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企業の人権尊重は、「利益」の源泉

ただし対応を怠れば本業への影響甚大

2018年6月7日(木)

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日本ではCSR(企業の社会的責任)に対応するためのコストと捉えられがちな「人権」。だが人権は売り上げにも直結する経営の一要素であり、軽視すると会社が揺らぐ時代を迎えつつある。

(日経ビジネス2018年3月5日号より転載)

石井 麻梨[いしい・まり]
デロイトトーマツ
コンサルティング コンサルタント
1983年生まれ。2007年に東京大学教養学部卒、内閣府で政策立案・調査に従事。12年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス行政学修士。財務省勤務を経て、15年より現職。

 「人権問題の解決に取り組まなければいけない」と聞いて、反対するビジネスパーソンはいないだろう。だが総論では賛成でも、人権を自分自身の問題として捉え、具体的にアクションを起こしている企業は少ない。人権尊重の大切さはなんとなく理解できていても、なぜ大切なのかという具体的な理由までは理解されていないからだ。

 なぜ、企業にとって人権の尊重が大切なのか。それは人権が、企業の売り上げに直結するものだからだ。軽視すれば、大企業の場合で1000億円単位のダメージとして降りかかる。企業は一刻も早く、人権を重視する「人権経営」にかじを切るべきだ。

米ナイキの教訓

 人権軽視は経営にどう響くのか。この問いに答える事例として知られるのがスポーツ用品大手の米ナイキだ。

 同社では1997年、インドネシアなどの工場で就労年齢に満たない少女らを低賃金で強制的に働かせていたことが発覚。国際NGO(非政府組織)は性的暴行や少女らの尊厳を傷つける行為も一部で強要されていたと指摘し、世界で不買運動が起きた。結果、同社の売上高は2002年に98億9300万ドル。1997年比で約8%の伸びにとどまった。

人権軽視が原因で成長が鈍化
●米ナイキの売上高実績と、機会損失の試算
新興国の工場における労働環境の改善は、人権にまつわる課題の典型例
(写真=The New York Times/アフロ)

 人権侵害がなければ、どうだったか。米国のシューズ市場の成長率からナイキのシューズ部門の成長率は98〜99年が17.2%、00〜02年が5%だったと試算できる。シューズ以外のスポーツ用品や国外市場の伸びも考慮すると、人権侵害がなければ、同社の売上高は02年に134億5200万ドルに達していたはず、と試算できる。

 このように計算すると、1998年から2002年までの5年間で、ナイキは121億8000万ドルの「稼げたはずの売上高」を失ったことになる。日本円に換算すれば約1兆4483億円(1998~2002年までの平均為替レートで計算)だ。人権の軽視が売り上げの減少に直結していることが分かるだろう。

 ナイキはこの後、労働者の最低年齢を16歳、最大労働時間を週50時間と設定。契約工場のリストを公開したほか、第三者を交えた労働環境のモニタリングを導入するなどして、サプライチェーン全般の透明化を進めることになる。今では人権尊重の先進企業として知られる同社にとって、重い教訓となった。

 海の向こうのグローバル企業だけではない。日本国内に本社を置くメーカーでも、海外工場で人権の軽視を発端に現地労働者が暴徒化した事例がある。1カ月以上にわたる生産の停止を余儀なくされ、稼げたはずの売上高を1000億円以上失っている。「人権を重視する」こと自体にはそれほどの大きな投資は必要ないはずだが、怠れば本業に甚大なダメージを受けることになる。

コメント3件コメント/レビュー

既知の内容で目新しさが無い。
人権尊重は当然で、利益に繋がるとするロジックはあまりに短絡的。(2018/06/27 12:51)

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「企業の人権尊重は、「利益」の源泉」の著者

藤村 広平

藤村 広平(ふじむら・こうへい)

日経ビジネス記者

早稲田大学国際教養学部卒業、日本経済新聞社に入社。整理部勤務、総合商社インド拠点でのインターン研修などを経て、企業報道部で自動車業界を担当。2016年春から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

既知の内容で目新しさが無い。
人権尊重は当然で、利益に繋がるとするロジックはあまりに短絡的。(2018/06/27 12:51)

>逆に、人権にまつわる課題に先行して取り組めば、取り組んでいない企業より受注を獲得するチャンスは増える。
→増えるのは"受注を獲得するチャンス"ではなく"獲得した受注"なのでは?

>環境の後を追う形で「人権ビジネス」の市場が拡大していくのは間違いない。
今現在の環境ビジネスが健全だとは感じられないので、人権ビジネスの健全さにも疑問を抱きます。(2018/06/08 16:57)

企業任せで、中国などの人権侵害国家にどう対処出来るのか?(2018/06/07 08:49)

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