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働き方を変えるビル、自己治癒するコンクリート

ITやバイオなど異分野と連携して変貌する建築技術

  • 浅野 祐一(日経ホームビルダー編集長)

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2017年10月31日(火)

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 プリツカー賞をご存じだろうか。ホテルチェーン、ハイアットのオーナーの財団が主催する賞で、建築界のノーベル賞と呼ばれている。このプリツカー賞で近年、日本の建築家が大きな存在感を示している。

 2010年以降に同賞を受賞した日本の建築家は、坂茂氏(14年)、伊東豊雄氏(13年)、妹島和世氏、西沢立衛氏の合計4人に及ぶ(妹島氏と西沢氏はユニットとして10年に受賞)。

 1990年前後には、丹下健三氏(87年)、槇文彦氏(93年)、安藤忠雄氏(95年)の3氏も受賞しており、世界的に見ても、日本の建築家の存在感は際立っている。近年の受賞者数の多さから考えると、日本の建築界は磐石に見える。しかし、建築技術の開発という点では日本の優位性が揺るぎつつある。海外では、新素材やバイオ、機械、IT(情報技術)といった多様な分野の先進技術を貪欲に建築の領域に取り込み、新しい価値を次々と生み出しているからだ。

木造でも高層ビルが建つ、コスト競争力も

 象徴的な事例が高層木造ビルだ。世界では木造の建物に対する関心が高まっており、国を挙げての木造ビル開発が活発になっている。要因の一つは環境負荷の低減や地球環境の再生だ。木材は軽く、運搬や施工時の二酸化炭素(CO2)排出量を減らせる。しかも、木材自体が炭素を吸収してできているので、材料として使用する間、二酸化炭素を固定できる。

工事終盤のブロックコモンズ(資料:KKLaw、naturally:wood)

 そんな木材の利点を踏まえて、欧米では低層建物の構造材として用いてきた木という材料を六階建て以上の高層ビルの構造材に展開しつつある。2017年にカナダで完成した「ブロックコモンズ」はその一つ。木を主な構造材に据えた高層ビルとして、高さが世界一となった。高さ58.5メートル、18階建て、延べ面積1万5000平方メートルのビルだ。カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)の学生寮として建設した。

 一階の柱や建物全体を支える二つのコアにRC(鉄筋コンクリート)を用いる一方、二階以上の柱に集成材、床にCLT(直交集成板)を用いた。内装に石こうボードを利用するなどして耐火性能を確保している。

 建設費は5150万カナダドル(約44億5000万円)で、UBCは一般的なRC造のビルに比べて約8パーセント高くなったとみている。

 2018年以降の完成を目指す高層木造ビルは少なくない。例えば、オーストリアでは2016年10月、木造を多用した高さ84メートルの24階建てビル「HoHoウィーン」が着工。ホテルや事務所、住宅などから成る複合施設で2018年の完成を目指す。スウェーデンでは木と鋼材のハイブリッド材を使う34階建て集合住宅の計画が発表されている。

木造とRC造の混構造で建てるHoHoウィーン(資料:右もRüdiger Lainer+Partner)

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