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中国の空母「遼寧」に対抗する意図の艦船は論外

米軍の来援を確保すべく日本にできること

2018年9月18日(火)

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 政府は今年末をめどに「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を改訂する。前回の改訂から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策は内向きの度合いを強める。

 改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏に聞いた。同氏は、北朝鮮の核・ミサイルという目の前の危機だけに流されない中長期の防衛計画を考えるべき、と訴える。

(聞き手 森 永輔)

中国の爆撃機H-6K。有事に米軍の来援を阻む役割を果たすことが想定される(提供:新華社/アフロ)

今回、「防衛計画の大綱」*1と「中期防衛力整備計画」*2を改訂するに当たって、香田さんが重視するのはどんな点ですか。

*1:防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を規定(おおむね10年程度の期間を念頭)(防衛白書 平成29年版)
*2:5年間の経費の総額と主要装備の整備数量を明示

香田:懸念するのは、尖閣諸島をはじめとする南西諸島防衛や、北朝鮮の核・ミサイルへの対応といった「目の前」の問題にとらわれるあまり、本質を見失ってしまうことです。これら目前の問題に合わせて防衛戦略を作ったり、防衛力を整備したりするのではなく、全体的な防衛戦略・防衛力の一部でこれらの問題に対処できるようにするのがあるべき姿です。

香田洋二(こうだ・ようじ)
海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた。1949年生まれ。72年に防衛大学校を卒業し、海自に入隊。92年に米海軍大学指揮課程を修了。統合幕僚会議事務局長や佐世保地方総監などを歴任。著書に『賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門』など(写真:大槻純一 以下同)

 確かに尖閣案件などは、日本が戦後初めて直面する大きな国家主権の危機です。焦点を当てることは、政治的には心地よいことなのですが……。

 防衛大綱で名前を挙げるかどうかはともかく、中国とロシアの存在を考えなければなりません。今日の米国の脅威認識は「4プラス1」から「2プラス3」に舵を切って、両国をより重視しています。「4プラス1」の4は、ロシア、中国、イラン、北朝鮮。1はテロを実行する過激派組織です。「2プラス3」の場合、2はロシアと中国で、ほかの脅威とは別格としてとらえています。

 日本の場合は、まず中国。副次的にロシアを考えるべきでしょう。

 敵基地攻撃能力を備えるべきとの議論が高まっています。議論することは悪いことではありません。独立国として、これを持つ権利も持っています。しかし、論議が近視眼的なものになることを懸念しています。

 まずは日米同盟をきちんと機能させることを考えるべきです。日米同盟では、日本が盾(日本の防衛)、米国が矛(相手国への反撃)という役割分担があります。その大原則に従うならば、自衛隊は敵の侵攻排除に徹し、敵の侵略を終わらせるために必要な敵国や基地(策源地)への戦略打撃は米国の任務とすることを再確認すべきです。それにより、日米同盟がきちんと機能するようにすることを考えることが重要です。

 自民党が5月に発表した防衛大綱の見直しに向けた提言は、この点において我が国の事情についての論議のみが優先され、日米同盟をどのようにして最適に機能させるかという議論が十分でない印象を持ちました。提言では、一項目を割いて「米軍の来援を確実なものにする」としてはいますが。

 また北朝鮮による弾道ミサイル攻撃への対応を想定して日本が整える敵基地攻撃能力が、本質的な潜在脅威国であるロシアや中国の弾道ミサイルに対する矛としても本当に有効なのでしょうか。この点もよく考える必要があります。

コメント15件コメント/レビュー

たいへん参考になった。表面的,形式的な強さよりも実質的,現実的な強さを求める考え方が印象的で,日本が特に考えなければならないのが兵站の問題だということ。これは太平洋戦争の教訓からも日本の最大の弱点だということでしょう。その点を現場の将官が理解し見た目の強さにとらわれない本当の強さを磨いていることに安心しました。同時に,米軍の強さを改めて再認識し,板面に中国の脅威に踊らされず,されど,日米同盟を維持発展させることの意義を理解しました。ただし,これ尾は米軍の強さが前提であり,この前提が中長期的に崩れることを想定した外交観が必要とも感じました。米軍がロジスティクスをおろそかにしたり(これはなさそうですね),展開する兵力が世界規模のシステムとしてキノしないアンバランスなあるいは脆弱性を内包するような状況になった時にはリバランスが世界規模で起きることをイメージして,その対応としての「楯に秘められた剣」の存在も必要かもしれないと感じました。(2018/09/19 11:12)

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「中国の空母「遼寧」に対抗する意図の艦船は論外」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

たいへん参考になった。表面的,形式的な強さよりも実質的,現実的な強さを求める考え方が印象的で,日本が特に考えなければならないのが兵站の問題だということ。これは太平洋戦争の教訓からも日本の最大の弱点だということでしょう。その点を現場の将官が理解し見た目の強さにとらわれない本当の強さを磨いていることに安心しました。同時に,米軍の強さを改めて再認識し,板面に中国の脅威に踊らされず,されど,日米同盟を維持発展させることの意義を理解しました。ただし,これ尾は米軍の強さが前提であり,この前提が中長期的に崩れることを想定した外交観が必要とも感じました。米軍がロジスティクスをおろそかにしたり(これはなさそうですね),展開する兵力が世界規模のシステムとしてキノしないアンバランスなあるいは脆弱性を内包するような状況になった時にはリバランスが世界規模で起きることをイメージして,その対応としての「楯に秘められた剣」の存在も必要かもしれないと感じました。(2018/09/19 11:12)

>これは、かつて、安倍首相が、中東への派遣時、「日本人の血は一滴も流させない」と言った決意に反する。

よそサマの内戦を沈静化するための軍事力の展開と、我が国の主権に対する侵害への軍事力の展開は全く性質が異なるのだが。
後者は我が国の存続に関わるよ。(2018/09/19 05:50)

>安倍首相は米軍との心中も『可』としているようだが、米国側は日本と心中するつもりなどサラサラ無い事を基本に日本の防衛そのものを見直す必要がある。

外様でありながら譜代どころか米国から親藩である英国&英連邦諸国に次ぐ(一部にあってはそれ以上の)厚遇を受けている同盟国である我が国を米国が見捨てたら、米国は覇権国家としての地位を失うんだが。

>あの『最強』と言われるイージス艦も搭載ミサイル数が少なく、小国である北朝鮮が所有するミサイルを一斉に発射したら、ほんの一部しか撃ち落とすことが出来ない。

北朝鮮が所有する弾道弾を一斉に発射するには同数のランチャー(輸送起立発射機)が必要だよ、ランチャーあたり弾道弾を一発しか搭載できないので。
対して我が国はのイージスシステム搭載艦は一隻あたり90発以上の空対空ミサイルを搭載する事が出来て同時12目標を同時追が可能。
例えばイージスシステム搭載艦が3隻、陸上配備のイージスシステムが2カ所とすると、単一の目標あたり2発の対空ミサイルを割り当てたとしても少なくとも200発の弾道弾に対応出来る。
北朝鮮に200両を超えるランチャーが存在するのかね?
加えて、米国のイージスシステム搭載艦も迎撃に参加したとすれば、対応出来るミサイルの数はそれ以上になる。(2018/09/19 05:21)

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