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新渡戸稲造が現代の国連事務総長だったら

北朝鮮、ロヒンギャ難民問題を考える

2017年9月29日(金)

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 あの人が今生きていたならば、この世界を見て何を思い、どのようなヒントを与えてくれるのだろうか。かつての大混乱時代を生きた政治家や科学者、文学者など各分野の偉人たちの思想を、研究者・識者に聞く。第5回の偉人は、新渡戸稲造。

 彼を一言で言い表すことはできない。『武士道』の著者であり、農学者であり、クリスチャンであり、東京女子大学の初代学長であり、そして何より類まれなる「国際人」であった。

 第一次世界大戦の反省から1920年に国際連盟が設立されると、新渡戸は事務次長となる。6年間事務次長として活躍する過程で、時代は再び暗い道をたどり始める。

 満州事変、国際連盟からの脱退――。新渡戸の晩年は、軍国主義に染まる日本で命の危険にさらされながらも、日本と世界の平和を模索し、戦争回避のために奔走した日々であった。

 今、世界は様々な危機に直面している。北朝鮮の核・ミサイル問題、ミャンマーにおける少数民族(ロヒンギャ)弾圧問題。新渡戸稲造が現代に生きていたら、何を思い、どう行動するだろうか。国際政治学者である一橋大学の福富満久教授に聞いた。

(聞き手 白井咲貴)

新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)
(1862~1933)岩手県生まれ。農学者、教育者、国際連盟の事務次長。札幌農学校を卒業後、約1年間東京大学で学ぶ。東大の入学試験で口にした「太平洋の橋になる」は彼の生涯を貫く行動指針となる(写真提供:アフロ)

新渡戸稲造を一言で語ることは難しいですね。いくつもの面を持っています。札幌農学校、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学、ドイツのボン大学などで学んだ農学者。札幌農学校時代には洗礼を受けてクリスチャンになりました。彼の書いた『武士道』は日本人の精神を表した書として今なお読み継がれています。女子教育に力を注ぎ、東京女子大学の設立に尽力。初代学長となった。1920年に国際連盟が設立されると、事務次長の職に就きました。

 ただし、彼の思想や行動には、キリスト教の洗礼を受けて以降、「人道主義」や「人類平等主義」といったものが一貫して流れているように思われます。

福富:そうですね。この前TEDを見ていたら、現在の国連事務総長であるアントニオ・グテーレス氏が出演していました。彼の話を聞いていると、彼と新渡戸稲造の姿がすごく重なりました。彼は国連難民高等弁務官出身。TEDでは、シリア難民について話していました。

 彼は、「シリアでは年間100万人ほど難民が生じる。どの国も彼らのすべてを受け入れる力があるわけではない。でも欧州の人口は5億人だ。100万人はその1%にも満たない。欧州の国々が平等に受け入れれば問題ない」と言いました。

 国家には、自国民に対する「保護責任」と、困っている人に対する「救済責任」があります。でも現状では「救済」にまで手が回りません。

 ただ、グテーレス氏の話を聞いて「なるほど」と思いました。各国がそれぞれ請け負えば救済できる、と。新渡戸稲造も同じことを言ったのではと思います。彼の思想や行動の中には、人類平等とか人道主義といったものが一貫してある。だからおそらく「各国が受け入れて救済すべき」と言ったでしょう。

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「新渡戸稲造が現代の国連事務総長だったら」の著者

白井 咲貴

白井 咲貴(しらい・さき)

日経ビジネス記者

2017年3月大学卒業、大学では国際政治学を専攻。同年4月、日経BP社に入社。日経ビジネス編集部に配属され、旅行・レジャー・ホテル業界、家具・雑貨専門店を担当している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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