですし、その情報を消費者まで届くような仕組作りにも挑戦してほしいです。
併せて、違法操業(乱獲)で獲られた魚は流通させないようにするためにも、特定の水産物に関しては周辺国からの輸入を禁止することも必要でしょう。
そのダブルバインドで、初めてトレーサビリティは効果を発揮するのですが、そこまで踏み込んだ議論をしてほしかったです。(2017/09/06 12:07)

EU担当者の発言は、大義名分もそろっていて、一見すると申し分ない。ただ、内実は全く違う。たとえば、タイにイエローカードを出しているが、タイがいくら改善への努力を目に見える形で示しても、EUは撤回する意思は全くない。タイは世界最大のツナ缶製造基地だが、同時にスペインのツナ缶産業を大きく圧迫している。資源保護を大義名分にして、レッドカードをいつでも出せるということでタイを脅し、次々と不利かつ不合理な規制を押し付けて、タイの製造業の優位を奪うことに躍起になっている。また、資源保護の大義名分は挙げる一方で、いくつかの島嶼国が彼らに与えた特権、すなわち他国が操業できない漁法および時期に、自分たちが操業できる権利について、それを見直そうとする動きには断固反対をしている。要するに、資源保護の大義名分を挙げてはいるが、しょせんはEUの既得権益の保護が目的であり、多分に眉唾物なのが実態だ。(2017/09/06 11:05)

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