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過疎地の“隠れ放置資産”をなくせ

年1000円の森林環境税創設、是か非か

2018年7月5日(木)

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2019年度から新たな税「森林環境税」を創設することが与党税制改正大綱で決まった。すでに森林保全を目的とした独自の税を課している自治体もあり、二重課税との批判も強い。

(日経ビジネス2018年5月28日号より転載)

片野 洋平[かたの・ようへい]
鳥取大学農学部
生命環境農学科准教授

1974年生まれ、上智大学大学院法学研究科法律学専攻単位取得退学。2009年博士(法学)。08年より鳥取大学農学部助教、17年より現職。

 新しい国税「森林環境税」が2019年度に創設されることが、18年度の与党税制改正大綱で決定した。個人住民税に上乗せし、約6200万人の住民から年1000円を徴収する見込みだ。実際に徴収が始まるのは東日本大震災の復興税がなくなる24年度からだが、将来の税収を前借りする形で都道府県と市町村に19年度から約200億円が配られる見込みだ。

 新税の目的は何か。林野庁は「都市・地方を通じて国民一人ひとりが等しく負担を分かち合い、国民皆で森林を支える仕組み」と説明している。

 なぜ森林の整備が必要とされるのか。それは、森林には様々な機能があるからだ。一例が、土砂災害の防止だ。森林は表土が落ち葉や枝などで覆われ、直接雨に打たれにくいうえ、水を吸収するため土壌が流出しにくい。

 二酸化炭素吸収による地球温暖化の防止や、雨水が森林の土壌を通過することで水質が浄化される水源涵養などの機能もある。

 日本の森林総面積は2508万ヘクタール。そのうち、私有林は1443万ヘクタールと半分を超える。特に過疎地では間伐がされないまま放置された人工林の管理が喫緊の課題だ。

 林野庁は、私有林が整備されず、放置されている要因を、担い手不足、所有者不明の森林の増加、木材価格の低迷で経営意欲が低下していることとしている。世代交代や過疎化などで今後状況がさらに深刻になるとみる。

 税収は、具体的には森林所有者の明確化や林地台帳の整備、間伐を市町村が実施することに充てられるとしている。だが現在、森林整備にはすでに1200億円が国から県を通じて市町村に補助されている。年500億~600億円不足し、補正予算で毎年追加している。新たな国税でこれを補塡するのでは、と指摘されている。さらに横浜市のほか、栃木など37府県が森林管理に関係する税を独自で徴収しており、その総額は16年度に341億円に上った。森林環境税はこれらの税と二重課税になるとの批判もある。

 これに対し林野庁はそれぞれの税との間では「役割分担がある」と説明する一方、「実際に導入されるまでの間に各自治体で整理の検討がされるはず」としている。

広く国民から徴収する
●森林環境税の概要
目的 市町村が実施する森林整備に必要な財源の徴収
対象 国内に住所がある個人。住民税と合わせて徴収
課税開始時期 2024年度
1人当たり課税額 年1000円
課税見込み総額 年600億円
使途 24年度までは特別会計から前借りする形で年総額200億~300億円を自治体に配分。当初は都道府県2、市町村8の割合で配分するが、段階的に都道府県1、市町村9の割合に変更する
手入れされず放置された森林整備の財源とする(写真=PIXTA)

コメント3件コメント/レビュー

寄付ならともかく有償は値段によるでしょうね
数万程度で全部片がつくならいいんでしょうけど(2018/07/05 10:50)

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「過疎地の“隠れ放置資産”をなくせ」の著者

庄司 容子

庄司 容子(しょうじ・ようこ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社に入社し、社会部、横浜支局を経て企業報道部へ。化学、医療、精密業界、環境などを担当。2017年4月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

寄付ならともかく有償は値段によるでしょうね
数万程度で全部片がつくならいいんでしょうけど(2018/07/05 10:50)

美しい名目ならお気軽になんでも税を創設して良いのなら
いくらでも国民の可処分所得を盗み放題ですね
東日本大震災の復興税もそうだったのですが、
長期的な国土の保全が目的ならば、なぜ国債ではなく新設の税なのか
こうやって国民の可処分所得を薄く広くちょろまかすことによって
ますます出生率は低下して未来の林業の担い手は減っていくわけですが、
旗振り役の中央官僚としては、首尾良く税を創設して、それを名目に出世できれば、
国家の未来などどうでも良いのでしょうね。(2018/07/05 10:15)

売れもしない固定資産を親から子に相続することが義務になっていることは不合理と言える。多分、相続放棄は可能なのだろうが、そうすると価値のある資産も一緒に相続放棄することになる。親の時代に地方から都会に移住して、家も持ったとした場合、子供は親が出身地に固定資産を残して来たことを知らない場合もあるのだろう。町中の親が建てた家は欲しいから相続したが、田舎の固定資産の税金の通知が来て驚き、白を切り続けて『放棄地』となってしまうのだろうか?私の友人の一人は、結婚して家を新築したが、親から相続した自分が育った家は20坪程度の狭い土地で、更地にして売り出したが売れずに、最後は隣接する親戚の土地と一緒に売り出してどうにか処分できた。それ以外に、彼の父親は家を建て替えようと、町外れの土地を購入していたが家を建て替える前に亡くなった。結果相続した土地は50坪程度だったらしいが、丘陵地帯で使い勝手の悪い土地だったため、売れず、最後は市役所に『寄付したい』と申し出たらしいが、『不要な土地は受け取れない』と拒否されたそうだ。で、『タダ』で売り出して、ようやく引き取り手が現れたそうだ。どちらの土地も、処分されるまでの間は、使いもしないのに固定資産税のみ払い続けた。現在、所有者すら分からない土地が増えていると言うが、固定資産税が払われなくなってから何年も経って相続人を探すのは大変なので、不在地主となった時点で相続(予定)人の届け出を義務付けるべきだろう。相続(予定)人が相続を望まない場合は、その旨も記録する。放棄され固定資産税が払われなくなったら国有地にするのがベスト。利用する人があれば状況や利用目的に応じてただでも貸したら良い。『その土地を収益性のある事業に利用している場合、所在市町村に対し国有資産等所在市町村交付金という固定資産税相当額を納付』となっているので、利用者が収益を出せる場合は利用者が固定資産税相当額を納付するようにしたら良い。(2018/07/05 09:50)

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